最初に感じたのは、冷たい感触と柔らかな感触だった
それを、額に感じた
何の感触かと思っていたら、スーっと頭を滑る
すべすべしている感触にやさしげに撫でられるのが気持ちよくて、つい安らいだ声を上げてしまう
「・・・う・・・んん」
なにかやさしいものがすぐ近くにあるような気がする
片腕はやわらかく温かいものが触れている
そのやわらかいものは呼吸をしているかのように動いている
肩が少し重いような気もする
そして、下半身に何か乗っているようだ
寝る時に布団の上に何か物を置いたまま寝てしまったかのような重みを感じる
それは、ときどきペン・・・ペン・・・とやさしく叩く。例えで言うなら、昔母親が子守唄を歌ってくれた時に手で一定のリズムをつけてくれたときのようなあのやさしい感覚・・・
そのやわらかな感触のほうに寝返りをうってみた
「・・・うん?」
やっぱり温かいものがすぐ近くにある
そして、頬のすぐ近くに息が掛かっている・・・ような?風を感じる
“すー・・・すー・・・”
さっきから甘い匂いを感じる
寝返りをうったとたんにそれはもっと強く香るようになった
そう、女性の頭に顔を寄せるといい匂いがするけどあんな感じだ
いい匂いに誘われて体を寄せる
“・・・ふふ”
誰かが笑ったような声が耳元で聞こえた
頭を撫でてくれる感触が気持ちいい
いい香りと温かさに包まれて、私はまた深い暗闇に引きずられるように落ちていった
・・・
暗闇に誰か大切な人が浮かんでいる
でも、泣いているように見える
誰だっけ?
手を伸ばしてみるも、遠ざかってしまう
トカゲみたいな尻尾があって、美人で特徴的な目が印象的な・・・愛しい・・・そう
私の愛しい大事な人・・・
その名は・・・?
ミーリエル
ミーリエル!!
名を呼んでもだんだんと遠ざかる
遠ざかるその先・・・
向こうに光が見えてきた
ミーリエルはその中へ私を導くかのように遠ざかっていく
彼女は少しこちらを見ると、にっこりと笑って光へと消えていった・・・
「っ!」
目を覚ますと白い光景・・・
まさかまた・・・?
いや、あの時とは違う・・・
白く温かな布団に顔ぐらいまでもぐっていた
頭の上に誰かいる気がしてそろりそろりと顔を上げてみると・・・
あの爬虫類のような細い瞳孔を持つ瞳が、やさしく見ていた
もう何度も見ているのに、初めて見たような気がする
近くで見ると少し緑がかっていて、その神秘的な瞳に吸い込まれてしまいそうなそんな印象を持った
「・・・」
「・・・」
少しこのまま声をかけるのが躊躇われた。
「・・・っ・・・ミー・・・リエル?」
まだ、夢の中なんじゃないかとまだ恐怖が纏わり付く・・・
「っ・・・ユ・・・ユージィ・・・。ユージィィ・・・。・・・っ」
私の名を呼ぶミーリエル
でも、だんだんと目が涙を湛えるのが見えた・・・
「ユージ!・・・もう・・・二度と目を覚まさないのか・・・と・・・」
ミーリエルは私の頭をしっかりとその胸に抱きしめた
彼女の胸元から立ち上る甘い香り・・・
これがミーリエルの匂いなんだ・・・
布団から腕を出して、私もおずおずと抱きしめてみた
温かい・・・
やわらかい・・・
彼女の豊満な胸やさしく私の顔をを包み込む。すべての不安を溶かすかのようなぬくもり・・・
どのくらいそうしていただろうか・・・
抱きしめるのを解いて見上げると彼女と目が合う
片手で彼女の頬を触ってみた
やはり、やわらかで卵のようにすべすべしている。それでいて、しっとりとした感触が伝わってきた
いつまでも触っていたい様だ
もっともっと彼女を見たくて触りながら観察する
ちょっとくすぐったそうにしながらも私のするままに任せているミーリエル
でも、彼女もそんな私の一挙一動を逃すことなく見ようとジッと私を見つめている
栗毛色した髪の毛の生え際・・・
おでこ・・・
髪の毛と同じ色をした眉毛・・・
人の耳とは違う特徴的な形の耳
どうなっているのか知りたくて指でなぞる
「あっ・・・ううん」
そのくすぐったそうで色っぽい声にドキッとした
少し緑がかった神秘的な色をたたえた目
視線が絡み合う・・・
すぐにでもキスをしてしまいそうになるのを堪える
右目の下に泣き黒子
鼻筋・・・
ピンク色したかわいらしい唇・・・
しっとりとしていて・・・指でなぞってみる
ペロッ!
「っ!」
ちょっと指を舐められてしまった
「ふふっ」
待ちきれないぞ?と言うかのような目。心がぐらつく
ピンク色したかわいらしい唇から少しだけのぞいた、イチゴのように赤い舌
頬に手を添える
彼女の目から目が離せない・・・
吸い込まれるようにキスをした
そのまま口を開けると、彼女の舌が私の舌はどこ?とでも言うように絡み付いてきた
少しざらついたその舌はキャンディー
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