『いい旅を〜』
と言って見送ってくれたエルリード牧場の人々…
ちょっと泣きながらもにっこりと笑って見送ってくれたハンナちゃん…
魔方陣の光で見えなくなるまで、手を振っていてくれた
なんか心が無性に悲しく寂しかった
「また来ましょうね?」
と、ガイドさんがにっこりと笑ってそう言ってくれた
魔方陣で行った先は植物園とのことだった
相変わらず、ガイドさんの胸…に包まれていたもんだからどんな感じで移動しているんだかまったく分からなかったが…
普通の旅行と違って移動に時間が掛からない為に、まったくストレスがないのもありがたかった
『さぁ〜寄ってらっしゃい食べてらっしゃい!一時間○○○で食べ放題だよ〜!!』
たどり着いたのは、開けた広場
その向こうは山になっており果樹園のように低木が連なっていた
空を見れば相変わらず曇った天気
むこうでは小さな女の子のような人が声を張り上げている
よくは見えないが、大きな丸たん棒を張りせんを振り上げように振りながら客寄せを行っていた
『さぁさぁ!ここのはそんじょそこらで手に入るようなもんじゃないよー!どこまでも美しく、どんな男でも発情しちまうような魅力をつけてくれる至高の宝玉だ!!特別栽培でその威力も普通の倍以上!自分で食べればその魅力も味も天と地の差が出るほどだ!旦那や意中の男の魅力をさらに引き出したいヤツはどんどん食べさせて最高の精を貪れるようにできる一品さね!さぁ!買った買った!!食べ放題なら、旦那や彼氏との食べ比べもできる!ゲーム感覚でさらっと食べさせて最後の締めに最高のごちそうを頂くこともできるように向こうにはロッジも完備だよ!さぁ、寄っといで!食べにおいで!…』
バナナの叩き売りみたいだ
彼女の周りには、一見人のようだけれども角と翼としっぽを生やした女の人やカップルが多く集まっている
「さぁ、つきましたよ?これから、深井様にはとある果実の食べ放題をしていただきます」
「…あのぅ植物園ではないのですか?」
「ここは広大な植物園です。その中の一部にある果樹園で食べ放題をしてもらいます」
「なんの果実ですか?」
「あなたの世界では見たことも食べたこともない果実です。まぁ、とにかく行ってみましょう」
たべさせたらどうなるの?とばかりに楽しそうにしているガイドさん
行ってみてからのお楽しみということらしい
ガイドさんは丸太ん棒の女の子に話しかけている
「こんにちは、・・・の果実食べ放題を予約してあるララノアと申します。今、大丈夫ですか?」
ガイドさんが声を掛けると慌てたように早口で言った
「こ、これはリリム様!は、はい!!最高の場所をご用意しております!」
「ふふっ、ありがとう。さぁ、深井様?準備が出来ているようなので行きましょう?」
「リリム様ー!場所はこの区画の一番奥ですー!」
「ありがとう!」
女の子の横を通る時台の上には、紙の箱の中になにかの果実が6個幾らという形式で売っているようだった
箱の中身の果実はピンク色のハート型…桃のようにも見える
ハート型の水風船のようなその果実。一体なんなのだろうか
何を食べさせられるのやら…
その区画に向かう途中、小川?が流れていた
それはピンク色をしていた
心なしかとろっとしているように見える
足を止めて呆気にとられて見ていると、ガイドさんが気づいたように近寄ってきた
「どうかなされましたか?」
「いや…あれ…」
昔、環境汚染が進む国で川に流れ込む汚水がまるで中性洗剤のような色を…丁度こんな風にピンク色をしていて川一面が泡だらけの映像を見たことのある私には信じられないものでも見るかのようにその様子に唖然とした…
「?ただの小川ですよ」
「ただの?なにかヤバイものに汚染されているのでは?」
「ああ、あの水には私達魔物の魔力が溶け込んでいるのです。だからあんな色に…かわいらしいと思いませんか?」
「…とでも…禍々しいです」
「ふふふ。確かに普通の人にはそうかもしれませんね」
「…」
次に小悪魔のような顔つきで彼女が言ったのは…
「でも、あなたも魔物になってしまえばとてもいい色に見えるかもしれませんよ?」
「うっ…」
魔物と言ったガイドさんの目が一瞬だけ妖しひかり、ぞわっと背筋が寒くなった
「ふふふっ。冗談です…冗談。さて、行きましょうね?」
促されるまま歩き出す
本当に冗談だったのだろうか?
道の両側に茂る木々には、さっきのハート型したものがぶら下がっている
「ガイドさん。あの実は一体なんなんでしょう?見たことのない実ですが…」
りんごにも桃にも見える
「ふふっ。そ れ は、お楽しみ?」
楽しそうに笑うガイドさん
「さて!つきましたよ?」
そこは、今まで歩いてきた所は少し雑草の生い茂る所だったのにここは下草がきちんと刈り取られて日当たりがよさそ
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