さて、俺…霧茅紀徒が蟷螂娘…マンティスのエストレアと出会って、早くも六日の時が流れていた。
もう直ぐ一週間が経とうとしている中、俺はずっと、
エストレア…長いので省略して、エストの山小屋で生活を続けている。
…我ながらかなりこの生活に適応化したと思う。
エストの両親が居たらしいこの山小屋で暮らしながら、つくづくそう思った。
「…ご飯食べる?」
先ず、エストの食欲が半端じゃないので俺はあまり食べれない。
…ええ、慣れましたとも。
まあ、だけど。
不服そうにしてたら、口移しされます。
他人の唾液で甘く感じるし、よく噛まれてるからちょっとドロリとしてるけど。
それも、慣れたっちゃあ慣れた。まだ少しこっぱずかしいけども。
どうやらエストは、俺の恥ずかしがる姿が好きみたいで、じみーな悪戯をしでかす事もしばしばある。
朝起きたら何故かエストの服…下着まで着せられてたり、一部破れて大変な事になってる俺の服をエストが着てたり。
エストいわく、「…女の子みたい」だ、そうだ。
昔、友達にも同じコトを言われたのでちょっとショックだったんだがな…。
ま、まあ…その他にも、朝起きたら全裸のエストが同じ服の中に居たり、
四六時中キス責めされたりと、ある意味ショッキングな日常に俺は慣れ初めていた。
いきなり抱きつかれようがビクともしないし、いきなりキスされようが寧ろ仕返し出来る位までは適応している。
おい勇者様、何惚気てんの? とちょっとキレ気味の脳内俺が言うが当然のようにスルー。
抱きついてきたら、寧ろ抱き返してみたり。
キスされたら、舌を入れてみたり。
そんなこんなで、何故か色欲の日々を過ごしてます。
※
「…む。暴れる…」
片手でよくわからない生物を押さえつけながら、エストが呟いた。
何故よくわからないのか? 見たことないからだよ畜生め!
形容し難い姿のその生物には、くりくりの目が二つ。
背中には小さな突起物があって、鳴き声は「ふぎゃー」。
エストに押さえつけられながらも、一生懸命逃げようと足掻いている。
そんな奇怪な生物と、俺の目が合い…。
「…エスト、ちょっとソイツ貸して」
無意識の内に言葉を発していた。だって仕方ない。
両手で掲げるように持ち上げた、60センチ程の奇形生物が鳴く。
「ふぎゃー。ふっ、ぎゃ」
嗚呼、まるで俺に礼を言っているみたいだ。大人しい。
たぶん、今俺と奇形生物の間にはキラキラのエフェクトが輝いているだろう。
あはは、可愛いやつめ〜。
ふぎゃー♪
ふにゅふにゅの身体を持ち上げて、くるくると回る。
今、この世界には俺とコイツしかいない。
…が。
そんな世界に終末戦争が勃発した。
気付けば、深緑色の鎌が振り下ろされていて。
…ざしゅ。
「……ぇ…?」
間の抜けた、俺の声。
その手には、無惨にも切り裂かれた奇形生物の[ケイくん(今名付けた)]。
「…押さえてくれて、ありがとう」
力無くぐにょりとしたケイくんが、エストによって更なる解体が行われていく…。
え? 何…ちょっと待ってよ…、え…?
俺の手には、薄い水色的なケイくんの体液が――。
「うわぁぁぁぁぁぁぁケイくんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
…ガクッ。
そんな感じに膝をついた俺を見て、エストは。
「…カズト、汚れてるよ? お風呂行こ?」
だった。…止めて…俺今そんな気分じゃない…。
だってケイくんが…ケイくんがぁ…。
そんな感じで落ち込む俺を引っ張って、エストは目的地へと足を進めるのだった。
…あ、ちなみにケイくんはマグロの中トロみたいな味でしたとさ。
※
そして、エスト宅の裏側にある温泉っぽい場所へとやって来た。
…ぴと。
そんな感じに、エストが俺に寄りかかる。
温かい湯の中でも分かるエストの体温と、ゆったりとした呼吸。
エストにもとからある甲殻部分が、すべすべでなかなか気持ちが良い。
実は結構色白の肌…胸とか、太ももとかが密着してきていて、ドキドキする。
…いつもなら。
今の俺は、いくら誘惑されようが何しようが反応しないぜ…。
だってケイくんが…。
…まだ気にしてんのか、情けないわ〜。と、脳内俺が言うけど知らん。
ケイくん…美味かった…じゃなくて! 可哀想に…。
そんな風に無口で構ってくれない俺が不満なのか、基本構ってちゃんのエストが行動を起こした。
…ちゃぷ…ぎゅ。
隣にいたエストが、横向に俺の膝へと座る。
そして手を首にまわして、自分をだっこして貰うべく抱きついて来た。
むにゅっとした柔らかな胸の感触が俺の胸部へと押し付けられ、
ぷにっとした弾力のあるお尻と心地良い重みが膝上に乗っかっている。
蟷螂の腹部のような、エストの背中…お尻の付け根辺りから生えている(?)それは、お湯に浮かんでぷかぷかとしていた。
…なにこれシュール。
本人は必死なのにそれと反比例
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