「なぁ泉。セルシニアってどんな場所なんだ?」
転移結晶のある区域までの移動中、俺は俺の契約精霊....の、一番永く存在したといわれてる水精霊の泉に訊いてみた。すると。
[セルシニアとは、アルク セルシニアが治める帝国の事です。この大陸で一番狭い国ですが、城下町の民は王に絶対的な信頼を寄せていて、他の三国とは比べ物にならない程に活気づいています]
「スゲーなぁ...それは」
どれだけ信頼得てるんだよ。
[また、セルシニアにある脈石...風を司る脈石のおかげでこの国は神、魔王等の強力なチカラの付与を防いでいます。よって、人は魔物を嫌わず、天使も堕ちる事無く平和に暮らしています]
マジか。てか、魔物と天使族が同じ地域に住んでたらケンカしそうだな...。
「でも...魔物を排除しようとする団体も居るんだけどね」
そう言ったのは、ノエル。いちよう、セルシニアの王子(王女だろ絶対)らしい。
[種族の違いで否定、嫌悪するのは良くないと主張]
....おい、陸。お前呼んで無いのにどうやって出て来た!?
[この地は主と我ら精霊を近くする事が出来るようだな]
焔....お前もか。
「凄いなぁ、カズト君は。三体も精霊と契約してるの?」
ノエルが少し驚いたように訪ねてくる。だから。
「いや、三体じゃなくて四体だ。吹は...多分どっか飛んでったのかな?」
[そうだ。奴は自由過ぎると我は思うがな]
まぁ、吹はそれで良いだろう。
「四精霊と契約....!?凄いな....。そんな人、ウチには居ないよ」
「.........普通は居ない」
エストレアが自信気に言う。何でお前が胸をはるのかは些か疑問だけど。
「紀徒は...凄いんだよ?」
お前もだ優樹。何故自慢する。恥ずかしいんだよ。....って事で、軽くいじめてやろう。
「なぁ、優樹」
「....ん?」
顔を背けたので、出来る限り近くに寄って、耳元で囁く。
「優樹......可愛い、よ。声も、性格も、外見も。お前の全部が可愛くてさ。ま、それだけ」
さて、反応を見てみよう。
「....ぁぅ...きゅ....」
おい待て。なんだその可愛い表情は。そしてその声は!
うつむいて赤面。そしてもじもじ....。
______________最高の反応を有難う。
「.......カズト....私は?私は....かわいい?」
エストレアが訊ねてくる。だが、そんなの。
「可愛いに決まってんだろ。事実可愛いし、エストレアって」
即答してやったぜ。すると。
「.....んっ♪.....はぁ...大好き...♪」
エストレアの唇が俺の唇へ当たる。もう飽きる程慣れたキス。今回は人目もあるので、ライトだった。
そして、キス終了後は手を握って来て....。
「........♪」
上機嫌なエストレアなのだった。まったく....恥ずかしいじゃねぇかよ。
「おー、熱いなぁ、少年!で、私はどうなんだ?その....可愛いとかって、思ってくれて....いる、か?」
と、段々言勢を弱くしながら、フィアが訊いてくる。だがコイツは。
「うん。可愛いと思うぞ?.......外見だけ」
「私も女の子って事を忘れてないか....?傷付いたよ、私は...」
「事実だ」
「...........さすがに、それは酷い」
「ありがとうエスト....」
無表情のカマキリと(性格が)残念な起源種が無言で見つ合う。
仲が良いようでよかったよ。
「......はぁ。ついたよ?転移結晶」
いきなり、ノエルが告げる。っておい。マジか。
「話に夢中になりすぎだよ....まったく」
「いや、スマン」
「はぁ。まぁいいよ。...じゃあ、皆。転移結晶に触れてくれるかな?」
言われたので、俺達は転移結晶....深い藍色をしていて、2m程もあり、微妙に浮いているそれに、触れる。すると。
「ぅお....!?」
突然の浮遊感と同時に、青白い光が体を包んで...。
突然、耳へ入る知らない声。
それが沢山重なって、最早聞き取れすらしない。
ゆっくりと瞼を上げると。
レンガのようなもので敷き詰められた地面。
大勢の人。そして.....。
「あら?可愛いコ達ねぇ♪セルシニアは初めてかしらぁ?」
漢。...っ漢!?なんだコイツは!?
「....アデルにぃちゃん。恥ずかしいからやめてよ...もう...」
「あら?ノエルちゃんじゃない!もう。いままでどこに行ってたのよ〜?お父さんなんか呆れてたわよ〜?」
「....知らないよ。あんな親」
......なんか大切な話してるみたいだけど...。
あー、駄目だ。なんか頭ん中フリーズしたよ。
ありえねぇだろ、こんなの...
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