ラヴァーテール

「おにーさんにならいいよ? 存分に楽しむといいさ」

朝。生まれたままの姿同士で起きるわけでもなくダラダラとしていると、ラナの尻尾に目を惹かれた。
一度や二度ではなかったが、昨日の行為による気怠さがその意識を今までよりも露骨なものにしてしまっていたようだ。

ベッドの上でうつ伏せになり、大きな尻尾を揺らしながら挑発するように目を細める。
正直なところものすごく触りたかった。撫でたり抱きしめたりしてみたかった。
旅をしているとは思えないほど手入れの行き届いたフサフサ加減と艶のある毛並み。
恐らくあの尻尾全体がもふもふしているのだろうなと思うと触りたくて仕方がない。

ラナと恋仲になってから幾度となく体を重ねてきたが、実のところ尻尾を触ったことは一度もなかった。
そもそも体位がいつも正常位か対面座位、騎乗位で、行為の最中に尻尾に触れる機会に恵まれなかったというのもあるが、半獣の魔物娘にとっての尻尾はそうやすやすと気軽に触れていいものだとは思えなかったし、下手なことをして彼女の機嫌を損ねるのも嫌だった。
だが、その欲求は日に日に増していたようで、ついに今日ラナに見透かされてしまったというわけだ。

「でも、一向にボクの尻尾を触ろうとしないから興味ないのかと思ってたよ」
「そんな事ない。君に魅力的じゃないところなんて何処にもないよ」
「あ、っ……――〜〜〜〜! も、もう! なんでそうさらっと恥ずかしいこと言うのさ!?」
「嫌だったか?」
「ぅ……嬉しいけどさ……。ボクの心臓が持たないよ……」

真っ赤になった愛らしい顔を枕に押し付けて隠してしまった愛おしい恋人は、触れることを待ち侘びるように尻尾を小さく揺らす。
『触らないの?』という不安そうな感情と『触ってもいいよ?』という蠱惑的な誘惑。
遮るものもはなく、抑制する必要のない欲求は無意識のうちに手を彼女の尾に伸ばしていた。

「ひゃ……っ
#9829;」

小さな嬌声(ひめい)とビクつく身体に思わず手を引っ込めそうになるが、『やめないで』と言わんばかりに手に尻尾を押し付けられる。
その意思を汲み、なるべく優しく彼女の尻尾を愛でる。

「……! こ、これは……」

その感触は想像以上に想像以上だった。
ふんわりサラサラとした毛並みが指の一本一本に絡みつき、こちらの掌が逆に撫でられているような感覚。
手を沈めただけでこれだというのだから、撫でたらどれほどの感動が得られるのか計り知れない。

「あっ
#9829; あぅ……
#9829; ひっゃ……
#9829; お、おにーさ……んぅっ
#9829;」

気がつけば両の手が彼女の尻尾に埋もれていた。
『我を忘れる』というのはこういうことを言うのだろうか。
思わず感嘆の声を上げながら一心不乱に尻尾を撫でる姿はさぞ滑稽なのだろうが、誰にどう思われても構わないほどにそれは魅力的だった。
まるで魅了の魔法をかけられたような、そんな甘い誘惑。
防げるはずもなかった。ましてや愛おしい恋人のそれなのだから、防ぐ必要もなかった。
欲望に身を任せて、だけど優しく、だけど激しく。
万が一にも痛がってしまわないように大切に、一心不乱に愛撫する。
掌に感じる温かくて柔らかな文字通り彼女の『チャームポイント』は、俺の心を掴んで離さなかった。

「おにーさんっ
#9829; 触り方やらしっ……
#9829; ひぅっ
#9829; やぁ……っ
#9829;」

撫でているうちに『これに抱きついたらどうなってしまうのだろう』そんな欲求が心を支配する。
そう考え始めると止まらなかった。というより、止められなかった。
彼女の尻尾をこちらに引き寄せて、不思議そうな声をだす彼女を他所にそれを抱きしめてみる。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ
#9829; やっ、おにーさ……っ
#9829;」

それは、天国だった。
全身を直に極上の最上級毛布に包まれているかのような安心感。
彼女の体温と彼女のニオイで全てが満たされていく。
たまらず頬ずりしてみると、形容すればその触感の品位を貶めてしまいかねないほどの悦楽が顔全体を包み込む。
ふんわりと漂う彼女のニオイはまるで媚薬効果の香のようで、衝動的なまでに彼女を汚してしまいたくなる。

「ぇ、あっ
#9829; だめぇ……
#9829; ニオイ嗅がないで……
#9829; 恥ずかしいよぅ……
#9829;」

浅ましく勃起した息子を押し付ける。
それだけで達してしまいそうなほどの快楽を得ながら、尻尾ごと彼女に覆いかぶさった。

「ふぇ? あっ……
#9829; だめ……っ
#9829; おにーさん、えっちはだめだよぅ……
#9829;」
「悪い、我慢できないっ……!」
「うぅ……
#9829; 昨日あんなにしたでしょ?
#9829;
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