Smell Fetish

「ウノ、お疲れ様!」
「…………」
 今日の仕事が終わり、俺はウノにハイタッチを求める。
 が、あっさりスルーされ、彼女は鍛冶場から出て行ってしまう。
「あ、ちょっ、ウノ………」
 ずっと前からアタック──とは言わないまでもスキンシップを仕掛けているのだが……一向に彼女の俺に対する反応は変わらない。
 無視、である。
「はぁ…………せめて仕事のパートナーらしい関係は築きたいもんだなぁ」
 仕方なく、空しい気持ちを抱えたまま鍛冶場を後にする。


 ウノに惚れたのは、俺がこの鍛冶屋に就いたその日だった。
 クールな佇まいもそうなのだが、俺が一番惹かれたのはその瞳だった──二重の意味で一目惚れである。
 そのどんな金属にも、鉱石にも負けない輝く大きな瞳に、俺の視線はすべて呑み込まれていった。
 しかし、彼女の僕に対する態度はクールだなんてものではなかった。絶対零度である。打つ手なしだ。
 それでもアプローチを続けていたのだが───成果は無し。
 そろそろ諦めた方が良いのだろうか。
 そんなことを考え始めていた。


 ──そんなことを考え始めた瞬間に俺はあることに気が付いた。
「あっ、タオル忘れた」
 自分の愛用のタオルを、恐らく鍛冶場に忘れてきてしまったのだ。
 今日も一生懸命仕事をしたせいでかなりの汗を吸い込んでいる……一日放っておくだけでもかなりまずいことになりそうだ。
 俺は慌ててリターン、そして鍛冶場へ。
「あ、ウノ」
 すると、そこにはウノがいた。てっきり宿場へ帰ったとばかり思っていたが……彼女も忘れ物だろうか。
「ウノ………」
 声をかけようとしたが、彼女が手に持っているものを見て、引っ込んでしまった。
 正確には、手に持って──匂いを嗅いでいるものを見て。
「スンスン──────
#9829;」
 間違いなく俺のタオルである。
 しかもなにか様子がおかしい。僕は物陰に隠れ、彼女の動向を監視することにした。
「クンクンクン─────スーはぁぁぁぁ
#9829;」
 たっぷりと堪能しているように見えるのは……俺の錯覚なのだろうか。
 しかし、どうやらそういうわけでもなく、彼女はあたりをキョロキョロ見回し、タオルをポケットに入れて鍛冶場を出て行った。
「…………?」
 とりあえず、尾行することにした。


(んっ
#9829;ぁっ
#9829;はぅ
#9829;んんんっ
#9829;)
 宿場の、彼女の部屋の前。
 少し耳を傾けると、あえぎ声が聞こえてくる。
(こーがくんのっ
#9829;におい
#9829;あぅ
#9829;これだけでイっちゃいそぉ……
#9829;)
「……………」
 どうやら………そういうことらしい。
(こーがくんっ
#9829;こーがくんっ
#9829;こーがくんっ
#9829;こーがくんっ
#9829;────ぅきゅぅぅぅぅぅっっっっ
#9829;
#9829;
#9829;!!!)
 どうしよう──どうしよう。
 今すごくチャンスな気もするんだけれど、これをチャンスって言うのは人間としてどうなんだろうか。
(あっ────
#9829;ちゅっ、ちう
#9829;おいひい
#9829;すきぃ
#9829;)
 でも、この状況、人間として──男として

 我慢なんてできるはずがない!

「ウノ!」
 鍵は開いていた。
 俺はドアを勢いよく開けた。
「!? こ、鋼牙くん!?」
 目を見開き、彼女は裸体を毛布で隠す。
「え、えええええ、こ、鋼牙くん、ま、まままさか」
「ごめんっ!ウノ!」
 覚悟を決めた。ただ彼女の姿に欲情しただけなのかもしれないが。
「いきなりで悪いけれども───「鋼牙くんっ!」
 えっ?
「ええ?」
「鋼牙くん鋼牙くん鋼牙くん鋼牙くん───スンスンスン」
 俺は呆気なく床に押し倒され、彼女に匂いを嗅がれる。
「ふぁっ───はぁぁぁぁぁぁぁぁん
#9829;ナマの鋼牙くんらぁぁぁぁ
#9829;」
「ふがっ、ウノ!?」
 思いっきり抱きしめられ、彼女の大きな胸に埋められる。
 まだシャワーを浴びていないのだろう、汗の匂いがする。
 でも、心地よい。きっと彼女が感じているのはこの心地よさなのだろう。
「ねぇねぇ、鋼牙くんはシャワー浴びてないでしょ?───じゃあ」
 いったん俺を離し、彼女は俺の股間に目をやる。
「こっちの匂いも嗅がせてほしいな
#9829;」

「ずちゅ
#9829;ちゅっ
#9829;じゅぷ
#9829;じゅ〜っ
#9829;こーがくんのオチンチン、すっごい濃い匂いぃぃ
#9829;味も、香ばしくって、クセになりそ
#9829;」
「くぅっ、あっ」
 いっそ襲う気でいたのだが、甘かった。
 相手は魔物娘とはいえサイクロプスなのだ。力で勝てるはずがなかったのだ!
「ぐぽっ
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