そんなこんなでリハビリを済ませた俺は、ミコとマコの所有する屋敷やホテルの仕事を手伝うことになった。キキーモラという種族のメイド長さんが俺に仕事を教えてくれる合間、こんな事を話してくれた。
「お嬢様方は、昔からとても仲がいいのですよ。双子だしサキュバスに生まれなかったらきっとリリラウネでしたでしょうね」
「リリラウネ?」
と俺は尋ねる。メイド長さんは
「ああ、リリラウネと言うのではですね、必ず2人組のそういう魔物がいるのですよ。そうですねえ。珍しい魔物だから、ホテルの方にもそうそう見かけることはないのですがね」
と答えた。俺は
「へえ、2人が揃っている所は食事の時間以外は余り見かけないですけど、そう評されるくらい仲がいいんですね」
と言う。メイド長さんは
「そうですね、あの2人は仕事に根を詰めすぎることがありますからね。だからルカさん。ミコ様やマコ様がそういう素振りを見せた時は、休ませてあげてください」
と忠告された。そしてメイド長さんとの話が終わり、部屋に戻るとそこにはミコがいた。ミコは俺の顔を見るなり抱きついて来て
「ルカくぅん。最近私寂しかったんだよぉ。構ってくれないと死んじゃうぞ」
と言ってきた。俺は
「死ぬなんて、大げさですよ……」
と言うが、ミコは
「サキュバスっていうか魔物娘は寂しさで死んじゃうの!」
と返した。続けて、
「だから、私は勿論マコにも構ってあげてね。あの子も素っ気ない態度取りがちだけど、貴方との距離感が掴みきれてないだけなんだよ」
と言った。俺は
「分かりました。……でも、どうして俺にそこまでしてくれるんです?」
と聞くとミコは
「だって、ルカくんは記憶喪失で右も左も分からない状態で、ここに来たんでしょ?だったら、助けるのは当然じゃない」
と言い、
「それに……こんなに未婚の男性と話をしたのって、ルカくんが初めてなんだ」
と続けた。その言葉を聞いた俺は
(この人……見た目以上に中身が若いんだな)
と思った。それから、俺はミコとマコと一緒にホテルの仕事をこなしたり、勉強をしたりした。そんなある日のこと、休日の俺はホテルのバーで飲ませて貰っていた。勿論お代は払っている。給料を貰ってはいるが使い道が現状ここくらいしかないのだ。俺はバーのマスターに
「この島、娯楽ってあんま無いですよね……」
と言った。バーのマスターは
「そうかい?」
と言う。俺は
「そうですよ。このホテルガッツセレクトのバーとゲームコーナーくらいしかないですよ」
と言った。後は島外からハーピーが運んでくる新聞くらいか。まあ離島にはよくある話だけど兎角娯楽が少ないのだ……するとマスターは俺に
「そうだなあ、島の外に行くと言う選択肢もあるが、魔界での一番の娯楽と言うとやっぱりアレだな」
と言った。
「アレ?」
「セックスだよ」
カウンター席に座っていた俺はずり落ちそうになった。俺は気を取り直して、
「相手がいないんですけど……」
と言った。マスターは
「あれ?ミコお嬢様やマコお嬢様とはまだしていないのかい?」
と言った。島内の殆どの女性にはもう旦那様がいる。確かにミコやマコは数少ない未婚の女性なのだが……俺の返答を待たずして、マスターは語り始めた。
「お嬢様方とも仲良くしてるみたいだし、そろそろ大丈夫かな?……いいか、まずはお嬢様方の寝室に行って、ベッドの上で裸になって、お嬢様方を誘惑するんだ。そして、お嬢様方が欲しくなったら『欲しい』と言わせて、それでようやくOKだよ」
「ちょっと待った!何ですかそれ!?」
「何って……セックスの話だが?」
「いや、それは分かってますよ。そうじゃなくて、なんでいきなりそうなっちゃうんですか!?」
と俺はツッコミを入れた。マスターは
「魔物ってのは、これと決めた相手にはとことん淫乱になるものさ。お嬢様方もサキュバスとしては少し変わっているが、間違いなく魔物さ。それに君を気に入っているようなのは確かだと私は思うがね」
と言った。俺は
「いやでも勘違いだったらどうするんですか?ミコは好意的に接してくれてるけど、マコはどちらかと言うとツンツンしてる感じで……」
と言う。マスターは
「魔物が人を好きになった時に取る行動なんて決まってるじゃないか。相手の気持ちを確かめたいから、積極的にアプローチしてくるのさ」
と言う。俺は
「なるほど……そういう事なら、頑張ってみますね!」
と答えた。そして俺はマスターに礼を言いバーを後にする。とは言ってもどうしよう?ミコもマコも本当に俺を好いてくれているのか?ホテルのロビーでそう悩んでいるとマコがやってきた。俺は
「マコ。どうしたんです?」
と尋ねる。マコは
「ミコがお話した
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