彼女の向日葵

ガタン
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#183;ガタン
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田舎の風情溢れる景色を受け、電車は走る。線路の上を独特の金属音を鳴らしながら。ここはとある町のとある場所。そこに一人の青年が故郷へと帰ってきた。

「もう、ここまで来たのか・・・早いなあ・・・」

青年の名前は「川本 治」この田舎生まれの人間だ。里帰りだろうか・・・?少しだるそうな体を動かしながら、外の景色を眺めている。

「どれくらい前かな・・・?その時も向日葵は咲いてた・・・ミア・・・」

ーーーーーーーーーー

「へへ、山奥に化け物なんかいないじゃん。やっぱり母さん達の嘘だな。」

あれはまだ俺が小さかった時だ。村の約束を破って、山奥に入った。確か、母さん達は山奥には化け物がいるから入ってはいけない。って言われた。悪ガキだった俺は確かめられずにはいられなかった。



今思えば・・・



「グルル・・・」

「え?」

「グワアッ!」

「ひっ・・・!助けてえええ!!」



熊や、猪。獣がいるから入ってはいけない。って警告だったんだろう。そこで俺は死ぬんだと思った。その時だった。

「ハッ!」

「ふぇ・・・?」

「ギャオッ!」

「帰りなさい。この子はただ迷いこんだだけ。だからもう怒らないで。」

「グルル・・・」

ズシッ
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#183;ズシッ
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彼女と初めて会ったのは。

「あの、ありがとう・・・」治

「少年。なぜ入ってきた?ここは危険だ。すぐに帰りなさい。」

「ぼ、僕は治です!少年じゃないです!お姉さん!」治

「ふむ、そうかそれはすまない少年。それと私はミアだ。少年。」ミア

「む〜!」治

「フフッ。早く行け。お母さんが心配しているぞ。」ミア

「あ・・・」治

「どうした?」ミア

「道分かんない・・・」治

「・・・・はあ」ミア

最初は呆れられた。それと彼女の姿はとてもかっこよくみえた。かわいいではなかった。俺にとって憧れの存在。そして、家に帰ると物凄く怒られた。

数日たってかな・・・?

「少年。また来たのか・・・」ミア

「へへっ。お姉さんと話をしたいと思ったから。」治

「また怒られるぞ。」ミア

「いいよ別に。お姉さんがいるもん。」治

「まったく・・・」ミア

「へへっ!」治

本当にクソガキだった。そのクソガキは俺だ。ミアはいっつもため息をついていた。

「お姉さんはなんでここにいるの?」治

「ん〜。気に入ったから。だよ。」ミア

「ふ〜ん。なんで金色の髪してるの?」治

「それは私がエルフだからだよ。」ミア

「エルフ?」治

「うん。この森の番人。」ミア

「うっそだー!お姉さん全然恐くないもん!」治

「そうか。けどこの耳を見てくれ。少年と違って、尖っているだろう。」ミア

「ん?あっホントだ!」治

「だろ?嘘じゃないさ。」ミア

「じゃあお姉さんは魔物っていうの?」治

「ああ。」ミア

「カッコいい!」治

「そうか?」ミア

「うん!」治

「そうか。」ミア

他愛ない会話だった。それでも幸せだった。ミアといることが、何よりの幸せだった。

「少しついてこい。少年。」ミア

「どうしたの?」治

「見せたいものがある。」ミア

「?」治

その時はまだ分からなかった。どんな光景が広がっているのか。

「ほら、見てみろ。」ミア

「わあ!すごい!」治

覚えている限りでは・・・赤い薔薇、アイビー、白い薔薇、モモ。そして向日葵。全て、見事なモノだった。どの花も生きているかのように輝いていた。

「全部お姉さんが育てたの!?」治

「ああ、種からな」ミア

「すごい!」治

「そうか。」ミア

よく考えれば、季節が混ざっていた。それが魔物としての彼女の力だったのかもしれない。

「この向日葵が綺麗!」治

「ん?良い選択だ。私も特に気に入っている。」ミア

「けど、僕より大きい・・・」治

「じきに身長ものびるさ。」ミア

「頑張る!」治

「頑張れ。」ミア

「うん!」治



その日はそれで帰った。その先もそんな日が続いていた。けど、少し事件が起きる。

ピシャアアアアアンッ!!!

「わあ!」治

雷雨だ。それも異常気象。怖かった。恐ろしかった。その日の夜はよく眠れなかった。そして、翌日の事だ。

「お姉さん!」治

「少年・・・!」ミア

「大丈夫だった!?ケガしてない!?」治

「ああ、私は大丈夫だ。しかしなぜ来た?危ないだろう。」ミア

「だってケガしてるかと思って・・・」治

「大丈夫。この通りピンピンしている。」ミア

「花畑は!?」治

「・・・・少々、被害が大きかった。」ミア

「・・・!ダッ!」
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