「むーくーん。」
「なーに?お姉ちゃん」
「起こしてー」
「自分で起きてよ・・・」
ここはある町のある家。お姉ちゃんと呼ぶ男の子は 山野 宗治 (やまの むねはる)ベッドでまだ起きない困った女性は 小池 泉 (こいけ いずみ)頭には耳があり、美しく金色に輝く髪を持つ。そう彼女は稲荷なのである。泉と宗治は血が繋がっていない。ではなぜこの家にいるのか?それは泉の両親が宗治の両親と同じく出張で遠くへ行っているからだ。両親達は仲が良く、家族ぐるみで遊んだりしている。そのため現在は二人で暮らしている。二人は実の姉弟のように仲が良い。
「起こしてくれないとお姉ちゃん泣いちゃうよー?」泉
「いつも嘘でしょ。」宗治
「えーんえーん。むーくんがいじめるー。」泉
泉はそう言って、わざとらしく顔を隠してベッドでモゾモゾする。
「お姉ちゃん時間見て。」宗治
「え・・・?」泉
泉がガバッっと腕で体を起こし、時間を確認する。そしてその時刻は午前8時35分。ななじじゅうよんぷんにじゅうにびょう。泉が通う学校の授業開始の時間は午前8時40分。もう5分しかない。
「ひゃああああ!むーくんなんで起こしてくれなかったの!」泉
「何度も起こしたよ!そのたびにお姉ちゃん同じこといってたじゃん!」宗治
「くっ・・・むーくんの可愛さのせいか・・・」泉
「いいから早く用意しなよ。遅刻するよ。」宗治
「むーくんはなんでいるのよ!?」泉
「今日は開校記念日だよ。だから休みなの。」宗治
「ずるい!」泉
「ずるくないよ。学校が決めたことなの。」宗治
泉はそれを聞いてベッドでのたうち回っている。そして急に立ち上がったと思うと変な事を言い出した。
「最終手段だわ・・・むーくん学校に一緒に来て!」泉
「へ?なんで?」宗治
「私にいい考えがあるの。」泉
泉はコン○イ司令官のように決め台詞を言い、制服に着替え、宗治の手を掴み学校へと猛ダッシュで向かう。
〜・・・・〜
「出欠確認するぞー。」先生
「到着!!!」
泉はぜえぜえと肩で息をしながら、教室に到着した。宗治を連れて。
「おう、泉、遅刻・・・誰だその子・・・?」先生
「え、誰誰?」サキュバス
「結構可愛くない?」オーク
「やだ・・・♪可愛い・・・♪」ホルスタウロス
「先生ごめんなさい!今日は私の義弟がおねしょして、その片付けをしてたから遅れました!」泉
「え!?」宗治
「キャー♪可愛い♪」アルラウネ
「おねしょするとは軟弱な・・・私が付きっきりで鍛えてやろう・・・」人虎
「アンタそう言ってあの子狙ってるんでしょ?そうはさせないわよ。」ラミア
クラスの魔物娘達は宗治に求愛をするかのように黄色い歓声を浴びせる。ちなみに泉の学校は魔物娘限定の学校。先生は既婚者に限られる特別な学校だ。
「そうか・・・ならまあいいだろう。席につけ。その子は帰らせてやりなさい。」先生
「ありがとうございます。」泉
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん・・・」宗治
「(お菓子買ってあげるから)」泉
「分かったよ・・・」宗治
宗治は渋々自分がおねしょをしてしまったという嘘を受け入れ、学校を後にしようとした。そして廊下へ行き、曲がり角を曲がった瞬間である。
ムニュ
「わぷ!」宗治
「んー?男の子?」
宗治はなにか柔らかいものにぶつかり、歩を止める。そして頭上から女性の声が聞こえる。
「ぷはっ!・・・わっ!」宗治
「そんなに驚かなくてもいいじゃん。ただの胸だよ?」妖狐
「あわわ・・・ごめんなさい!」宗治
「んーいいよいいよ。可愛いねキミ」妖狐
女性はケタケタと笑い、宗治をからかう。それとその女性はなかなか派手な格好をしていた。いわゆる現代っ子といった感じだろうか?短いスカートに制服とはいえラフなコーディネート。胸元が少し空いている。宗治が少し慌てたのはこのせいでもある。すると宗治はあることを考える。
「(お姉ちゃんみたいな見た目だけどなにか違うなあ・・・)」宗治
そう。彼女は妖狐。稲荷と似ているが、別の種族である。稲荷の方は(個体差はあるが)おしとやかである場合が多い。しかし妖狐の方は(こちらも個体差があるが)いやらしく男性を誘惑するような種族である。
「キミなんでここにいるの?」妖狐
「あ、あのお姉ちゃんが連れてきて・・・」宗治
「お姉ちゃん?誰?」妖狐
「あ、お姉ちゃんは泉って名前・・・です。」宗治
「泉の?へー弟なんかいたんだ。」妖狐
「じゃ、じゃあ僕これで!」宗治
「バイバーイ。気をつけてねー。」妖狐
宗治は走って自宅へと帰る。恥ずかしくなって逃げた感じだが。
「チーッス。遅れましたー。」妖狐
「おい、ケイ。また遅刻だぞ。」先
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