白淫魔とヒーロー?の小話。

「遠いなぁ...アルヴァン草原...」
誰に言う訳でもなく、俺は呟いた。
アルヴァン草原を越えてアルヴァランスという街までいかなくてはいけないのに、まだまだ道のりは遠そうだ。
「なぁ少年。少し話さないか?」
俺に話しかけたのはフィアという少女。
なんか知らんが旅に同行してくれた変わり者(魔物)だ。
「なんだ?」
俺も暇だったので、その誘いに応じる。すると
「少年は素手で戦うのか?見たところ剣とかもってないし」
ああ。なんだ、その事か。それなら大丈夫だ。だって。
「俺は戦わないんだよ。戦いはエストレアに任せてる」
俺、弱いし。素人だし。
「くっ.....あはははははははは!!」
普通に言ったのに、腹抱えて笑うとか...酷くないか?
「少年!!君はヘタレだなぁ!!くっ、はははっ!」
いや、それは....はい、ごもっともです。
「そんな少年に、私からプレゼントだよ」
まだニヤニヤしながら言ってくる。
しかし、プレゼント.....?
「ほら、コレ」
そう言って、彼女が一つの指輪を手渡してくる。
リングは金色をしていて、小さなヒシガタをした宝石が四つ付いていた。
これは...。ルビー、サファイア、トパーズ、エメラルド、かな?
「なんだコレ?戦い関係ないだろ?」
疑問に思うから訊いてみたのだが、返って来た言葉は予想をこえていた。
「少年がこの指輪をはめれば戦えるよ?精霊使いとしてね」
精霊使い...?どういう事だ?と、訊く前に答えは帰って来た。
「この指輪は四精霊契約輪。四大元素を元にした魔法とかが使えるようになるんだよ」
_______と、言っても、女の私には使えない代物だけどね。
それだけ言うと、「ほら、はめてよ」的な眼差しに変わり、じーっと俺を見つめ始めるフィア。
「まぁ...貰っていいんだな?」
念の為訊いておく。すると。
「いいよいいよ〜?てか速くはめろよな!!」
フィアさん、素が出てますよ。
「とりあえず、人差し指にはめるぞ?」
そう言って、右手の人差し指に指輪をはめる。すると。
指輪の表面に銀色の文字が描かれ始めたのだ。いきなり。
なんだこりゃ?と、気にしてる暇なんか無い。
「おぉ!スゲー生契約だー!!面白れぇな少年!!」
テンションが無駄に高くなったフィアが、もの凄っい可愛い笑顔を見せている。
何が楽しいのかわからんがな。
「なぁなぁ、魔法使えるか?契約できたろ?なっ?」
だからなんでそんなにテンション高いの?
まぁ、俺も魔法使えるかどうか気になるのだが。
「....試してみるぞ?....まずは...火からだな」
試しに念じてみる。だが、何も起こらない。
何故なんだよ...。
[我を呼ばぬ限り、力の代行は出来無い]
「うおっ!?」
[何を驚いているのだ?我が貴殿の火精霊フランメだぞ?]
いきなり現れた[炎]が喋っている。これが....精霊...?
フィアは目を輝かせて、[炎]をじーっと見ていた。
......何が良いのか誰か教えてくれよ。
[予め言っておくが、水、土、風の奴等はまだ目覚めないぞ?]
「?」
[魔力の量で変わるのだ。目覚める精霊とその強さは]
よくわからん。なんだそれ。
[珍しい事に貴殿は四つ全てを目覚めさせる事が出来る。だが、今はまだ出来ない]
_____貴殿の魔力が枯渇してしまうからな。
便利なのか不便なのかよくわからんな。
[少しずつ目覚めさせてゆけば良い。我も、戻るぞ?]
そう言って、消えてゆく火精霊。
なんか、理想とかけ離れていた。だが。
俺も、戦えるように(多分)なれたのだ。
少しは、進歩できたのかな?
「私も精霊欲しいなぁ....」
できたのなら、良いプラスかもしれないな。
フィアはとりあえず無視。
無視する事も、立派な進歩だな。
だって、一々反応してたら疲れるんだよ、フィアもエストレアも。
11/10/16 21:59更新 / 紅柳 紅葉
[1]作者メッセージを読む

[5]戻る [6]次へ
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33