「美味しい・・・」蟹(キャンサー)
昔々あるところにとてもおとなしい蟹がおりました。彼女は無口で普段もホゲーっとしていて、無表情な女の子です。
「やあやあ蟹さん。そのおにぎりを一つくれないか?」猿(男の子)
と、そこに。とても悪い猿がやってきました。おばあさんの干し柿を奪って代わりにもっと高級な果物を置いたり、罠にかかった獲物を逃がして(助けて)しまったり。とっても悪い(笑)男の子です。
「やだ・・・チャキ」蟹
「まあ、待てハサミを向けられちゃビビって話もできやしねえ。ここに果実の種がある。これを育ててりゃ立派な大木に実がたくさんなるってわけだ。だからこいつを交換してくれ。OK?」猿
「OK!」蟹
「あぶねっ!じゃあな〜。へへっ頂きぃ!」猿
ああなんということでしょう。蟹さんは猿に騙されて交換してしまいます。
「育てなきゃ・・・(使命感)」蟹
果実成長日記の始まりです。
1日目
「頑張ってね・・・」蟹
「ん?頑張ってんな。まあそんな早くできるわけないけど。」猿
2日目
「芽が出た・・・」蟹
「はっや!?」猿
3日目
「出来た・・・」蟹
「ええ・・・(困惑)」
なんとたった3日で出来てしまった。蟹さんは喜んで取ろうとします。
「む・・・登れない・・・」蟹
ズコー悲しいことに蟹さんは木に登れません。
「んっ?蟹さん俺が取ってこようか?」猿
「お願い・・・猿くん・・・」蟹
猿は木に登って果実を取ってくると言います。流石は猿です。高い木もあっというま。凄まじい早さで登っていきます。
「いっただきまーす。モグモグ・・・美味しい!」猿
「パクパクモグモグ・・・」猿
「私にも頂戴・・・」蟹
蟹さんは猿に果実をねだります。上目遣いで可愛いです。
が
「あっかんべー!こんな美味しい果実俺一人のもんだよー!」猿
「むっひどい。」蟹
なんということでしょう。猿は最初から一人占めするつもりだったのです。
「頂戴・・・」蟹
「わわっ!」猿
負けじと蟹さんも木を揺らして猿を落とそうとします。危険なのでマネしちゃダメだよ。
「この・・・!これでも食ってろ!」猿
バキッ!
「キャッ!」蟹
ひどい!猿はまだちゃんと熟れてないかた〜い果実を蟹さんに投げつけました。蟹さんは・・・
「きゅう・・・」蟹
気絶してしまいました。それを見た猿は・・・
「あっ・・・ごめんなs・・・いや!俺は悪くないもん!逃げよう・・・」猿
さっさと逃げてしまいました。
猿蟹合戦の幕開けです。
「ぶわっはっは!可愛いもんだなぁ!そのガキ!」臼(ウシオニ)
「笑い事じゃあないぜ。きっつーいオシオキしなきゃなあ・・・♪」蜂(ホーネット)
「だがどうする?あの男の子は中々頭が良い。真正面から行っても一瞬で逃げるぞ。」火(栗)(イグニス)
「私に作戦・・・ある・・・」蟹
蟹さんの仲間たちの集合です。全員が ないすぼでー なお姉さん達。力自慢。相手を餅(糸)で拘束する臼。毒で相手を動けなくする蜂。全てを焼き尽くす。いつも冷静な火。そして被害者。蟹さんです。猿にオシオキをする作戦をたてている様子。
「なんだぁ?どんな?」臼
「まず火が猿くんの庵の火に化ける・・・あの子栗を焼くと思うから・・・パチーンって栗を弾いてびっくりさせてこけさせる・・・こけた後、蜂が猿くんをひと突き・・・あわてて家を飛び出した瞬間、屋根に隠れてた臼がのしかかって餅(糸)で縛ってオシオキの開始・・・」蟹
「よっしゃ楽しみだ」臼
「毒がまわるまで時間があるからそれまでどうやって楽しもうか・・・♪」蜂
「こいつら怖い」火
「行こう・・・」蟹
〜猿のおうち〜
「寒い寒い・・・お姉ちゃん・・・いや、蟹さん怒ってるかなあ・・・」猿
猿が家に帰ってきました。少し反省してるようです。
「いや!俺は悪くない!お姉ちゃんが悪いハズ!忘れて栗を焼こう。」猿
ここで謝っておけば・・・なんと哀れな猿なのでしょう・・・
「・・・あれ?なんか火が強いような・・・」猿
パチーン!
「わあ!」猿
すってんころりん。猿は驚いてひっくり返ってしまいます。
「とりゃあ!」蜂
ブスッ!
「ひっ!?痛い!」猿
すかさず蜂が針で猿を刺します。毒がまわるのは時間の問題でしょう。
「いったいなんだよ!逃げよう・・・!」猿
猿は急いで家から脱出しようとします。その瞬間でした。
「どーん!」臼
「あう!」猿
「とりゃあ!捕まえたぜ!」臼
「ひい!?なんだよ!ほどけよ!」猿
あっけなく捕まってしまいました。
「おうおう。お前蟹になにしたか覚えてんのか?」臼
「さっき謝ってりゃ少しは手加減したんだけ
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