気づけば夏。
魔界にも季節という概念があるらしく、今は『夏休み』ということになっている。
まぁ俺の場合、最初の1週間は寝て過ごしたわけだが……。
いや、ただグータラしてたってわけじゃないぞ?
あのときの、合同演習での怪我が完治するのに数週間かかったというだけの話だ。
「(´Д`)y―〜〜〜」
弁当争奪戦のときもそうだったけど、今回はレイラだけじゃなくコヨミさんにまで迷惑をかけてしまった。
今度、きちんと埋め合わせをする必要があるな。
2人には感謝の一言に尽きる。
「……1日1本、か」
あぁこれ、あの2人から絶対に守れと言われた決まり事。
コヨミさんは吸っても良いが程々に。
レイラは絶対に吸うなと言うものの、自身も吸っているためあまり強くは言わなくなった。
そして2人の議論の結果……1日1本までということになった。
まぁ……うん、心配してくれるのは嬉しい。
嬉しいんだけど、さすがに少ないな〜…な〜んて思うときもある。
しか〜し! おれも男だ。
守れと言われた以上、約束を反故にするわけにはいかない。
ここは、グッと我慢だ!
「あ、そういえば課題もあったなぁ」
課題というのは長期休暇向けの、言うなれば宿題のようなものだ。
色々といい加減なこの大学も、こういうところだけはちゃんとしている。
……いや、そこはちゃんとしなくてイイだろ。
面倒くさいことこの上ない。
ちなみにその課題というのは、
『異性の体についてレポートすること。内容は概ね自由で可』
やっぱりいい加減だった。
「主様、お体の具合はいかがですか?」
「はい、もう大丈夫です。心配かけてすみません」
「そんな…小生は主様が望まれるのならば、どのようなことでも厭わぬ所存です」
「ど、どのようなことでも?」
「はい。この身を捧げろと仰せならば、小生は喜んで主様の女となりましょう」
「ぶっ!?」
「コヨミ…程々にしておけ」
ロイPT専用宿舎にて。
備え付けの豪華なソファには俺の隣にコヨミさん、正面にはレイラが座っている。
長期休暇に入ってからは、この2人と過ごす時間が特に多くなった。
「ふむ、そろそろ昼食の時間だ」
「あれ、もうそんな時間?」
「食事の準備でしたら、小生にお任せを」
「ん〜…いつもコヨミさんにばかり作らせてるし、今日は外食にでもしようか」
「はい、主様の仰せのままに」
「む…行き先は人間界か?」
「うん、そのつもりだけど?」
いつも冷静なレイラが少しソワソワしている。
大学には人間界へと繋がる時空ゲートが存在しており、休日には向こうの世界へ遊びに行く生徒が後を絶たない。
そのまま人間界から帰ってこない者も多いとか。
「ふふっ♪ レイラは本当に人間界が好きですね?」
「す、好きというわけではない! ただ、その……そう! 興味があるだけだ!」
「それ、好きとあんまり変わんないと思うけど?」
日常生活を共に過ごす中で、2人の普段見えないような姿を垣間見る機会も増えた。
例えば、
「と、とにかく! 行くなら早く準備をしろ! 時間が勿体無いだろう!」
「夏休みなんだし、何もそんなに慌てなくても……」
「主様? レイラは一刻も早く、趣味であるショッピングを楽しみたいのですよ」
「んな!?」
「へー? レイラって買い物が好きだったんだ?」
「はい♪ 小生も昔は良く、朝から晩まで付き合わされたものです」
「コ、コヨミ! それは言わないと約束したはず……」
「ですがレイラ? これは遅かれ早かれ明確になることです。それに……小生はそんなレイラのことが、とても愛おしいです♪」
「む、むぅ……///」
と、このようにレイラの少女チックな一面がポロリと発覚することも。
この他にも意外だったことといえば、レイラが家事をそつなくこなせるということ。
全然そんなイメージがなかった分、彼女への感心は非常に大きい。
「コヨミ、外出するのにこの服は、その…少し派手過ぎないか?」
「そんなことありません。レイラはいつも暗い色のものばかり身に付けていますから、今日くらいは女の子らしい格好を……」
「なっ!? 私にスカートを穿けというのか!?」
「きっと似合いますよ♪ ショートデムニだけでは男の子みたいですよ?」
「私はこれが気に入っているのだ! まったく…誰がそんなスースーするようなものを……」
「はい、では脱ぎ脱ぎしましょうね〜♪」
「人の話を聞けーーー!?」
こうして見ると、まるで仲良し姉妹のようだ。
さしずめコヨミさんがお姉さんで、レイラが妹ってところかな?
「レイラ? 早く脱がないと、大好きなショッピングに行けませんよ?」
「は、離せコヨミ! 私は、絶対に…そんな女々しいものなど、穿きたくは……!」
見ての通り、コヨミさんは普段の献身的な性
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