「アタシはエイミーってんだ。よろしくな──え、呼び方? 好きに呼んでいいよ。ライラ姉さんみたいに変な趣味は持ってないからな……まぁ、でもさん付けはやめてほしいかな、なんかよそよそしいし。うんうん、まだ『家族』ではないけどもさ、お友達くらいの関係にはなろうぜ」
「ただいまー……」
「「お帰りなさい、エイミー」」
「お帰りなさい、エイミー」
外に遊びに行っていたエイミーが帰ってきた。リッチが言うには友達と遊んできたみたいなんだけども……
「あ゙〜……」
エイミーは呻きながら力なく体を引きずるように階段を上がり、そのまま自室へと消えていった。
明らかに元気がないみたいだ。いつもは元気ハツラツで、体温もないのに暑苦しい勢いで絡んでくるのに。
「……エイミー、なんだか落ち込んでたみたいだけども……」
僕は食卓でおやつを食べているリッチにたずねる。
「あぁ、あれか。きっと魔力が不足してるんだろう」
「魔力が足りないの?」
「そうだ。魔力が足りなくて活動のレベルが『生ける死者』から『歩く死体』にまで落ちてしまったようだ」
「?」
「……つまり、元の死体に戻り始めてるってことだよ」
「えぇっ!?」
それってすごく大変なことなんじゃ……
「完全に戻るってことはないだろうがずっとあんな感じの混濁状態が続くだろうな……」
「も、戻す方法はあるんですか!?」
「戻す方法ね……いつもは薬を飲んでいるんだけども」
リッチはリビングの方に顔を向ける。すると。
「それがタイミングの悪いことに切らしちゃってるのよね……」
その方向からライラお姉ちゃんが空の瓶を持って現れた。多分普段はその瓶の中に魔力のお薬が入っているんだろう。
「ふむ、困ったな……近くの街に商人が来るのは明日とかじゃなかったっけか」
「そうね……もっと買いだめしておけばよかったわ……」
「それが買いだめしておいた最後の一つだろう? 買いだめしていると思って慢心してしまったんだな。今度からは一瓶づつ買っていこうじゃないか」
「そうね……」
えぇと、ということは。
「じゃあ、エイミーが元に戻るのは明日になってからなの?」
「そういうことになる」「そういうことになるわね」
「そんな……」
それは少し可哀想だ。
エイミーは『家に引きこもっていないで外で遊びたい』っていつも言っているのに……
「なんとか元気にしてあげる方法はないの?」
二人は悩んでいる風に腕を組み、首を傾げる。
「「……元気にしてあげる方法、ねぇ……」」
でも、その視線は確信を持っているように僕の方に注がれていた。
「? ……?」
コンコン
「え、エイミー……中に入っていいかな……?」
返事はない。かすかに呻き声みたいなのが聞こえたから、もしかしたらそれが返事なのかもしれない。でもいいのか悪いのかは全然判断が付かなかった。
とりあえずドアを開けてみる。
「ヴぁァぁ……」
エイミーはベッドの上でこちらに背を向けて寝転がったまま微動だにしない。聞こえる呻き声は生きている者が出しているものとは思えないほど低く、またかすれていた。
「エイミー……大丈夫?」
「あァ゛ハわ゙ぁど? ──!?」
エイミーは、寝返りを打って僕の方を見る。
その虚ろな顔に一瞬だけ驚きが浮かぶ。
当たり前だ……だって、今の僕は全裸なんだから。
「うぅ……見ないでよぉ……」
僕は大事な所を手で隠す。
ひどい話だ。もっといいやり方があったはずなのに。いきなり全裸に剥かれてこんなことさせるだなんて……
僕はあまりの恥ずかしさに泣きそうになりながらエイミーに近づく。
本当に恥ずかしいのはこれからだというのに。
「え、エイミー──」
「ゥ?」
「ど、どどど、どうぞ、僕をを、めめめめ、召しあ上がってくださいっ!」
そう言って僕はベッドに飛び乗る。
シングルベッド──必然的に僕はエイミーと添い寝する事になる。
「はワード……」
「いいよ、エイミー。エイミーが元気になるなら僕になんでもしていいよ……」
「ン……
#9829;」
原理はよくわからないんだけども、彼女の顔が少しだけ赤くなった気がした(ゾンビって顔赤くできるの?)。
「はわぁど……すき」
「!?」
なんだか、普段元気いっぱいのエイミーに弱々しくそう言われると、ものすごく困惑する。ギャップが激しすぎて、目の前の女の子がエイミーなのか不安になってきた。
「すき……すき」
繰り返しそう呟きながらエイミーは僕の身体に腕を回してくる。そして、その冷たい身体でぎゅっと僕を抱きしめた。
「すき……すき……すき……」
甘えるように僕の頭に頬ずりをしてくる。本当に、姉妹そろって僕に頬ずりするのが好きなんだな……
「んちゅ……れろっ」
やがて彼女は僕の唇を求める。僕はそれに答
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