4単位 『ランチタイム』

昼休み。
それは、俺達生徒の憩いの時間。
昼食をとるも良し。
仲間と好き放題騒ぎ倒すも良し。
午後の講義をサボッて遊びに繰り出そうと計画を練るも良し。
それに………

「うふふ♪ 今日はいつも以上に可愛いらしいわね♪」
「もう、お姉様ったらぁ♪」
「ねぇ……いいでしょ?」
「え? ちょ、お姉様…こんなところでなんて……恥ずかしいです……///」
「そんなこと言って、本当は見られて興奮するイケナイ娘のくせに……うふふ♪」
「やっ…わたし、イケナイ娘なんかじゃ……ひゃん♪」
「死ぬほど気持ち良くして……あ・げ・る♪」
「「………」」

女の子同士でイチャイチャするのも…………良いのかな?
だって、俺の目の前で凄いディープな愛し方をしている女子カップルがいるんですもの。
おかげで食欲が湧いてこない。

「なぁ、レイラ」
「なんだ?」
「あれ、凄いな」
「あぁ、そうだな」
「レイラはああいうのを見て、どう思う?」
「健全で結構だと思うが」
「健全? 女の子同士が?」
「お前な……女しかいない女だけの空間で、性欲を持て余した魔物共が行き着く先と言えば、もうアレしかないだろう?」
「ふ〜ん? そんなもんなのか」

いわゆる百合ってやつ?
レズとも言えるな。

「または男しかいない空間で起こることだってある……逆もまた然りというわけだ」
「そ、それはさすがにないと思うけど?」
「条件は同じだ。十分にあり得る」
「あんまり想像したくないなぁ……」

ちょっと吐き気を覚えたところでこの話題は終了。
気分を変えるため、購買部で買った煙草に火を点ける。

「(´Д`)y―〜〜〜」
「……おい、何をしている?」
「へ? 何って、煙草吸ってるだけだけど」
「お前はまだ成人を迎えていないはずだが?」
「細かいなぁ、別にイイじゃないかそれくらい。どうせ来年で成人なんだし……」
「ええい! 今すぐそれを捨てろ!」
「(´Д`).∴ぐほっ!?     −〜 ←煙草」

レイラに背中を思いっきり叩かれ咥えていた煙草を吐き出してしまった。
というか、マジで痛かったぞ今の。
俺の背骨は無事か?
ドラゴンの一撃はシャレにならん。

「いててて……な、何するんだよレイラ!?」
「私がいる限り、お前の違法行為は断じて認めん」
「お、横暴だ!」
「勘違いするな、全てお前のためだ」

くっ、変なとこで真面目だなレイラのやつ……。
だがしかし、俺の胸ポケットにはまだまだたくさんの煙草達が……

「ポケットの中身も寄こすのだ」
「ばれてる!?」
「無駄な抵抗は止めろ。命を削ることになるぞ?」
「……それは煙草の影響で体に害が及ぶことを心配してくれてるの?」
「いや、お前ごとポケットの中身を燃やし尽くすぞ?という意味だ」
「煙草は止めろって言うくせに命は平気で削るんだ!?」

喫煙で不健康になるより、レイラに焼かれる方がよっぽど危険だ。
ここは大人しく言うことを聞いておくとするか……。
はぁ……まだ1本しか吸ってないのに……。

「『アダルトヘブン・スーパーライト』か。なかなか渋いものを選ぶな?」
「それが人間界のと1番良く似てるんだよ」
「ほう? どれどれ……」
「どれどれって……ちょ!?」

レイラは口から少量の火を煙草の先端に吹きかけ、あろうことか俺の目の前で吸い始めた。

「な、なにしてんだよ!? それは俺の……」
「(´Д`)y―〜〜〜 ん、なんだ? 私の体は既に成熟している。人間で言えば成人したということになるな」
「なっ!?」
「(´Д`)y―〜〜〜 うむ、これはなかなか……なんだ? お前に文句を言われる筋合いはないぞ? なんせ私は……『成人』しているからな!」
「………」

よし! 叫ぼう!




アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!












またある日の昼休み。

「私に隠れてまた性懲りもなく吸っているようだが、早急に止めねば本当に焼いて……」
「わ、わかってるよ……。そんなことより、昼の購買部は凄いって話を聞いたんだけど、レイラは何か知ってる?」
「む? あぁ、争奪戦のことか」
「争奪戦? パンとかお弁当とかを生徒達が奪い合う、あれのこと?」
「私も参加したことはないが、恐らくそんなところだろうな」

どこの学校でもあるんだな〜そういうの。
まぁ取り合いしてまで欲しいとは思わないけど。

「思い出した。その争奪戦には、ちょっとしたジンクスがあるらしい」
「ジンクス?」
「確か、1度でもその争奪戦を制した者は、必ず4年間で卒業できるとか」
「いや、それって至極当然のことだと思うんだけど……」
「……お前、この大学の『卒業率』を知らないのか?」
「『卒業率』? 『就職率』の間違いじゃなくて?」

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