彼女の情事を思い出す・・・
真夜中にいないなと思ったら二階でまさか私の写真見ながら、オナニーしていただなんてとてもじゃないが信じられなかった
あんなの見たら私だって彼女に対する情を持ってしまうじゃないか・・・
今まで向こうのことと完全に割り切っていたのに・・・
いまさらながら見なければ良かったと後悔した・・・
“おはよう!”と書かれた紙を持って互いに挨拶する
すっきりした清清しい朝を喜んでいるそんな顔した彼女
「・・・おはよう」
昨日のことを思い出してしまってまともに顔を見れない私
“・・・どうした?顔が赤いぞ?風邪か?”
「・・・風邪じゃない。なんでもないから気にするな・・・」
おかしな奴だともいいたげな様子
最近、やっと簡単な筆談ができるようになってきた私たち
こうやってなんとか会話し何が言いたいのかもなんとなくわかってきたけれども、その心うちまではまだわからない
昨日の夜の出来事・・・今の私はどんな顔して彼女に接すればいいのだろうか?
わからない・・・とにかく、平常心、平常心・・・
心の中に浮かぶもやもやを振り払うかのように、朝食の準備に取り掛かった
カメラが不思議アイテムになった頃は春だったが、今はもう夏になっていた
休みの日は当然、外など行きたくなくてエアコンつけて家でゴロゴロしているときが多くなる
“・・・休みなんだろ?どこかに出かけないのか?”
「・・・こちらの夏は猛烈に暑くなるから出かけたくない。命が危うくなる事だってあるんだよ」
熱中症なんて彼女の住んでいる所にはないのだろう。命が危うくなるような暑さがいまいち想像できないみたいで頭を傾げている
“・・・そちらの夏とはどんな夏なんだ?!”
「蒸し暑くてたまらないんだ。蒸してなければ暑くても大丈夫なんだろうけど・・・」
あちらも夏らしいから、彼女の露出の多い服を着た姿を期待していたのだが期待はみごとに裏切られた
暑くてもこの猛暑なんていうのはないらしい…だから薄着ではあるけれどもちょっと物足りない。
逆に私の方がエアコンをかけてない時はTシャツにトランクスなんて格好でいるもんだから露出が多くなって、“なんていう格好しているんだ?!”なんて注意されるけど、注意しつつその顔が少しうれしそうなのが癪に障る
緑豊かな自然に包まれた彼女の家は、つる草に覆われたりしているのでそれほど暑くはならないらしい。開け放たれた窓からは風が吹いているようで、カーテンがやさしく揺れているのが見える
はぁ、まったくあちらは快適そうで羨ましく思う
梅雨もとっとと過ぎ真夏になった今日この頃
その日も天気予報では猛暑により熱中症注意と言っている
しかし、海からの冷たい風が入り込むため午後は一時的に豪雨になる所もあるという
天気予報の言うとおり、昼間は猛烈に暑かったが夕方になるとなにやら、雲行きが怪しい
徐々に暗くなる雲を見て、夕立になるなと思った
嵐の前の静けさのように、怪しい風が吹き始め
ぽつぽつと降り始めた雨は次第に大粒になり激しさを増す
風も強くなり、近くの雑木林にある竹や木々は大きくしなっている
雲はますます黒くなり時々、ドドドーーーンという雷の音がどこからともなく響いてきた
猛烈な風と夕立、雷鳴に雨戸を閉めようと窓を開けた時だった・・・
バリバリバリッ!!!
ドドドーーーーーーン!!!
いつか聞いた耳をつんざくような音がすぐ近くの木から聞こえた
恐怖を思い出して竦む体
目に映るのは
爆ぜる木・・・
所々から煙と火花を散らす木肌・・・
飛び散る青白い稲妻・・・
一瞬だったが、飛び散った稲妻が濡れた地面を伝って部屋の中へ飛び込んだように見えた
ストン・・・
体は尻餅をついていた
どうやら腰が抜けたらしい
「・・・あ・・・っ」
窓からは、暴風と雨の飛沫が入り込み顔を撫でていく
稲光に竦む体に何とか喝を入れて、やっとの思いで窓を閉める
プルルルルッ!
プルルルルッ!!
電話が鳴っている
動かない下半身を引きずって音のするところまで這う
「・・・これは?」
音源は携帯電話だった
でも、これはあの時に使えなくなった携帯だった
「・・・はい。・・・もしもし」
“・・・・・・”
「・・・?・・・もしもし?」
“・・・あっ・・・えっ?!・・・信じられない・・・”
誰だか知らないが息を呑んだような声が聞こえてきた
「あー、誰ですか?」
誰から掛かってきたか分からずに問いかける。けれど、相手は絶句しているようで誰だか分からない
「?」
ふと、液晶ディスプレイを見るとあちらの彼女は黒くて丸い物の前で固まったように動かない
何しているのだろうか?
電話を切ろうと携帯を見たときに、その画面に信じられない顔が映っていた
「!?っ・・・君は?!」
それは・・
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