『女のロマン』

「リン姉様……兄様は今……どこにいるのかな?」
「さぁ、どこだろうね。 でも、たぶん元気にしてるわよ。」
「…どうしてわかるの?」
「女(魔物)の勘ってやつよ!」
「………………」
「もうレンったら……大丈夫よ! 兄さんのことだもの、きっと今頃、有り余った性欲の塊を仲間達の顔にぶちまけてるところよ!」
「………そうかな?」
「きっとそうよ! はぁ〜……兄さんの特濃ザーメンが恋しいわ……。 ああ〜んもう! 兄さんの事考えるとムラムラしてくるううう〜!!」

「……兄様…どうか御無事で………。」




「……ん……ちゅ……ちゅる………ふうう。 お、おい…いいのかあ? ルークがいくら起きねえからって、こんなことをよぉ………。」
「……はむっ……ん……ちゅる……じゅるる……ん………。 そうですよね…やっぱりルークさんが起きるまで、待つべきかと………。」
「ちゅううううううう………………んっ………。 気にすることはない。 この程度の事を咎めたりする様な、器の小さい男ではないだろう。」
「じゅるる……じゅる……ちゅる……んんっ!? ごほっ!ごほっ!!」 
「おいおい! 大丈夫かよレビィ!?」
「吐き出すがいい。 ムリに飲み込む必要はない。」
「…レビィさん……。」
「……っ……っ………っ………ふぅぅぅ。 吐き出すなど…論外…せっかく出たのだ、勿体ないだろう。」
「「「………………………」」」

「それにしても、全て飲み込むとは………。」
「…レビィさんらしいですね…」
「その強引なところも相変わらずだぜ…。」

「まあ、にしても……………」
「…おいしいですね…」
「来た甲斐があったというものだ。」
「ふむ。 一級品と呼ぶに相応しい。 ここの『ソバ』という食べ物は………。」




『トモノンセンオ』。
とある宿屋の一室に眠る1人の青年。

「………ん…うう〜………………ふあああああぁぁぁぁ………。 どこだ?ここ……」

大欠伸をしながら身体を起こすと、そこは見知らぬ部屋。
それに連れのみんなが見当たらない。
俺が眠ってる間、どうやら町を見つけてくれたようだ。

「………探しに行くか。」

眠気を振り払いながら部屋を出る俺。
ちゃんと礼を言っとかないとな………。
親しき仲にもなんとやらだ。
てか……………俺達の関係を親しいって言うのか?
親しいを通り越して夫婦なんじゃ……………(非公認の一夫多妻?)
いや、そんなことはどうでもイイ。
とにかく外に出よう。

そうして宿の外に出ようとする俺に、
「………おやぁ、旦那様。 もうお体は大丈夫でありんす?」
ストレートのブロンドヘアーが似合う、少し変わった服を身につけた美人に声を掛けられた。

「あ……えっと………」
「ああ…旦那様とは初対面でしたねぇ。 わたくし当旅館の女将で、『九十九 月音』と申します。 どうぞ、以後お見知りおきを…。」
「はぁ、どうも…。」

えっと…『ツクモ ツキネ』って言ったかな?
どちらにせよ変わった名前だなぁ…。

「外にお出かけでありんすか?」
「あ、はい。 連れを探しに行くつもりです。えと…ツキネさん、どこに行ったかご存じですか?」
「観光に行く…としかぁ申し上げておりませんでしたが…。」
「そうですか…。 じゃぁ俺も、観光がてら探しに行ってきますよ。」
「お役に立てず、申し訳ありません……」
「いえいえ! お気になさらず! とゆうかツキネさん………俺の連れに驚きませんでしたか…?」
「いえぇ特には…。 当旅館では、魔物の宿泊も珍しくはありませんから。」
「あ、そうなんですか? …それじゃぁ行ってきますね!」
「お気を付けてぇ………。」

そう言って外に出る俺を見送る、女将ツキネさん。
その柔らかい表情が、
「……………………………ふふふっ………♪」
魅惑的な笑みに変わったことを、俺は知らない………。





「宿屋もそうだったけど、町も変わってるんだなぁ…。」

今まで見たこともない建造物に、若干の興奮を覚える。
そしてその店並みにも同様に驚く。
ダンゴ?
ウドン?
ソバ?
ミヤゲ?
オンセン?
全てが初めての町、トモノンセンオ。
最初は反対だったけど………こりゃぁ来て正解だったな。

良く見れば道行く人も、女将と同じような……こう…布の様なものを体に巻いている。
そういえば昔、異国から渡ってきたという書物を読んだ記憶があるけど……そこに同じ様な格好をしてる人が描かれていた気がする。
確かぁ………えぇっと………そうだ『キモノ』…だったかな?
『ハカマ』だった気もするけど……………まぁいいか、そんなこと。

周囲から田舎者だと思われるのも癪だったので、あまり興味を顔に出さないように歩く。
とゆうか、意外と大きいなこの町………そう簡単には見つからないな、こりゃ。
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