山の牛

「こらー!達吉ー!」モブ

「へへーん!引っ掛かった引っ掛かった!」達吉

男性が怒りながら追いかける男の子は 山野 達吉 ここジパングのとある村では有名な悪童だ。今日は男性の家の玄関に紐を引っ掛けて、転ばせたのだ。

だから引っ掛かったて言ってるんだと思うんですけど(激寒迷推理)

「はあ・・・また達吉か・・・」モブ

「やってないこと村娘の覗きくらいじゃあないか?」モブ

「意外と恥ずかしがりやなんだよな達吉。この前なんか村娘に頭撫でられただけで顔真っ赤にしてたぜ。」モブ

「見た目は可愛いんだけどねえ。ウブなのもいいけど・・・♪」村娘

「まっとりあえず捕まえましょ。」村娘

意外にも村娘の人気は良いようです。しかしいたずらはいけないことです。きちんと叱らなければなりません。

「それっ!達吉君捕まえたぞ!」村娘

「わっ!?」達吉

「ほらっ。おじさんにごめんなさいは?」村娘

「うるせー!離せー!」達吉

「ん?お姉ちゃんを怒らせちゃうの?」村娘

「うっ・・・分かったよ・・・ごめんなさいおじさん。」達吉

「たくっ。謝るならすんな悪ガキめ。次はするなよ。」モブ

「ほらっ行くよ達吉君。みっっっっっっっっちりとお説教よ。」村娘

「ひいいいい・・・・」達吉

「なんか文句でもあるの?」村娘

「いえ・・・ナイデス」達吉

「ん。宜しい。」村娘

ちなみにこの村娘は暴漢に襲われたとき暴漢の顎を砕いている。拳骨は大地を割り、蹴りは海を切断し、咆哮は天まで轟くとまで言われている。恐ろしや。





「ううっ・・・すっごい怒られた・・・」達吉

みっちり絞られ、フラフラの状態で達吉は歩く。ちなみに達吉には親がいない。達吉が幼い頃、流行り病で逝ってしまったのだ。それからというもの達吉は誰かに構ってほしくていたずらをしている。村の者達はそれを分かっているので叩いたりはしない。みっちりと説教はするが。

「なあおい聞いたか。「また」出たらしいぞ。」モブ

「ああ。山牛だろ?勘弁してほしいぜ・・・」モブ

「(んっ?なんだろ?)」達吉

達吉の前から村の男達が歩いてくる。達吉は話を聞くため、物陰に息を潜める。

「なんか今回は木を蹴散らした後が見つかったらしいぜ?」モブ

「家畜も襲われたらしい。恐ろしい化け物だなあ。」モブ

「(化け物・・・?)」達吉

「近隣の村は作物がダメになったから龍神様に生け贄を捧げたらしい。それも小さな男の子を。」モブ

「なら達吉か?」モブ

「(ひっ!?)」達吉

「いや、龍神様が女だったから男の子を捧げたんだよ。山牛は何かは分からん。だから村娘に白羽の矢がたったのさ・・・。実行は今日の夜だ。」モブ

「(よかった・・・ん?けど村娘・・・まさか・・・)」達吉



ダッ!


「ん?なんか今走っていかなかったか?」モブ

「気のせいだろ。」モブ

達吉は急いで走り出す。今日怒られた村娘のことを思って。達吉は村娘の家へと急ぐ。

「はあはあ・・・姉ちゃん・・・!」達吉

達吉はようやく村娘の家へとたどり着いた。日は傾き始め、鴉が鳴いている。

「(・・・やっぱり姉ちゃんが生け贄だ。)」達吉

達吉が物陰に隠れて様子を伺っていると、村娘は籠の中に入った。そして籠は山の方へと運ばれていく。

「(追いかけなきゃ!)」達吉

達吉は後をつけます。なるべく早く。そして音をたてずに。













「よし。ついた・・・すまねえ・・・生け贄なんかにさせちまって・・・」モブ

「いいのよおじさん。達吉君は?」村娘

「・・・・あいつには伝えていない。あまりにも悲しすぎるからな・・・」モブ

「そう・・・ごめんね達吉君・・・」村娘

「さて・・・俺はここで退散させてもらうぜ・・・達吉には上手く言っておく・・・」モブ

「・・・お願いします」村娘


男は急いで山を下る。村娘と籠を残して。


「達吉君・・・ごめんね・・・」村娘

「本当だよ。ちゃんと言ってくれよな。」達吉

「そうね・・・ってええええええええ!?」村娘

達吉は籠の中に入ってきた。村娘もびっくりして大声をあげてしまう。

「なんで達吉君がここに!?」村娘

「話を聞いたんだよ。姉ちゃん逃げよう。生け贄なんかになる必要ないよ!」達吉

「けど・・・」村娘

「うるせー!ほら早く!」達吉


その時でした



ガサッ



「・・・!」達吉

「静かに・・・何か来てる・・・!」村娘

「んだ?これ・・・籠?」?

「(女の人・・・?)」達吉

「(おかしいわ・・・こんな時間に・・・)」村娘

「んー・・・女一人に・・・おっ・・・男かあ?くくっ・・・生け贄のつもりかい・・・じゃあ遠慮なく・・・」

「(山牛・・・!)」村娘

「ひいっ
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