「よっと」
雷にうたれた私は、その影響で腕や体が思うように動かなくなっていたが、ミーリエルの献身的な看病とメルの回復魔法で何とか動けるまで回復していた
そんな私にミーリエルは今は体を治すだけでいいと言ってくれているけど、せっかく動けるようになったのだし何かをしたいと思う。いつかのテレビで見た、田舎暮らしの醍醐味・・・薪割り。あれをやってみたいと思っていたのだ・・・
「・・・っ!」
やはり腕を振り上げる時、痛みが走る
「ユージ!そんな体じゃ無理よ!!」
痛みに顔を歪めたのを見たのか、ミーリエルが飛んできた
「せっかくの田舎暮らしだよ?私も何かしたいんだよ。それにミーリエルに甘えっぱなしというのもなぁ・・・」
「あぁユージ。これからずっと一緒に暮らしていくのだから、体を治してから少しずつ出来るようにしていけばいいじゃない?」
私を抱きしめてミーリエルはそう言った
「・・・でもなぁ」
何かを手伝いたい。いつまでもお客様扱いというものなぁ・・・
そんな思いが顔に出てしまったようで、彼女は言った
「ユージはいてくれるだけでいいの!あなたは無理を押してワタシのとこに来てくれた!それだけで幸せよ?」
「なぁミーリエル。結婚式はしてないけど私たちは夫婦になるんだろう?だったら私は君と何かを築いていきたいな」
「夫婦・・・結婚式?!」
途端に顔がぱぁっと明るくなった。目をキラキラさせて、顔が紅くなっていく
「夫婦・・・。ユージとの結婚式!みんな!みんな呼ぼう?メルも、応援してくれた人たちみんな!!」
「待って!ミーリエル!結婚式は私の体が治ってからにしてくれないか?」
?
どうして?と首を傾けるミーリエル
・・・だって今のままだと彼女をお姫様抱っこできないじゃないか!!
「だって知っている人たちみんな来るんだろ?だったらみっともない姿見せたくないよ」
そんな企てを隠してそんな事を言ってみる
「大丈夫よ!この傷は世界の壁を越えたって言う証なんですもの!みんな分かっているわよ!」
・・・みんなと言うけど、みんなってどんな人たちなんだろう?
「ミーリエル?みんなってどんな人たちなの?」
「前にユージのこと記事にしたって言ったでしょ?あの後あなたとの関係がどうなったのか聞いてくる読者が多くて、ちょくちょく記事に載せていたの!だから、式をするといえば応援してくれた人たちみんな来ると思うわ!」
・・・眩暈がした
そんな大事になっていたなんて・・・
「それだけみんなユージと異世界のことについて興味を持っているっていう事よ?」
異世界に興味・・・か
!!
唐突に頭に閃いた!
「なぁミーリエル!私が出来そうなこと思いついたよ!!」
私も記事を書く!!
私が記事を書くことによってミーリエルの書いている記事の部数も増えるだろう
書く内容は・・・そうだなぁ・・・
私のいた世界のこと・・・あと…そうだな。食べ物系かな?
魔法と言うものが一般的なこの世界で、科学に興味を持つものは少ないだろう
文系の私に科学的なことは教えられないし・・・
食べ物系が一番、親しみやすいだろう!
この世界には、ジパングと言う所があって聞いた限りでは昔の日本に似ているらしい。この地方ではジパングの食材はまず出回っていない
召喚魔法だか転移魔法だかによってジパングに注文できるみたいだけれど、それでは面倒だ。
もし、記事を見た人たちの間に異世界料理を食べてみたいと言う人達が現れたら、和食の食材が市場に置かれる日も来るかもしれない。それで需要と供給の関係ができれば私も手軽に買いに行ける
私自身、故郷の味が懐かしくなることもあるだろう
私も思うことがあって、こちらに越してくる時いろいろ日用品とか、食べ物、植物の種とか持ち込んでは来たけどそれには限界がある。故郷に戻ることは出来ないけれどソウルフードがあればどんなに心強いかと思う
私の世界のことや食べ物に興味津々だったミーリエル
故郷の味をその舌で味わってもらいたいとも思う
そんな提案を彼女にすると喜んでくれた
「ユージの国の食べ物?!食べてみたい!!どこかのお店を覗いていた時、テーブルについた人がおいしそうにお肉とかケーキとか食べていたのを見た時、よく涎が出ちゃったのよ!あんなおいしそうなものいつか食べてみたいと思っていたの!ユージもあれの作り方わかるの?だったらあなたの記事が載せられるか記者仲間のハーピーちゃんに聞いてみるね?」
そういってこの話を持っていった
ハーピーの人は二つ返事で了承してくれたらしい
私が書くことになった記事・・・題名は・・・
“ユージとミーリエルの異世界クッキング!”
つたない文字をミーリエルが校正して書き上げる
いつも市場にある食材と記憶にある食材を掛け合わせて頭を捻る。そうしながら記事を書いていく
この世界の食文
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