明るくざわめく声は大通りの商店から聞こえている。
それを聞きながら食事を終えふーと一息つく旅人がいた。足元にはトランクがあり、満足を現すように両の手で腹をさすっている。
男性で見た目から二十歳頃に見える。肩甲骨辺りまで伸びた黒髪を首元で括っており、席から立ち上がるとひゅんとゆれた。
会計を済まして外に出ると、真上にある太陽の光を浴びる。それを眩しそうに目を細めた。
「んー…宿どこかなぁ…」
この旅人、ブライトはついさっきこの町に訪れ、昼時なので宿より先に腹を満たしていた。腹がふくれた今、さっさと宿をとりゆっくりしたいものだ。そう考えたブライトは辺りに並ぶ商店の人々に宿を尋ねようと足を向けた。
商店の話を聞いた結果。宿は一つしかなかった。それも酒場と混同になっており、騒がしい宿だ。
今はまだ昼なのでいいが、酒場の真骨頂は夜の時間だ。仕事が終わり、疲れを吹き飛ばそうと多くの人が酒場に訪れる。それもあってブライトは残念そうな顔をして部屋にいる。
もう一つ宿もあったが、満席とのことだ。くそう。
このままいても退屈なので、ブライトは通った酒場にある掲示板を見に来ていた。
酒場は旅人の癒しにもなる場所だ。なので、依頼があれば頼めるよう酒場には依頼用の掲示板が基本ある。
金銭欲があるわけではないが、旅を続けるにも生きるにも金はいるので、何か出来るのであればやるようにしている。
「…3500万コージ!? えらく高額だな」
コルクボードにピンで貼られている紙の中に他とは一線を超える金額のものがあった。
「…」
ブライトはそれをじっと凝視し、胡乱に眉をよせる。
高額な依頼はもちろん、その難易度にも比例する。しかし、ここまでの金額ならばしばらくは困らないだろう。
「…」
椅子に座りこみ、右の手を口元にあて、さてどうしようかと考え込んだ。
その紙には簡潔に言うと、『バフォメットに襲われる旅人や商人が続出しているから何とかしてくれ』と書かれていた。
「…ん」
窓から差し込む朝日で目が覚め、霞みかかった頭のまま上体を起こす。ぼんやりとした状態でぼぅ…と思考を巡らせる。
「…ふぁああ…あーバフォメットの依頼やるんだっけ…」
欠伸をして首筋をがしがしとかきながら呟いた。
考えた結果、とりあえずその問題になっているバフォメットと合う事にした。
そう考えた理由は、一部だろうが魔物と和解したとは言っても、やはり根っこからはそうとは言えないのが現状だからだ。そもそも和解の話も五、六年前ていどでしかないのだ。永らく教団の教えに生きていた人々に急に変われと言っても難しい話だろう。
真実はそこにいたからと人が勝手に攻撃して、返り討ちにあっただけの可能性もある。実際、魔物は何ら罪がない事件が多々起こっていた。
ブライトは殺生を好まない。できるのであれば、話し合いで終わらせたいのが本音だ。だが、そうもいかない様子であれば、決闘を、それでも収まらなければ『殺し合い』をしなければならない可能性を考慮しておかなければならない。
さて、ブライトは今何をしているのかというと、情報を集めていた。昨日はもう日が落ちかけていたので、その日は外出を控え、明日にした。今はとりあえず図書館に向かっていた。
教団の教えが強く広まっていた頃は魔物に関する書物は一切まわっておらず、魔物に関する情報はとりあえず、殺さなければならない存在とされていた。
その理由は教団に不利となる知識が書かれていたので国と教団が隠していたのだ。
しかし、それも五、六年前の話、今では魔物に関する書物は人々の間に出回っていた。
宿の店主に図書館の場所を教えてもらい、その話と地図を頼りに町内を駆け回っている。
「とここか…」
辺りの家よりも高い煉瓦の建物を発見する。地図で現在地を確認する。それに書かれている図書館の辺りの土地と現在地の景色が一致しているかを確かめる。
確かめた結果、この建物が図書館だと分かり、中に入る。簡単に内部を歩き、構造を頭に入れる。
「けっこう多いな」
入口から本棚を壁として道が二つになっている。所々は本棚がなく、二つの道が行き来できるようになっている。二階への階段はなく、これも所々にはしごが掛けられていた。一応本を読むテーブルなどはあるが、読むのは家でしろという事なのだろうか、この建物の大きさとテーブルの数が足りていない気がした。
「けっこう多いな…」
これでは探すにも一苦労だ。
とりあえず本が整理され、案内図でどこにあるか大体分かるようだ。それに加え、魔物の本があるとしてもそう量はないだろう。思ったよりも早く見つけられるかもしれない。
そう考えさっさと目的の本を探す事にした。
「…」
ぐぅ〜。
「…もう昼か」
ブ
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