「ねぇ見て、あれ……人間の男の子じゃない?」
「え〜? 魔物しかいないこんな大学に男の子なんているわけ……あ」
「ね? いるでしょ?」
「うん、超美味しそう!」
「久しぶりの男の子だからねぇ。ほら、周りの娘達も目の色変えてるわ」
「………」
「ん? どうしたの?」
「どうしよう、濡れてきちゃった……///」
「あらあら」
「ご、ごめん……わたし……もう我慢できない!!」
「あっ! ちょ、ちょっと待ちなさいよ!? ネコババなんて許さないんだから!!」
1匹のサキュバスが暴走したことにより無数の魔物達が男のもとへと群がる。
「先越されちゃった! わたしも行かなきゃ!」
「先に目を付けてたのはあたしだ! だからその男はあたしのモノだ!」
「既成事実作っちゃえばそんなの関係ないもんね〜!!」
「ご〜は〜ん〜♪」
「ちょ、ちょっと押さないでよ!?」
「搾りたての特製お乳飲んでほしいな〜♪」
「私のパイズリ気持ちいいでしょ〜?」
「次わたしが咥えるのー!!」
「勿体ないからザーメンはちゃ〜んと中に出してね♪」
「飲ませて!」
「ぶっかけて!」
「中に出して〜♪」
魔物に襲われた。
入学式の真っ最中に―――――
「かっかっか! それは災難じゃったのう!」
「はい嘘! こうなるって絶対にわかってましたよね!?」
「まぁまぁそう怒るでない。種無しにされ干乾びたお主を蘇生させたのはわしじゃぞ? むしろ 感謝してほしいくらいなのじゃ!」
「そ、それは……」
「いや〜しかしアレじゃのう…………予想通りじゃったな!」
「おい!」
「かっかっか!」
理事長室。
魔物達に精という精を搾り尽された俺は、医務室ではなくここへと運び込まれ理事長から蘇生術を施された。
部屋の中は趣味の悪い置物でごった返しており、足の踏み場がほとんどない。
かろうじて存在するスペースといえば応接用の椅子上くらい。
テーブルの上は怪しげなアロマで埋め尽くされ、ブレンドされた甘ったるい香りが鼻につく。
理事長曰く『若返り効果』があるとかないとか。
あ、理事長というのはここにいる……
「ふむ、話が逸れたのじゃ。トゥーナ、例のものを」
「こちらです」
後ろに控えていたアヌビスの美人さんがバフォメット理事長にファイルを手渡す。
いや冗談抜きで美人だ……秘書か何か?
「名前はロイ=フランクス、で間違いないかのう?」
「あ、はい」
「ふむふむ……特に華のない平凡な人生だったようじゃな」
「平凡の何が悪い!? というか、どうしてそんなことわかるんですか?」
「これはお主の人生書のようなものじゃが、まぁ大人の事情ということにしておくが良い」
「大人? ババアの間違いじゃ……」
「ゴホン!」
「………」
さすがは魔界の覇者バフォメット。
人間程度なら眼力だけで殺せるんですね。
「好きなものは……なるほどのう。嫌いなものは……ほほ〜う!」
「や、やめてくださいよ! 人のプライバシーをなんだと……」
「好きな娘のタイプは……」
「うおーーーーーい!?」
「かっかっか! 冗談じゃよ冗談! 全知全能なわしとてそこまではわからぬ」
「はぁ……」
たちの悪い冗談だよまったく……。
それよりも秘書のトゥーナさんが興味津々で耳をピクつかせていたのが1番気になった。
「……ふむ? 戦闘スタイルが不明じゃのう」
「戦闘スタイル?」
大学に来て何故そんな物騒な単語が出てくるんだ?
「お主は一般学部じゃから、戦闘科も必修となるぞい」
「せ、戦闘科!?」
「まぁ実戦で自分なりの戦い方を見出せば良いじゃろう」
「実戦!? 戦い方!?」
待てまてマテ!
俺の大学生活には一体何が待ち受けているというんだ!?
なんか当然のように話が進んでるんだけども!
「最後に確認したいことがあるのじゃが」
「な、なんでしょう」
俺も確認したいことが山積みなんですが。
「この大学へ来た理由はなんじゃ?」
「『拉致』されました。あと変な書類に拇印を押すよう脅迫されました」
「拉致などと人聞きの悪いことを申すでない!」
「じゃぁ、なんだって言うんですか?」
「『誘拐』じゃ」
「変わんねーよ!!」
話の流れから既に察しはついているだろうが、今俺がいるのは魔界のド真ん中。
しかも魔物達の巣窟である『酷視姦(こくしかん)大学』という淫魔養成学校の内部。
逃げ出すにはもしかしなくても八方塞がりな状況だ。
「しかしお主、強引に連れて来られた割に存外落ち着いておるのう? なんだかんだで入学式にも出ておったし」
「夢でも見てるのかと思って深く考えなかっただけです。あと入学式に出たのも理事長、あなたが俺を脅したからですよ。お忘れですか?」
「わしがお主を脅した? はて、何のことやら?」
「………」
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