「誰ですか?!!」
視界がはっきりしてくると目の前に広がる光景に慌ててしまった
視界いっぱいにやわらかそうな色艶のいい大きなおっぱい…
胸元を強調するように大きく開いた黒い服
その服からはみ出るようなふくらみ…
谷間はこんなにもはっきりとした影を…
「お目覚めになられましたか?」
落ち着くような清んだ声に視線を上へと移すと、鮮やかな赤い唇とすっと伸びる鼻…そして、ワインのように澄んだ赤い瞳が見えた
「え?あ?ええ?!・・・っ!ああっ!!はい!…はい大丈夫です!!」
その瞳に吸い込まれそうな錯覚を覚えて取り乱した
「慌てずとも…。さぁ、落ち着いて?」
その人のだろうか?すべすべとした手が頬を撫でる
「?!いやっ!はい!大丈夫ですっ!・・・いや!本当に大丈夫です!!」
頭がついて行かない。何故か気が動転して心臓がバクバクいっている
落ち着こうと深く息をしようとするのだが、その人から漂う甘い香りを吸うたびに頭がぼぅっとしてきてそれだけで慌ててしまう
「もうっ。落ち着いてくれないと説明が出来ないじゃないですか」
ぷくっと頬を膨らましてそういったその人…なんだか可愛らしかった
「いや!本当に大丈夫なのでっ!…離れてもらえますか?!」
なんとかそう口に出来たが…
「仕方ないですねぇ…」
その人は、ちょっと考える素振りをすると、怯える子供をあやすようにその胸で私の頭を包み込んだ
「え?!いやっ!!あの…」
ますます慌ててその胸から逃れようとする私をしっかりとその腕で抱きしめる
「しーーー。落ち着いてくださいな。慌てることはないのですよ?」
ますます甘い香りが強くなる
その匂いが肺を満たす…と、頭がだんだんぼうっとしてきて気持ち良くさえなってくる
いつしか、すがるように頭を預けていた
やさしく頭を撫でる感触・・・あったかな人肌の温もり……落ち着く…
すっかり、体の力が抜けたのを確認したようでその人は静かに抱きしめるのをやめてくれた
「ふふ。こんにちは」
「…こんにちは」
「わたしは、ララノアと申しますよろしく」
「ララノアさんですか。私は、深井 秀樹と申します・・・。あなたはガイドさんですか?」
ぼうっとした頭のまま訪ねる
「はい。今日そして明日。このツアーのガイドをさせていただきます」
そう言うと、少し頭を下げた。つられて頭を下げると彼女の腰あたりにもあのバッチが見えた
「立てますか?」
その声で、はじめて自分の今の体勢に気が付いた
尻餅をついたように地面に転がっていた…情けない格好に慌てて立とうとすると手を貸してくれた
「大丈夫です・・・あっ…ありがとうございます」
「ふふっ。さて、これでようやく説明ができますわ」
「申し訳ない…」
改めて、彼女を見る
やはり、刺激的に大きく前の開いた服と大きな胸元に目が行く
次に、顔…
銀髪なのか白髪なのか…つやつやとして触って撫でたくなるようなサラサラの髪の毛を腰くらいまで伸ばしていて、この人も角みたいなものをつけていた。耳は映画のエルフみたいに尖っていて、後ろ…腰あたりに白い翼を…そして、白いしっぽみたいなものをつけている
…MIKの人はコスプレでの接客が流行っているのだろうか?
コスプレが気になる…ということを除けば間違いなく美人だ
そんなことを考えていると・・・
「・・・深井様?聞いておられますか?」
「え?!・・・すみません。まったく聞いていませんでした」
「もう!仕方がないですね!いいですか?これからまず最初の目的地、牧場に行きます。その際、決して赤いものを持っていてはいけませんよ?それと、言われたこと以外はしないでくださいね?襲われても知りませんからね?」
「は?襲われる?そんなに危険なところなのですか?」
「それと、ツアーの日程を楽しめなくなってもいいほどそれが好きになってしまった…もしくは、好きなのでしたら止めるなんて事はしません。むしろ、すべてを愛してあげてくださいとしか言えませんが・・・」
なんのことかまったく分からない。含みを持ったその言い方に疑問が湧くだけだった
「?・・・ガイドさん?さっきからなんのことなのですか?」
「・・・いえ。今のところ、説明できるのはこのくらいです。ツアーやわたしが語る“危険”についてのご説明をご理解いただくのは牧場へと着いてからに致しましょう。さぁ、魔方陣の中心へとお進みください」
「あの、さっきから理解できないことが・・・魔法陣ってこの床に書いてある丸い円のことですよね?そういえば、あのアパートの部屋からどうやってあなたの所へと来れたのかもまだ説明を受けていないし・・・ここはどこなんでしょう?」
やっと気が付いたかのように辺りを見回したけれど、見えるこの部屋はアパートの一室とは到底思えない
相変わらず暗い。でも、やたら広いし黒いタイル張りのような
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