6章 『時給1800円の奴ら』

「んむんむ……うむ! 今日も飯が上手いのじゃ♪」
「そうだね〜♪」
「最近夕食のクオリティが高いと思いませんか?」
「フレンが食事当番の時は特にそうだな」
「あぁ、バイトしてるおかげで家計が楽になってるから」
「へ〜♪ お給料いいの〜?」
「ん〜どうなんだろ? 他のバイト先の状況は良く知らないし」
「『淫ターネット』の情報によると、他の店に比べワシらは随分と待遇が良いようじゃ」
「あ、そうなんだ。あんまり気にしたことないけど、それなら働いてるかいがあるってもんだなぁ」
「うむ、待遇が良い代わりに忙しさも尋常ではないからのう」

『露璃喫茶』はAM8:00からPM9:00までの営業です。
皆様のご来店を心よりお待ちしております♪ ←誰?

「フレン、メニューの名前は相変わらずか?」
「残念ながら……」
「……そうか」
「ワシはそれを大声で叫ばなくてはならんのじゃぞ!?」
「はっ! 痴女でビッチな貴様にはピッタリな役職ではないか!!」
「な、なんじゃと!? 誰が好き好んであのような恥ずかしい言葉を連呼しなくてはならんのじゃ!!」
「とか言いつつ、貴様…実は喜んでいるのだろう?」
「そ、そんなことないのじゃ!」
「どうだか……その恥ずかしさを、本当は心地良いと感じているのではないか? ん〜?」
「ぬぬぬ……それはお主じゃろうが!?」
「私は恥ずかしくて声に出すことすらできない。貴様は本当に凄いな、さすがは痴女だ!」
「淫乱雌トカゲに痴女と言われたところで痛くも痒くもないのじゃ!!」
「き、貴様……ビッチの分際で……!!」
「淫乱の分際で生意気なのじゃ!!」

モグモグ…マクマク…ゴクゴク……

「………」
「メイは良く食べるなぁ」
「一体この体のどこにここまでの量が入るのでしょうか」
「不思議だね〜」
「2人の分まで平らげるなんて、これは将来グラマーになるかもしれませんね」
「「んな!?」」
「メイは悪くないぞ? こいつらが喧嘩してるから食べないと思ったんだよな?」
「………(コクリ)」
「ぐっ……死ねビッチーーー!!!」「ぐぅ……死ねトカゲーーー!!!」

こちらも相変わらずな食事状況でした。












春の終わり。
気温も高くなり、そろそろ夏の面影を感じる。
そんなある日のこと。

「ふぅ…厨房がサウナみたいだ……」

俺はバイト先で真面目に勤務している。
と同時に夏の厨房の厳しさを感じつつある。

「あぁ〜…汗が止まらない」

暑い…暑い暑い暑い……。
暑い熱い厚い篤い…あれ、どれが正しいんだっけ?

「あ〜〜〜〜〜……」
「……イサラ、フレン飛んでる」
「フレンく〜ん? 大丈夫〜?」
「正直、しんどいっす……」

厨房仲間であるイサラさん(ホルスタウロス)とレティ(マンティス)は、この暑さ中を普段と同じように涼しい顔でいつも通りに作業している。
信じられない…この人達、人間じゃない!(※人間ではありません)

「困ったわね〜…レティちゃんどうしよ〜?」
「……慣れる」
「そうよね〜♪ やっぱり〜それが1番だよね〜♪」
「マ、マジですか……?」
「うん♪ マ〜ジ〜♪」
「……マージー」
「死んじゃいそうです……」

他のメンバーであるセラとソラ(双子インプ)、レオナさん(リザードマン)も同様にケロっとしている。
もう……こいつら絶対人間じゃない!!(※人間ではありません)

「ぅぅぅ……」

意識が朦朧としてきた。
リアルにピンチだ……。

「あらあら〜、フレン君が死んじゃいそうよ〜?」
「……脱水症状」
「おいお前達、何をサボっている?」
「ね〜ね〜レオナちゃ〜ん、フレン君どうしよ〜?」
「ん? 新入りがどうかしたのか?」
「……見てのとおり」
「はぁ…使えん新入りだ。仕方ない、チーフに面倒を見させるか」
「それがいいね〜♪ 今日は〜そこまで忙しくないしね〜」
「……死んだら、困る」

そんなわけでスタッフルームに搬送させる俺だった。












「……ん…う〜ん?」
「あ、気が付いた?」

気付けば俺は休憩室の豪華なソファーに寝かされていた。

「あれ…チーフ?」
「思った通り、やっぱり倒れちゃったか」
「すいません……」
「ん〜ん、気にしないでいいよ! 厨房はただでさえ暑いんだから」

チーフは俺の事を本気で心配してくれている。
心配してくれるのは嬉しいんだけど、なぜ馬乗りになっているのかは敢えて聞かない。

「はぁ…自分ではもっと丈夫だと思ってたんですけど……」
「フレン君は凄く丈夫だと思うよ?」
「え、でも……」
「君はたぶん暑さだけじゃなくて、彼女達の魔力に中てられたんじゃないかな?」
「? 魔力?」

魔力なら普段から嫌と言うほど浴びてるはず。

「僕達魔物は、自分達が出す熱気に無意識の
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