ピピピピと、控え目なアラームの鳴り響く部屋。
目を覚ます事を目的としているハズなのだが、流石にこの音量では無理だろう。
…が。
実は目覚ましなんて必要なかったりする。
何故なら俺…山本海斗は既に目覚めているからだ。
…山か海か、ハッキリしろとかは言わないでくれよ?
誰に向かって言ってんのかは些か疑問だけども。
まあ、それは置いとく。
何故なら、俺は早起きした訳じゃなくて、寝れなかったからだ。
その理由を簡単に説明しようと思う。
…誰に? 頭の中で響いた自分の声に呆れる。
まあ、思い出しとかなんとかって言い訳出来るから別に…
……アレ? 言い訳しなくていいんじゃね?
ま、まあまあ、そんな事はどうでも良いよな!
兎に角。兎に角だ。俺が寝れなかった理由は。
「……だぁぁぁぁぁ学校行きたくねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…」
つまりは、学校が嫌なのだ。
山本海斗、17歳・童貞。
そんな俺が、あんな…その、可愛い子ばっかり居る学校へ行ける訳がねぇ。
なら何故入学した。
下心でしたぁぁぁぁぁスンマセンでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
入学当初は喜んださ。だがな、俺にゃあ無理だ。
男女率、かなり違うし。
一年の時のクラスなんか、女子35人男子4人だったしな。
まあ、一年の時は乗り越えたから良いのだが。
二年になってからがそれはそれは苦痛なのだ。
一年の時にはなかった光景が、多々浮上しだしたのだ。
その一、リア充の発生。
校内何処でも数少ない男子とやたらと積極的な女子とのイチャイチャを目撃するハメになる。
…爆発しろよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
ふざけんなよテメェ等のせいで色々やべぇんだよ恥ずかしいんだよ!ムラムrいや自重しよう。
そしてその二、制服の自由制度。
指定された制服の他に、私服等でも登校を許可されている我が学校。
だけど考えた事あんのかね!? 魔物の人達どんな服着るか理解出来てんですかねぇ!?
目の毒だよ! 不健全だよ! だからもっと着てくださいありがとうございましたぁぁぁぁぁっ!
直視なんか出来ないけども!!
そしてその三! これが一番恥ずかしいんだよ! なんで校内でヤってんだよお前ら!?
気恥ずかしいわ! 何? 何を求めてんのアンタら!?
見られる可能性考えてる!? 頭大丈夫!?
見ちゃったら恥ずかしくて話し掛けられぬよお主ら!
おかげで恥ずかしくて学校行けねーよ!
…まあ行かないとダメなんで行きますけども。
あ、付け足しで四つ目も言わせて貰うわ。
ズバリ。
恥ずかしくても遅刻したら反省文大量に書かされるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ行きたくねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
と、叫ぶ17歳児に、台所で手早く朝御飯を作り上げる母は「今日も元気ねぇ」と朗らかに笑うのであった。
そう、これが毎日の習慣なのだ。
故に、山本海斗の朝は、毎度ながらこの様に始まる。
※
時と場面は変わり、時刻は八時十五分。教室だ。
いつも通り、賑やかでいて騒がしい。
例えば。
あ、今日はミニスカなんだね? えへへ♪ 可愛いかな? うん、可愛い可愛い。
おいリア充。当て付けか? あぁん?
というかそろそろ気付こうよ。
「………」
と、無言の圧力を掛けている我らがクラス委員長に。
いや、圧力じゃあないかな。
「………」
黒板の前で無言の委員長…犬藤真琴(インドウ・マコト)さんは、まあその名の通りわん娘である。
実際はアヌビスとかいう種族の魔物に憧れた狼娘なんだけど。
確かお母さんの友達にアヌビスの人がいて、クールでカッコイいからだとかなんとか。
いや、でも委員長は委員長なりに外見だけはボーイッシュでなかなか良いと俺は思ってるんだけどな。
繰り返す、外見だけはカッコいい。
「…ぅ…ねぇ、どうしたら良いんさ…?」
と、黒板の前、そして教卓の真ん前の席の俺に問い掛ける委員長。
「いや、普通に静かにして席についてくださいって言えば良いんじゃないかな?」
何故か委員長と話しても恥ずかしくないんだよなぁ、と思いながら自分の意見を教える。
すると、「あんがとー、とりあえずやってみんさ」と言い、
「えー、静かにして席につけよー。聞こえてるかー?」
と、棒読みで言い始めた。
だが、勿論そんな小さな声が聞こえる訳はない。
すると、「全然ダメじゃんかさー。これじゃ座ってくんないよー」
なんて、言われる。
だが敢えて言おう。
「委員長さ、声小さすぎるって。もうちょい大きくしたらいけるって」
「んや、恥ずかしいじゃんかさー、無理無理」
さて、これも毎朝の習慣の一部なのだが、やっぱり思う事がある。
君はあくまでもワーウルフなんだから、少しは荒っぽくても良いと思うんだけどな!
…勿論言える訳がない。それこそ、恥ずかしくて無理無
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