私は農民になりたかった
父も祖父も、そして代々の先祖達もそうして生きてきた
当然、私もそうなると思っていた。しかし、どこをどう間違ったのか歯車は違う場所へかみ合わさってしまった
『今度はどんな娘が生まれるのかしらね?』
卵をやさしく撫でながら妻が言う
「私たちの娘なのだからきっと良い子が生まれるさ」
と、微笑みながら私が言う
そんな毎日に“何故?”と心のどこかでは疑問が頭をもたげる
いつの間にか、畑を耕し作物を育て収穫を喜ぶ民ではなく、遺跡の奥で妻との間に出来た新しい生命に喜ぶ者になっていた
いつまでこの問いが続くのであろうか・・・
それは・・・
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「かつてこの地は緑豊かな豊穣に恵まれた土地だった。しかし、俺たちの曽祖父の時代、前の魔王と人との間で戦が起こった。
数と力と邪悪さで世界を破壊していった魔族は、この国に侵入した。そして、この土地で奴らと曽祖父たちは戦った。
奴らの不浄、そして曽祖父達の血と呪詛がこの地を覆い不毛の大地へと変えてしまった。俺は誓うこの地を再び豊かなる地にすると!!」
と友は言った
「俺も誓う!先祖達の誇りと先祖代々農民だったこの血のかけて!」
私も誓いを立てた
「よく言った!俺たちの次の世代のころには豊かな緑が続いているのだろうな」
「ああ。俺たちは戦士や勇者とは違う、大地こそが戦いの相手だ。大地は素直だからな!決して手を抜けるものではないな」
互いに輝かしい未来を思い描く。心湧く夢を私たちはよく語り合ったものだ
そんな私たちであったが齢が20になった頃、ひとつの噂が街々にたった
“古代遺跡に巣食う魔物が街に降りてきて悪さをしていく”
なんでも古代に作られた地下遺跡にいつの間にか魔物が居座り、周辺に被害を与えていると言う
若い男が魔物に攫われたり、食糧庫が破られ備蓄しておいたものが盗られたりと被害は日々大きくなっていると言う
「街での出来事で俺たちにはまず関係ないよな?」
そう、高をくくっていたのだが、ある朝、収穫物が保管していた村の倉庫からごっそりと盗まれていた
そんな被害に各村々は王都に救援要請を出し魔物討伐隊を編成した
私たちなど戦力になりそうにないものまで徴兵された。生まれてこの方、剣など持ったこともないのに鎧兜に剣。正直頭数なのだろう
「心配するな。魔物退治は王都から来た専門家がやってくれるさ!」
重い鎧兜に身を硬くする私に友は笑いかける。おそらく彼も心細いはずなのだろうが、そんな友が頼もしい
「そうだな。俺たちは農民。戦う相手が違うわな」
「その意気だぜ!」
古代遺跡はその昔、神聖とされた山に何かの儀式を行う目的で作られた。どう使われていたのかは定かではない。内部は迷路のようになっており、入った者に試練を与える。
そして、それを切り抜けたものに祝福と洗礼を行う宗教儀式を与える場所ではないかと思われている
「よいかよく聞け!かつて王宮調査隊が、遺跡内部を調査しているそれによって敵が潜んでいると思われる最深部への到着は容易であろう!
しかし、内部にジャイアントアントなどの迷路などの構築に長けている魔物が多数目撃されている点から見て調査団のデータにない箇所もあるだろう。
我々の目的は内部に潜む魔物どもの殲滅である。魔物は知ってのとおり上半身は人の女性のようでさまざまな手を使い諸君らを取り込もうとするだろう!だが耳を貸してはいけない。気を許したが最後、一生いいように弄ばれることになろう!奴らは我等人間の敵だ!気の迷いなどないように!
単一での戦闘は避け、集団での戦闘を心掛ける事!攫われた者がいても決して助けに行こうなどと思わないこと!一人の勝手な行動が他のものを危険に晒される事、重々承知の上で各自行動してもらいたい!以上!!」
王都からやってきた討伐隊の偉そうな騎士がそう呼びかけている。
「そう言われても俺たちは戦闘を経験したことがないのにな」
周囲を見ると各村々から徴兵されたであろう人々も多く見かける
「それだけ厄介というわけなんだろう。とにかく俺たちはこんな所で終われない!十分に気をつけて行こう」
友の励ましの声にいつも私は助けられる。とにかくこんなところで魔物なんかに捕まるものか!
内部は予想を超えていた。
何もない空間だと思って進むと突然床が割れ下に落ちる。滑り台のようになっていて体勢を崩した兵士達を下で待っていた魔物たちが歓声を上げて攫っていく。
仕掛け矢が仕掛けられておりそれを受けたものは、毒で体の自由が利かなくなり近くの壁に寄りかかるが壁が回転するようになっておりその中に消えて行く。
さまざまな彩色や金などの彫刻に彩られえた宝箱を迂闊に触ってしまい
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