5章 『イキたそうな奴ら』

「イ、イかせてほしいのじゃ〜〜〜!!」
「フレン…アタシも、イキたい…イキたいよ〜〜〜!」
「おいおい、そう簡単にイかせるわけないだろ?」
「くっ…私がここまでイキたいと懇願しているのに…なんて残酷な奴だ……!」
「フレンさん…意外とSっ気があったんですね……」
「………(モジモジ)」
「はぁ……お前達全員をイかせるのって、けっこう大変なんだよなぁ」

明らかにアレな会話をしている彼女達。
そんなにイキたいのならこのワタクシが(´∀`)ハアハア ←誰?

「フレンさんフレンさん」
「ん?」
「ちゃんとどこにイク話なのか言わないと、これではただの乱交パーティみたいですよ?」
「乱こ…!? いや俺のせいじゃない、お前達が勝手に『イク』とか使ってるせいだろ」
「責任転嫁か…フレン、見損なったぞ」
「フレン…そういう人だったんだ……グスッ」
「男の風上にも置けませんね」
「まったくじゃ! それではいつまで経ってもお兄ちゃん属性にはなれぬぞ!?」
「いやなりたくないしなろうとも思わないから!」

おや?
乱交パーティではないと……残念無念。 ←誰?

「そんなに『海』に行きたいなら、せめてもう少しだけ待ってくれ。 まだ春半ばだぞ?」
「寒中水泳というのもなかなかオツなものですよ?」
「想像しても全然楽しそうじゃないなぁ。海で凍える自分の姿しか目に浮かばない」
「それでも行きたいのじゃ!」
「フレ〜ンお願〜い」
「言っておくが、お前に拒否権はない。あくまでNOと言い張るのなら……」
「言い張るのなら……?」
「しゃぶり尽くす。一滴残らずお前が種無しに成り下がるまでな」
「………」

はてさて、どうなることやら。












「………(ス〜イスイ〜)♪」

結局俺はエルザの脅迫に屈し、去年来たプライベートビーチに足を運ぶことに。
前回とは打って変わって、今日は真冬並の寒さに身を引き裂かれている。
ちなみにメイは到着早々海にダイブ、水中を快適に泳ぎ回っている。

「なぁエルザ…寒くないか?」
「……寒くなどない」
「正直に言え」
「……少し、寒い」
「おいおい…ドラゴンのエルザが寒いって相当じゃないか?」
「だ、誰じゃ! 海に行きたいなどと戯言を申した奴は!」
「そうですよ…インドア派のティータに…この厳しい環境は、さすがに応えます……」
「完全に自業自得だ。俺はもう少し待てと言ったはずだ」
「ぅぅぅぅぅぅぅ〜〜〜さささささ寒いいいいいい;;」

だから言ったのに…って、今更か。

「とにかく別荘に入ろう。フィロが冷凍食品化しそうだ」












暖炉に火を付け凍えるフィロを温める。
アイリの知り合いの別荘であるため、手入れは隅々まで行き届いている。

「春真っ盛りに暖炉を使うことになるとは思わんかったのじゃ……」
「ほんとだな。おまけにエルザも外に出たがらないし」
「メイの奴はまだ泳いでおるのか?」
「イイ機会なんだ、好きにさせておくよ」
「むぅ…羨ましいのう……」

春なのに何故こんなに寒いの?と突っ込みたくなるくらい寒いので別荘から出られない。
何のためにわざわざ海へ足を運んだのかと早々に後悔し始める。

「ぅぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜」

フィロは完全に凍結のバッドステータス。

「フレン、コーヒーを入れた。お前も飲め」
「あ、あぁ。ありがとう」

エルザは俺の隣でのんびりとコーヒータイム(外に出る気はないようだ)。

「ふぁ〜〜暇じゃ〜〜〜」

アイリは既に諦めている様子。
こいつが先陣切って行こうと言っていた気がするんだが。

ギシギシ……アンアン……

ティータに至っては隣の部屋でアレに勤しむ始末。
こんなところに来てまでやることなのだろうか……?

ギシギシ…アンアン……フレンさん…激しい……///

………。
まぁ、個人の自由か。
聞かなかったことにしよう。

「のんびりするのも、1つの手か」

普段と違う環境で体を休める…旅行とでも思えば幾分マシかな。
そんな俺に、

「それも良いが、どうせならここでしかできない事でもしないか?」

とエルザ。

「ん、例えば?」
「別荘内でできることだ。外は寒い」
「ん〜そうだなぁ」

泳ぎに来たのに別荘から出ない…また何とも寂しい状況だ。
でもエルザの言うことにも一理ある。
せっかく来たんだ、何かしないと勿体無い。

「じゃぁ、本当にあった怖いはな……」
「却下だ」
「え? あぁそっか。エルザそういう話嫌いだったね」
「き、嫌いではない! ただ少し……苦手なだけだ」

嫌いと苦手に一体どれ程の差があるのだろうか。

「それだと、特にやることないかも知れないぞ? 別荘には何もないし」
「むぅ……」

元々1泊の予定であったため荷物は大して多くない。
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