初日

 目を覚ますと。
「あ、起きた?」
 大きな目がこちらを見つめていた。
「おはよ〜」
 どうやら僕の体の上に仰向けで寝転がっているらしい。
 重たい。そして熱い。
「レディに重いとは失礼だな」
「レディ…………?」
 初対面で男に襲いかかって犯すやつのどこがレディなんだよ。
「それにレディであろうとなかろうと重いものは重いんだよ」
「ちぇっ」
 ごろり、と彼女は僕の体から落ちないように寝返りを打ち、一回転する。
「…………」
 降りる気はないようだ。
 まぁ、少女体型なおかげかめちゃくちゃ苦しいというほどの重さでもない。
 むしろ少女の体型を全身で感じられるのだ、きっとご褒美なのだ。
 正直、胸はもう少しあってほしかった。
「あのぉ」
 しかし、別の問題はあった。
「何?」
「僕、大学行かなきゃならないんだけど」
「休んじゃえそんなもん───それよりもさ、せっかく同棲生活初日なんだし」

「いろいろとエッチで卑猥なことしよーよ」

「……………」
 今日の授業は………休んでも大きな支障はない……はずだ。

「えぇ〜なんで朝ご飯先なのさぁ〜今しよ〜よ〜!」
「魔物娘のお前は朝飯抜きでいいんだろうけども、僕は人間である以上、食べなければ活動できないんだ。そこはわかってくれよ」
「………」
 どうやらわかってくれたようだ。僕もできるだけ早く済ませてしまおう。
「パンでいっか」
 バターを塗り、トースターで焼く。こんがりと焼けてしまう前に取り出し、その上に醤油を垂らす。
 バター醤油パンの完成。
 塩分が健康に害をなすくらいにヤバいと思うので頻繁には食べられない代物である。
 でも旨いんだよなぁ…………どうしてヤバいものほど手を出したくなるのか。
 バター醤油の良い香りを放つパンをテーブルに置き、僕は椅子に座る。
 では、いただくとしよう───

「と、思ったんだけど、どうしてお前が僕の膝の上に座るんだよ」
「いいじゃん別に」
 いい感じに肉の付いた太ももと尻の感触が伝わってきて食事に集中できないんだが。
「あと、パンくず髪に付くぞ」
「じゃあ落とさないように気をつけて食べてよ」
「……」
 納得いかないが、拒否してもまた操られそうだからなぁ……
 とりあえず、いただきます。
 僕はパンを口元へ運ぶ。
 彼女はそれを首を曲げて目で追う。
 サクッ
 できるだけ慎重に、パンにかぶりつく。
 おぉー、と何故か感嘆の声が上がる。
 ムシャムシャ
 相変わらず美味しい。寝起きの乾いた舌にしょっぱいバターと醤油が染み込んで……あぁ、最高。
「…………………」
 数行程度のグルメ精神空間から帰ってくると、彼女が上を向いて口を開けているのに気が付いた。
「………………は?」
 散々言っておいて食うつもりなのかよ……
「ほらよ」
 彼女の口に近づけてやる。
「ちーがーうー」
 しかし、彼女はこれを拒んだ。次に体を回転させ──いわゆる対面座位になってこちらを向いてから改めて口を開けておねだりする。
「…………」
 要するに、こういうことか?
 僕はパンを一口噛み切り、口移しで中に入れてやる。彼女の舌がパンを求めて僕の中に侵入してくる。
「んっ……ちゅっ……あむっ」
 どうあがいても目が合ってしまう。
 彼女の赤くて大きな目と。
 よく見れば、僕から見て右側の目尻に泣きぼくろがある。
 そんな風にジロジロと彼女の目を観察していると、段々ドキドキと心臓が高鳴る。彼女はそれに気が付いたのか目を歪ませ笑う。
「もぐもぐ…………ごくんっ」
 いやに官能的に、大げさな動作でパンを飲み込んだ。
「ふふふっ………美味しかったよ
#9829;」
「……………」
 あぁ、なんていうか、その。
 下品なんだが。

#9829;!────お股に堅いのが当たってるんだけれども
#9829;?」
「─────っ」
 僕はようやく。
 彼女から目をそらしたのだった。


「んっ
#9829;」
 布団の上で、仰向けの彼女に覆い被さってキスをする。今度は間に挟むものは何もない。
「ねぇ
#9829;昨日はいきなり入れちゃったけども……今回はもうちょっと気持ちよくしてほしいなー
#9829;」
「わ、わかった」
 と言っても、昨日まで完全に童貞だった僕にうまくできるのだろうか………
 ───うん、エロマンガ由来の知識があるさ!大丈夫でしょ。
「ひゃぅっ
#9829;」
 手始めに、首筋を舌でなぞる。
 かなりいいところにヒットしたらしいな。
「れろっ」
「あっ
#9829;うぅぅ
#9829;はぅぅ
#9829;きもひいいっ
#9829;」
「ちゅ」
「あ
#9829;あ
#9829;あ
#9829;ゾワゾワするぅぅぅ
#9829;」
 さっきまでの余裕はどこへ消えたのか、よだれを垂
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