サイクロプスな日々

ある町の一角にて鉄を叩く音が鳴り響く
決して大きくはないが、そこに腕の良いサイクロプスが住んでいる
ということでそこそこ人気がある鍛冶屋だ

一週間前、俺はそこに住んでいるサイクロプスである姉御に弟子入りした
以来、住み込みで姉御の手ほどきを受けながら、人付き合いの苦手な姉御の代わりに依頼を受けている

「すまない、魔王軍の者だが・・・・武具一式、30名分頼めないだろうか?」
「そうっすねー、見積もりはこのくらいで・・・・2ヵ月後に引き取りに来てくださいっす」
「承知した」

 魔王軍のデュラハンさんの依頼を受けることもあれば

「こんにちわー、斧の修理お願いできるかな?」
「ああ、はいはい・・・・って刃は手入れしてるけど柄が腐りかけてるじゃないっすか」
「あー・・・そういやしてないな」
「ダメっすよ、木製で痛みやすいんだから・・・・交換にはこのくらいの値段で3日かかりますね」
「う・・・・仕方ないな」

 旅のリザードマンさんの依頼を受けたりもする
まあ、依頼は多種にわたり、量も忙しすぎるということはなく繁盛している感じか

そもそもサイクロプス製なので普通の鍛冶屋より相場は上だ
代わりに質はそれを補って余りあるのではあるが
そのおかげで、それなりの仕事量なのに対して非常に稼ぎが良い
直に姉御の技術も学べて、ここは良い職場だと思う
ある一点を除いて

「う〜・・・・おはよう」

もう昼頃になる、という時間で姉御が起床する
姉御は低血圧気味なので毎日こんな時間なのだ

「ああ、姉御おはよ・・・・・」

姉御はホットパンツを穿いていた
綺麗な太ももが全開になって目のやり場に困るが
動きやすさ重視なんだろう、それはまだいい
でもさ

丈の短いシャツが姉御の凶悪なおっぱいに押し上げられて
下乳がかなり見え・・・・ってさくらんぼが見えちゃいそうっていうか
シャツが汗で透けて既に見えてね?

「ん? どしたの、変な顔して」

姉御が不思議そうに小首を傾げる
狙っているのではない、天然なのだ

「姉御、頼むから自重してくれ・・・・」

困った点、それは
姉御に羞恥心がほぼ存在しないことだった





「いいっすか、姉御? 俺の前でそういうはしたない格好は止めてください」
「別に私は気にしないよ?」
「俺がするんすよ!!」

姉御にこういう注意をこの一週間で何回したかわからない
この一週間であったことといえば

・・・・・・・

「じゃあ、鍛冶の授業始めよっか? まずは基本から」
「姉御、始めるのはいいっす でもなんで上半身裸なんですか?」

 豊満なおっぱいが、姉御が動くたびに激しく自己主張する

「だって鍛冶場暑いし・・・いつもこうだよ?」

 マジ勘弁してもらいたい

・・・・・・・

「お風呂沸いたよ、一緒に入ろうか」
「何言ってるんですか」
「だってその方が早いし、光熱費安くなるからお得だよ?」

 ホント勘弁してもらいたい

・・・・・・・

「さて、寝ようか」
「そうっすね、明日は朝から仕入れに行かないといけないし」
「そうだね、ちゃんと起こしてよ?」
「はいはい」
「じゃあおいで」
「なんでっすか」
「だってベッド一つしかないし・・・・・くっついて寝たら暖かいよ?」
「俺は居間のソファで寝るっす・・・・
 あと、明日仕入れ終わったら使ってない部屋片付けて、俺そこで寝るっす」
「えー、なんでー?」

 もう俺のライフ0っす・・・・

・・・・・・・

今、"羨ましい、代われ"って声が聞こえた気がする
だが待って欲しい
姉御と暮らしていると自家発電の回数が超増えるんだぜ?
欲求不満になっちゃうぜ?
いつも息子が勃起してムラムラするんだぜ?
しかも姉御は無自覚だぜ?
お前らその辺考えたことあんのかと



「だいたい姉御はただでさえ・・・・その・・・・立派なモノ持ってるんだから」

「でもさ私単眼だし、私に欲情する人なんていないよ そうでしょ?」

「・・・・・・・・・」

極めつけの文句がこれである
"自分は単眼だからどうせ"という理論だ
どうやら昔、そのことでからかわれてトラウマになっているらしい
なんかこれを聞くたびにどこか悲しい気持ちになる
まるで女を捨てているようで・・・・・・

というか、下半身がほぼ虫だったり獣だったり
手足の代わりに羽や鉤爪があったり、そもそも死んでたりしている魔物娘の中で
"単眼"が、どれほどのものだというのか、と

(姉御に説明しても納得してないっぽかったしなあ・・・・どうしよう)

結構、姉御の中では根深い問題なようだ
他人からすればたいしたことなくても当人からすれば・・・・というのはあるしなあ

まあ、なにか転機が訪れることを祈ろう・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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