カキーン!!
「やった!」
「げっ!また!?」
ここはある空き地。そこに三人の少年達が簡易的な野球をしている。
「へへーん!」
「またホームランだ!すごいよ!」
「強すぎだよよっちゃん!」
よっちゃんと呼ばれた少年の名前は 南 陽太郎 三人の親友達と今日は野球をしている。
「もっかいもっかい!」
「また〜?」
「よっちゃん強すぎるからやだよ!」
「いーじゃんもっかいだけ!」
「分かったよ!もっかいだけね!」
「よっしゃ!いくぞ!」
もう一度するようだ。再び打席に立ち、バットを構える陽太郎。
「いくぞ!」
「こい!」
「えい!」
ビュン!!
「ここだあああ!!」
カキーン!!
それは、一瞬のできごとだった。陽太郎は見事にバットの芯でボールを捉えた。そして、そのボールは美しい弧を描き・・・
見事にガラスに命中した
ガシャーン!!
「あ・・・」
「ひっ!」
「あそこは・・!」
「いてえええ!!!」
「姐さん!!」
「大丈夫ですか!?」
ガラスを割ったのが、普通の民家ならばよかった。しかしそこは、魔物の任侠達の集まる屋敷だった。地元では有名な恐い所。ということで子供たちの間では知られている。実際は地元の者達からは愛されているが・・・
「おらあ!!」
「姐さんにボール当てた奴はどこだ!!!」
「ひっ・・・!」
すんごい恐く見えた。
「うわあああ!!!」
「よっちゃんごめん!!!」
「あっ!お前ら!!」
陽太郎の友達達は逃げてしまった。それもそうだ、すんごい恐いお姉さん達が屋敷から出てきたのだから。
「姉御、あのガキ・・・」
「あ?・・・ふーんアイツか・・・」
「ひっ・・・!」
とうとうバレた。ゆっくりとマンティコアとヘルハウンドが近づいてくる。
「ボク。すこし来てくれるかな〜?」
「大丈夫。なんにもこわくないよ〜?」
「あ・・・あ・・・」
すっかり陽太郎は腰を抜かせてしまった。サラシを巻いたお姉さん達に囲まれているから当たり前だが。
「さっおいで」
「ちょ〜っとだけお話するだけだから。ね?」
「は・・はひ・・・」
声は優しいのに、笑顔なのにも関わらずマンティコアとヘルハウンドはすさまじい怒気をはなっている。すっかり陽太郎は萎縮してしまった。
ギギギギギ・・・
バタン!
「おらあ!!ガキ!!」
「落とし前つけろや!!」
「何したのかわかってんのか!あ!?」
「ひい!!」
口々に罵声や怒声が飛びかかってきて、すっかり怯えている陽太郎。鬼達は和服を着て、すごみをきかせているので一層恐ろしく見える。
「こらあ!てめえら!こわがってんだろうが!!」
「しかし、ティコの叔父貴!!姐さん傷つけたガキですぜ!?アタシら黙っちゃいれねえっすよ!」
「いいから黙ってろ!姐さんとこに連れてくからよ!」
「ティコの姉御とアタシはこのガキを連れてくから、あんたたちも付いてきて。」
「・・・・分かりやしたハウの姉御・・・」
(俺・・・死んじゃうのかな・・)
そんな心配をする陽太郎だった。
ギシギシ・・・
「姐さん。連れてきやした。」
「おう。入れ。」
「失礼しやす。」
スー
障子を開き、陽太郎は中へ入れられる。そこには・・・
「おう坊主。さっきはどうも。」
「・・・・」
頭に小さなコブができたオーガが、畳の上に座っていた。服装は男物の和服を着用しており、胸にはサラシを巻いている。そしてパイプを吹かしている。
そして通路のように両端にズラーっと鬼達が並んでいる。
「アタシの名前は、鬼山麗奈。あんたは?」
「南・・・陽太郎・・・です・・・」
「ふ〜ん可愛い名前じゃねえか。」
「は・・はあ・・・」
可愛いなどと予想外の言葉を喋る麗奈に内心、困惑した陽太郎だった。が・・・
「このガキどうします姐さん。」アカオニ
「身体に教え込むという手も・・・」ゴブリン
「近所のガキ共にもうんざりしてたんだ。見せしめになるかもな。」ウシオニ
「ですが可哀想ですよ。まだ相手は少年。この先の未来を閉ざしてしまうにはもったいない。」アオオニ
などと恐ろしい事を口々に話す鬼達にびびり、陽太郎は泣き出しそうになっている。
「グスッ・・・」
「あー・・・どうすっかな〜・・・すごく痛かったしな〜。ガラスを割られたしな〜。」
「・・・します」
「あ?」
「なんでも・・・します・・・命はどうか・・・グスッ・・・」
「・・・ほう」
身体をプルプル震わせ、怯えながら話す陽太郎だが・・・
「虫の良いこといってんじゃねえぞ!!」
「とっととケジメつ
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