「お待たせ〜
#9829;」
人混みを掻き分けて、輝く純白の蛾が僕の前に舞い降りた。
「うぅん、今来たところだよ」
そんなテンプレート的セリフを吐き(事実だが)、僕は彼女の手を取った。
デートの始まりである。
「ククリ、今度の週末空いてるか?」
「うん、空いてるよ〜」
高校生くらいになり、角がボロボロと取れ、丸くほわほわとした性格になったククリは僕にすり寄ってくる。
だいたい察したのだろう。
「どうして〜
#9829;」
「デートしよう」
「やったぁ!パパとデート!パパ、大好き!」
僕の頬にキスをし、そしてそのまま喜びに任せて飛び跳ねる。
そのたびに成長し、膨らんだ彼女の胸がぶるんぶるんと揺れる。
………けしからん。
「で、ククリに聞きたいんだけれども、どこ行きたい?」
「街中のぉ〜遊園地と、その近くに賑わってるところがあるから、そこに行きたいっ!」
「オーケー。遊園地のチケットは取っとくね」
「やったぁ〜!」
当日になり、何故か彼女は別の用事があるから、と少し遅れてきたが。
「ふふ〜ん♪パパとデート♪パパとデート♪」
楽しみにしていることには変わりないようだ。
でも、いくらテンション上がっているからといって、鱗粉を辺りにばらまくのは駄目だ。
「はぁ〜い」
慌てて羽パタパタを止め、触角だけを動かす。
かわいい。
ククリはウキウキと僕の手を握って歩く。しかも恋人つなぎ。
「まずはお散歩しようよっ」
「うん」
「私行きたいところあるんだけども、行ってもいい?」
「いいよ、僕、ここらへんのことよくわからないんだよね………」
一応、一通り調べてはみたが。
「じゃあ、ついてきてっ」
そうして僕の手を引き、彼女は走り出す。
「いや、これは違うでしょ!」
連れてこられたのはラブホテル。
「えぇ〜だめぇ?」
「まずはデートしようよ!」
「わたしとしては〜、パパとずっと繋がってるっていうのもアリなんだけれども?」
少しその誘惑に負けそうになるが、我慢。
きっとここに入ったら一日それで終わってしまう。それは避けなければならない。
「案内してもらって悪いんだけれども、せめて、ラブホは最後にしようよ」
「ん〜〜………わかった」
結局、美味しいスイーツ屋に連れて行ってもらった。
「めちゃくちゃおいしいじゃんか」
僕が注文したケーキ。めちゃくちゃうまい。
「でしょでしょ?」
目を輝かせ、触角をピクピクと動かしながらこちらを見てくる。
「初めて食べたときからね、こう、ビビっと来てね、病みつきになっちゃったのよ〜
#9829;」
恍惚の表情でパフェを頬張るククリ。本当に美味しそうだが……その量は如何なものだろうか?
「花のJKはこれくらいメガ盛りの方がちょうどいいんです〜」
向かい合って座っているのだが、間のそのパフェで彼女の顔が隠れてしまうほどなのだ。
見るだけで若干の胃もたれが来る。
「太っても知らないぞ」
「太りませ〜ん………だけど、なんか最近胸の成長が半端なくてさ〜全部胸に行ってんじゃないかと思うのよ」
「確かにめざましいよな、成長が」
あんまり大きな声では言えないがククリの体のことは知り尽くしている………ある程度は。
最近は一日でかなり大きくなっているのだ。目にみえて。
「どうしたの?じろじろ見ちゃって〜
#9829;」
わざと胸元をはだけさせ(露出の少ない清楚な白のワンピースを着ているのだが……逆にそれがそそる)、見せつけてくる。
「いや、大きいな〜って思って」
「開き直られると反応に困っちゃうな〜」
触角がピクピクと動く。どうやら褒められて嬉しいようだ。
今のは褒めているのかどうか怪しいのだが……
「あ、ククリ、ほっぺたにクリーム付いてるぞ」
「? どこどこ?」
「そこ、あ、もうちょっと右………僕が取る」
ぐいっと身を乗り出し、指でクリームを拭き取る。
「はむっ」
すかさずククリはその指を咥える。
「ぴちゃ、れりゅっ、ちゅっ、ちゅっくちゅっ、ぷちゅっ………パパの指、甘くて、おいしい
#9829;」
「…………っ」
ぞくぞく、っと背筋に快楽が走る。
すごく、こそばゆい心地だ。
「うふふふふ………気持ちよかった?」
「……………」
目をそらす。顔がどうしようもなく熱い。きっと彼女には僕の真っ赤な顔が映っているのだろう。
「ふふふ………かわいいなぁ」
「…………」
さらに顔が熱くなる。
とりあえず、気を紛らわすためにケーキをガツガツと口に放り込む。
ククリはただにやにやと僕の顔をのぞき込む。
「ふふふ」
あぁ、でも。
本当に大人になったよな………ククリ。
彼女の笑顔をみると、そう思ってしまう。
「……なぁククリ」
「?」
「…………………………いや、なんで
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