「…んでまあ、本題に入らせてもらう」
レオナがはっとする。
「なぜ、ここにいるんだ」
レオナがしょげて俯いた。
「…友の無くし物が、ここにあるのじゃ」
とも…とブライトが心の中で呟く。
それを聞いてふと、無くし物であの反応は過剰ではないかとブライトは思った。普通のただの物ではないのだろうか。
レオナの口が開くのを待つ。
「昔…ジパングに来た事があった」
「へえ、そうなのか」
ブライトの興味と楽しそうな声に、レオナも笑う。
「ああ、そこである魔物と出会ったのじゃ」
「それが友?」
レオナが頷いた。
「名は彩宵(さいしょう)、ドラゴンじゃなくてええと…そう龍と呼ばれていた」
龍と呼ばれる魔物の彩宵は、母がジパングでは神として崇められていると誇らしげに語っていた事を、レオナは今でも鮮明に記憶として残っている。
ジパングの知識を得にレオナはジパングに訪れ、そこで彩宵と出会った。
バフォメットのレオナの力を認め、レオナも神とされる彩宵の力を認め、サバトに入るには無理だが、大人とは呼ばない見た目だった。しかし、それでも二人は仲が良かった。
幼い頃は人の子と対等のように接して、遊んでいたのだという。今ではそれがそろそろ難しくなって遊べなくなったと言っていた事を思い出す。
そろそろ自国に帰らなければならない時になった。
―遊びにいくよ
そう言ってくれた彩宵に地図でここと教え、レオナは帰っていった。
「その後、この大陸に来てくれたのじゃが…ジパングの魔物は人と歩んでいたじゃろ?」
そう言われて、ブライトは嫌な予感がした。
「あの時まだ、多くの人間が魔物に敵意を持っていた」
それでも、息絶える事がなかったのは、龍としての能力の高さがあったからだろう。
ブライトの予感が確信に変わる。
「道が分からんと、尋ねたそうじゃ」
「っ!」
言葉では伝えていた。しかし、実際に体験しなければ、分かったつもりになるだけだ。
彩宵に得物をふるった相手から逃走は出来た。しかし。
「ある物を、盗られたと」
ブライトの言葉に肯定の言葉が聞こえた。
「ああ」
納得したブライトは、ある事が気になり、バフォメットに聞いた。
「なあ、何を盗られたんだ?」
「…我は、聞いてもよく分からんかったが…宝玉と、呼ぶ物だそうじゃ」
「宝玉!?」
ブライトが驚愕した。
宝玉は、龍の生命にかかわる物ではないが、それでも無ければ水神としての役目が果たせなくなる。
宝玉を盗られた場所は別の土地だったが、ここまで移った事が分かり、レオナはこの地に訪れた。
「じゃがな、それは封印されていた」
宝玉の力が強く。初めはどうしようもなかったらしい。
調べる為にこの地にとどまろうとしていたが、まだ敵対心を持つ人と近いこの場所に長くはとどまれなかった。
「魔物と人が生きるようになって、ここの兵士が穏やかに変化した事は本当に助かった」
あの兵隊だろうと、殺しではなく追い払おうとしている。あからさまに違った。たった数年だが、魔物の中のふれあえる存在が、変えていたのかもしれない。
「そして、宝玉が眠る場所を何度も調べ、封印から解放する法をつくった」
あとは、実行するだけ。ではさっさと行動すればとブライトは思い、それについての問いを口にした。
「…たしかにそうじゃ、しかし、あと一つが足りない」
「一つ…?」
レオナがこくりと頷く。
「そう、我一人では力不足なのだ…頼む力を貸してくれ…男の力が必要なのじゃ」
自分を超えるほどの者の助力を得たくて、だから旅人を襲ったのか。これはブライトの推測だが、外れていはいない。
明るく笑って、ブライトは言った。
「なるほど…まあいいよ、彩宵って龍も何とかしたい」
レオナの顔が、ぱあっと明るくなった。
その後は、レオナの研究が記録された書物を読んでいた。書かれている事は非常に興味深い、興味深いのだが。
「…性に関する事が多くないか…」
さすがは魔物だと感嘆としてしまう。ちらりと様々な薬品が保存された棚をみる。
用途も不明で怪しいが、大方の予想があたりそうだ。
「なんじゃ、その目は」
レオナがこちらをじとりと睨む。
「いやー、なんでこう、性欲が高まる魔術とか媚薬とかそんなのばっかなんだ」
もちろん戦闘に関する記録もあるのだが。
「もちろん、我が選んだお兄様と来たるべき日の為に」
そう言ってブライトをちらりと見る。
「ふーん、お兄様になる人も大変だな、同情するよ」
レオナの視線に気づかず、ブライトが兄になる人を憐れむ。
余談だが、バフォメットの『兄』は『強大な力を持った彼女が頼りにでき思いきり甘えられる強くて優しい』が当てはまる。
ブライトは自覚なしだが、レオナを打ち負かし、ココアなどを
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