「なーんだ、お前男だったのか? ヒョロっちぃからてっきり女だと思ってたぜ!」
「ぇ…俺そんなに女々しいかな……?」
「ロイ君は〜、どっちかと言えば可愛い系よね〜?」
「そうですね。主様は丈夫な体つきに反して、お顔はとても整っていらっしゃいます」
「あ、ありが…とう?」
喜ぶべきなのかな?
それとも男として悔しがるべきなのかな?
「というか、リツ部長の男として認められる基準はなんだよ?」
「オレか? そんなの決まってんじゃねーか! 戦闘科の『教官』並に筋肉隆々でなきゃ話になんねーな!」
「あれは無理だろ!?」
教官……忘れたくても忘れられない。
あれ程までに傍若無人なミノタウロスは生まれて初めてだ。
実際何度か即死級のボディブロー打ち込まれたことあるし……。
というかあの人の筋肉って元々だよな?
俺があそこまで至るには20年以上の年月は軽く必要になるだろう。
「ま、せいぜい精進しろよな……ムギ! 紅茶おかわり!」
「うん、ちょっと待ってね」
差し出されたティーカップを受け取り慣れた手つきで紅茶を注ぐムギ嬢。
紅茶の味は淹れた人物によってその型を変えると言うが、俺もその意見には同意。
現にこの紅茶は、美味い。
茶葉が高級というのはもちろんだが、驚くべき点は他にある。
その紅茶の味を最も引き立たせるための湯温や、それを冷まし口に入れるまでの時間を完璧に計算しているムギ嬢の経験と技術。
彼女の力量には脱帽せざるをえない。
「ところで、軽音部の皆様は学業も同じパーティとして活動しているのでしょうか?」
「あ、それは俺も気になった」
コヨミさんの問いかけに便乗する。
「もちろんだよ〜。あたし達み〜んな仲良しだもん!」
「へへっ、だな!」
「いつ頃から一緒になったんだっけ?」
「入学してすぐじゃないか? 最初は、私とリツだけだったな」
「そうそう! その後ユイとムギが入ってきたんだよな!」
「あたしギターのこと全然知らなかったよね〜」
「経験のある楽器が『カスタネット』って聞いたときは耳を疑ったな」
「今や立派なギタリストだもんね♪」
「え、えへへ〜♪ そんなに褒めないでよ〜♪」
「そんなに褒めてないっつーの!」
キャハハウフフ♪
女子会ってこんな感じなのだろうか。
彼女達といると、何だかその場にいるだけで楽しい。
これが……サークルか。
「(な、なぁ、ロイ)」
「……ん?」
突然、俺の隣に座っていたミオに小声で囁かれる。
「(話がある…時間差で、出てきてくれ)」
「(? わ、わかった)」
そう言うとミオは立ち上がり、
「少し席を外す」
「なんだ、便所か?」
「リ、リツ!!」
「わ、わりーわりぃ」
「まったく……」
驚くほど自然な流れで退席していった。
というか、話ってなんだろう?
冷やかしだったら即刻出て行け、とかメンチ切られたら怖いな……。
おっと、そんなことより俺も何か考えないと。
「主様? どうかなされましたか?」
「え? あ、あぁいや! 俺もちょっとトイレに行ってこようかな〜なんて。 紅茶のせいかな? 美味しくてたくさん飲んじゃったし……」
く、苦しいか?
「そう言ってもらえると、嬉しいな♪」
ムギ嬢が手を合わせて微笑んだ。
「そうですね、ムギさんの淹れられた紅茶はとても美味です。無理もないかと」
「う、うん。そういうことだから、ちょっと行ってくる」
「はい、お気をつけて」
「お前も便所か? 膀胱ちいせぇんだな〜?」
「あ、あはは……」
苦笑いしながら部室を後にした。
「ごめん! 待った?」
「い、いや、別に……」
ミオは部室から少し離れた場所で、壁に背中を預けるような形で待機していた。
心なしか、少しソワソワしているような気がする。
「それで、話って?」
「あ、あぁ」
「………」
「………」
「………」
「………」
……無言。
な、なんだコレ…なんか気まずい……。
「えっと…ミオ?」
「っ!?」
ビクリと体を震わせるミオ。
俯いているため、彼女の表情までは確認できない。
「……ない」
「……え?」
「……まん…きない」
「ミ、ミオ?」
声が聞き取りにくいため、彼女に少し近づいた。
そして……
「もう…我慢できない!!!」
「ぇえ!? ちょっ!?」
両腕で思い切り肩を押され仰向けの状態で地面に叩きつけられた後、ミオにガッチリと組み伏せられてしまった。
あっ…彼女の柔らかい肉球が俺の腕にプニプニと当たって気持ちイイ……じゃなくて!
「ミ、ミオ!? なにして……」
「す、すまん…お前を…お前を初めて見たときから……ひうっ!?」
ミオの腰がビクリと跳ねる。
すると、彼女の股間から粘液のようなものがトロリと垂れ落ちる。
「そ、それは……」
「っ!?
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