私の名はフュニリィ
誇り高きリザードマンだ。
とあるリザードマンの里の族長の家に産まれ、幼い頃から剣の手ほどきを受け、同世代の仲間で私に勝てる者はいない。
私の里の族長は何十年かに一度開かれる「族長決定サドンデストーナメント」によって決められるらしい。
(私が生きている内に開催されたことがないのでよく判らない)
それに優勝した私の母はそりゃもう強い。
母と同い年である隣のおばちゃん曰く、その姿まさに鬼神の如き、だったと。
(母はこの二つ名が気に入らず、「せめて戦姫にして」と言っている)
そんな母を倒し、夫となっている父は更にべらぼうに強い。
たまに里を訪れる父の元同僚さん曰くドラゴンも倒したことがあるとかないとか。
(母はその話を聞いてからどこかにドラゴンの愛人が居るのではないかと疑っている)
私はそんな2人を心から尊敬している。
そして、同時に羨ましい。
私を産んでそれなりに経つというのに未だにイチャイチャラブラブしている。たまに実の娘が若干引く程に。
羨ましい。
私もいつまでもラブラブできる強い男が欲しい。
そして毎日彼に愛を囁き、彼と共に生きる悦びを言葉に紡ぐのだ・・・・・
という訳で、私は旅に出た。
私の母も旅先で父と出会ったという。
世界は広い・・・・・・・・・・
どこかに私を打ち負かす素敵な男が居るはずだ。
と思い続けて4年
何十という男と手合わせしたが、どれも私に敗北していった。
心半ばで心が折れそうになった私はいったん里に戻ることにした。
出直しだ。
母と父の元に戻って身体と心を癒そう。
だが、里まであと1週間程で着くというところで私は気づいた。
あの滅茶苦茶に強い両親が何の手土産も無しに里にもどることを許すだろうか・・・・・いや、ない
急に寒気がした私は偶然近くを通りかかったハーピーを脅しから話を聞き、とある遺跡ダンジョンにやってきた。
なんでも遥か昔のサイクロプスが残した剣が眠っているらしい。
それを持ち帰ればなんとか許してもらえるに違いない。
意を決し、中に進む。
・・・・・・・・・・すぐに最奥まで辿り着いた。
トラップも何もない。
拍子抜けだ。警戒してた時間を返せ。
最奥の部屋の奥、台座の上に「私こそ至高の名刀!」と言いたげに噂の剣が突き立てられていた。
台座の前には1体のゴーレム。
どうやら奴が番人らしい。
トラップも無いダンジョンで長い間あの剣が護られてきたと言うことはそれ相応の実力者であろう。
剣を抜き、ゴーレムに近づく
すると低い起動音がし、今まで眠っていたとは思えない程のスピードで飛び掛ってきた
私はすぐに後方へ飛び退いた。私が立っていた場所にゴーレムの鉄拳が振り下ろされ遺跡の床が砕け散った。
「・・・侵入者発見。直ちに迎撃プログラム作動。・・・初撃命中せず・・・・初撃を回避した侵入者は3年ぶり」
『ほう。それは光栄だ。ところで、私は後ろにあるその剣が欲しいのだが、譲ってはもらえまいか?』
「・・・侵入者の音声認識。・・・剣を譲るという項目を検索・・・・・・・・・・・・・・該当なし。・・・・会話プログラム起動。あー、あー、」
何とも時間の掛かることだ・・・・・しかし、その間も隙は見えない。迂闊に動けん。
「・・・私はこの剣を護るという命令しかされておりません。それを妨害するあなたを敵として認識しました。」
『交渉決裂ということか』
「そうです。ではさようなら。・・・・殲滅プログラム起動。対象・・・リザードマン、行動パターンBを選択。殲滅開始」
『ぬお!!???』
速い!!
最初の鉄拳より数段速い。
避けるのは間に合わず剣でゴーレムの拳を受け止める。
『ぐううぅぅ・・』
なんとか受け止め、拳を捌く。
ゴーレムは一旦私から離れ、軽快なフットワークで周囲を回っている。
初撃に比べて拳の重さは激減している。これなら剣で受ければなんとかなりそうだ。
問題はスピードか・・・・・
私は深く息を吸うと最高スピードで走り出し、ゴーレムと並走する。
・・・・ほぼ互角。ならば当たる!!
そのままスピードに乗ってゴーレムに斬りかかった。
捉えた!!と思ったところで目の前からゴーレムが消え、背中に衝撃が走る。
『ああ!!!』
なんとか受身を取り、体制を立て直す。
・・・くそ!
スピードは完全にあちらが上だったか・・・・
ゴーレムは一瞬
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