「毎度のことだけど先生ね〜? 授業するのすっごく面倒くさいんだよね〜? しかも今回は 初回だし〜、今日は自習はということで〜……」
「ゴホンッ!」
「……と思ったけど〜、何故かバフォ理事長が視察にいらしているので〜、早速『夜這科』の 講義を始めたいと思いま〜す♪」
「「「「「………」」」」」
開始早々職務を放棄しようとする夜這科担当の教授(サキュバス)。
『この大学に教授らしい教授は1人たりとておらぬ!』、と極めて深刻な問題を(無い)胸を張って宣言していた理事長の言葉も頷ける。
今回視察に来たのも、不真面目な教授達を監視するためのパトロールだとか。
教授達に悟られないように、どうやら不定期に行われているらしい。
大丈夫かこの学校……。
「ん〜っと、何時間もダラダラと話すのすっごく疲れるから〜、今から配るプリントを良〜く読んでおいてね〜♪」
そう言うと教授はパチンッと指を鳴らす。
すると……あ〜ら不思議、教卓に置かれていた無数の用紙が生徒達の座る席へと規則正しく並べられていく。
すごい……まるで魔法のようだ。
いや、実際魔力を使用した魔法なんだろう。
「全員に行き渡ったかな〜? それじゃ〜15分あげるから〜、そこに書かれてることをぜ〜んぶ暗記してね〜♪ その後〜……確認のために抜き打ちテストしま〜す♪」
「「「「「!?!?」」」」」
抜き打ち!?
マジか!?
やる気のやの字も感じない教授にしてはやることがエグ過ぎる!
あれか? 理事長が見てるからちょっと頑張っちゃおっかな♪みたいなそんなノリ!?
「ちなみに〜一定以上の点数を取れなかった生徒には〜、きっつ〜〜〜い『お仕置き』が待ってま〜す♪ うふふ♪ これ1度言ってみたかったのよね〜♪ 先生が学生だった頃を思い出すわ〜♪」
昔自分が体験した苦行を生徒に強いるタイプかあの野郎!
「はぁ、なんで初回に抜き打ちなんだよ……」
「馬鹿者。文句を垂れる暇があるなら、少しでも多くの内容を覚えたらどうだ?」
隣に座っていたドラゴンに叱られる。
「……ふ〜ん?」
「む、なんだ?」
「あぁいや、レイラって意外と真面目なんだな〜って」
「意外とは心外だな。お前は、私のことを一体どんな目で見ていたのだ?」
「ん〜、てっきり脳筋キャラかと……いった!?」
レイラに足を思いっきり踏まれた。
「今のは聞かなかった事にしよう。ほら、さっさと覚えろ」
「わかってるよ……いてて」
俺は渋々配布されたプリントと睨めっこする。
あぁそうだ、レイラに助けられた後のことを話しておかないと、だな。
………
……
…
「うっ……んん?」
「ふむ、気がついたようじゃな」
「こ、ここは……?」
目が覚めると、俺は理事長室に横たわっていた。
確か戦闘中に見知らぬドラゴンに助けられて…………その後は良く覚えていない。
「蘇生させるほど酷い有様ではなかったようじゃが、お主も運がないのう」
「強制入学させた理事長がそれを言いますか……?」
「ほほう! 回復してやった恩を忘れわしに歯向かうと?」
「くっ……あ、ありがとう…ございます」
「うむ! わかれば良いのじゃ!」
こんのロリババア……レベルが上がったら覚えておけよ?
「まぁわしへの感謝も当然の事じゃが、お主にはもう1人礼を申すべき相手がおるぞい」
「……あ」
理事長が指差す先には、異様な存在感を放つドラゴンの姿が。
本棚に背中を預け腕組みしているその姿は、もうなんか怒っているようにしか見えない。
口を開けた瞬間に罵倒されそうな気さえする。
「あ、あの〜……」
「………(ギロリ)」
おおう、なんて迫力のある睨みなんだ……。
眼力だけなら理事長を超えてるぞこれは。
「あ、えっと、その……助けてくれて、ありがとう。君がここまで運んでくれたんだよね?」
「………」
ドラゴンのお嬢さんはクールだぜ……。
睨みは解消されたが話しかけんなオーラが目に見える。
「う〜ん……」
「これこれ、お主」
「あ、はい?」
理事長に小突かれ耳を貸す。
「ヒソヒソ(見てわからぬか? あやつは礼を言われ照れておるのじゃ)」
「ボソボソ(ぇえ? そんなふうには見えませんけど……)」
「ヒソヒソ(鈍いやつじゃのう……礼を言われ慣れておらんと、大抵の者はああいった不躾な態度をとってしまうもんなんじゃよ)」
「ボソボソ(はぁ、そんなもんですかねぇ?)」
顔を上げ不機嫌なドラゴンさんに向き直る。
「とにかくありがとう。俺、ロイ。ロイ=フランクス。良かったら、君の名前を教えてくれないかな?」
「………」
「あ、あの……」
「失せろ」
「……へ?」
「私の前から失せろと言っているのだ!!!」
「す、すいませんでしたーーーーー・ ゚・。* 。 ゚。・
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