発端

その日は、もの凄い暑かった

「あづー・・・・」

デュラハンが扇風機の前でアイスを食べながらつぶやく
今日はあまりの暑さゆえにいつもの鎧姿ではなく、シャツに短パン姿というラフな格好をしている
だが、そのラフな格好は異性の目を釘付けにするには充分すぎる破壊力を持っていた

汗でへばりついたシャツは僅かに肌の色が確認できるほどに透け、彼女の大きな双乳はまるで自己主張するように持ち上がっている
肩まで露出したノースリーブのシャツによって、適度に鍛えられむっちりとした二の腕が汗によって輝いて見える
短パンからはみ出ている太モモもまた汗でしっとりと濡れ、独特の色気を持っている

その太モモの上にちょこんと座り込んでいる、まるで少女のようにも見える顔立ちの少年は彼女の夫であり、副官として彼女を支えている

そして彼もまたシャツと半ズボンという少年らしい服装をしている
彼は一見細身ではあるがきちんと鍛えられており、どこか力強さを感じる
少年と男の境目にあるような雰囲気の彼もまた、この暑さに参っているようだった

「今日は魔界での記録的な猛暑らしいですよ、デュラハン・・・・」

普通ならばそんな記録的な猛暑にあってはあまりの暑さに距離を取りがちなものだが
その中にあっても片時も離れようとしない彼らの仲の良さは天下一品であろう
だが、流石に暑い中では訓練などもやる気が出ず、どうしたものかと二人で思案していると
突然、ドアが勢い良く開け放たれ、二人の影が飛び込んできた

「デュラハーン、海に行こうぜー!」
「海がワシを呼んでおるわー!!」






「「・・・・・は?」」

飛び込んできたのは二人の少女、二人の友人のダークエンジェルと上司のバフォメットだった
どういうわけか・・・・いや、先程の台詞で容易に推察できるが
とにかく二人はサハギンの鱗で出来た水着・・・・通称"スク水"に身を包み
バフォメットにいたっては自分の名前入りの浮き輪まで持っている

「えーと、いきなりなんですか? お二人とも」

呆気に取られた二人ではあるが、先に口を開いたのは副長だった
そしてDエンジェルがその質問に手をひらひらと振りながら答える

「いやあ、暑いしさー? 私としちゃきっついのよ、羽根が蒸れるし
 んで、折角だから四人でストレス発散がてら、海で遊ぼうかと思ってね」

デュラハンが納得したように頷く

「なるほどな、バフォメット様も同じ理由、と?」

その返答に対しバフォメットは

「ん? ワシは昨日テレビで海の特集をしとったからじゃぞ?」

・・・・・つまり、ノリであった
いかにも子供らしい答えにデュラハンは苦笑する

「バフォメット様らしいですね・・・・まあ私達も暇だったし、皆で行こうか!」

「おー!!」

かくして、四人で海に行くことが決定したのであった








デュラ「ところで、乗り物はあるんですか?」
バフォ「うむ、三輪車がな」
副長 「さ・・・三輪車・・・・ですか・・・?」
Dエン「・・・・念のために自転車用意しておいて良かったわ」
副長 「おお、流石です!!」
デュラ「流石は"無駄に有能"の二つ名を持つだけはあるな!」
Dエン「ちょっとそれ褒めてんの・・・・?」
バフォ「三輪車、良いと思うんじゃがのう・・・・」
11/08/26 21:56更新 / くびなし
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