悪魔の休日

今日は誰もが待ちに待ったクリスマス。ある者は家族と共にテレビを見ながらごろごろと過ごし、ある者は町中で恋人とイチャつきながら過ごし、ある者は一人寂しく自宅でこたつに入り、蜜柑を食べながら「クリスマスなんて大嫌いだ!」と恨みながら過ごす。
この3つの中からどうやって過ごすか選べ、と言われたら、僕は迷わず「一人寂しく自宅でこたつに入りながら過ごす」を選ぶだろう。
なぜなら、僕は今大学生活を一人で満喫しており、到底家族がいる実家には帰れそうにない。というか、帰りたくない。
それに、僕は大学に入ってから2年間、誰とも付き合ったことがない。まぁ、女性を遠ざけた生活をしていたから当然の結果なのだろう。友達と遊ぶ選択肢もあるが、休日や祝日は一人で過ごしたいのだ。
なので、僕こと大学生の岸辺稔(きしべみのる)はこたつに入り、美甘を食べながら一人寂しくテレビのクリスマス特別企画の番組を見ていたのだった。
しかし、その番組は一向に面白くも何ともなかった。最初は僕も笑っていたのだが、徐々に笑う数が減り、今では真顔でその番組を見ていた。

「全然...面白くないなぁ...。」

そこで、僕はテレビを消す。面白くないのなら、見ても見ていなくても同じだ。しかも電力がもったいないし。
こたつの上に置いていた美甘が底を尽き、暇になった僕は、こたつの上に十枚ぐらい重ねて置いてあるクリスマスセールのチラシを適当に取って見る。しかし、クリスマスになると、なんでこんなに一気にチラシが来るのだろうか?普通に考えて、資源の無駄だと思うんだ。
そのチラシを流し読みしていくと、僕はある単語に視線が止まる。それは、でっかく大きい文字で書かれた「X’mas」という単語だった。
何故、みんな「X-mas」や「Xmas」という表記をせず、「X’mas」という表記をするんだろうか?
もちろん、「X’mas」という表記自体が間違っているわけではない。けど、「X」だけで「キリスト」を意味するので、別にいらないと思う。まぁ、個人の勝手だが。
そんな意味がないことを考えて読んでいったが、徐々に飽きてきたので、僕は両腕を枕代わりにし寝転ぶ。
すると不意にあくびをしたくなり、目尻に涙を溜めながら、大口を開ける。けど、僕は眠くとも何ともなかった。

「...暇だなぁ〜。」

そうぼやきながら、僕は暇を潰す方法を模索する。
クリスマスの夜の町へ行ってみようか。そうすれば暇つぶしにはなるのかもしれない。
けど、冬の夜はとても寒い。行くとしても相手もいないし、あちこちでイチャついているカップルを眺めて妬むだけの寂しい夜になってしまう。
それに、最近のクリスマスはどこへ行ってもクリスマスの装飾やクリスマスの音楽が溢れていて、正直うざい。いつか自分の中でゲシュタルト崩壊が起きそうである。
けど、クリスマス自体は嫌いではない。最近のクリスマスは、ほとんどの人が有難味を感じていないことに不満を持っているだけだ。
さて、外には出ないということになると、何をして過ごそうか?最近発売された某戦争ゲームでもして過ごそうか?これぞ「戦場のメリークリスマス」、なんつって。

「プッ...!」

そんな下らないギャグを思い付き、思わず失笑してしまう。こんな下らないギャグで笑うなんて、我ながら寂しい奴だなー、と思う。
しばらくして、僕はあることを思い出す。

「そういや、友達が言ってたなぁ...。クリスマスだけにでる不気味なサイトがあるって...。」

それは、冬休みに入る前に友達から言われたある噂だった。
なんでも、クリスマスの24日、その1日だけネット上に現れるサイトがあるという。
そのサイトを見ると災いが起きたり、最悪、死んでしまうとも言われたが、別に気にしてはなかった。
だが、クリスマスの1日だけという期間限定ということと、その不気味なサイトにちょっとした興味があったからだ。そうでもなければこんな下らない噂、すっかり忘れているところだ。
よし、折角だから見てみよう。うん、そうしよう。
そう思った僕は、こたつから離れたくない思いと、部屋の中に充満する寒さに耐えつつ、いつも勉強する机の上に置いてあるノートパソコンを取りに行った。






「さて...これでいいかな。」

ノートパソコンのプラグをコンセントに刺し、電源を付けこたつの上に置く。これをやるのは久しぶりだな。最近はやれてなかったからな。

「よし、調べるか。」

そう言ってパスワードを入力し、某検索サイトを開く。

「しかし...不気味なサイトなんて見つかるんだろうか...?」

先程調べるなんて言ったけど、僕は正直その噂に半信半疑だった。だって、クリスマスという目出度い日に死ぬかもしれないサイトが出てくるなんて...。そのサイトを立てた奴はよっぽどクリスマス
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