4章 『研究対象な奴ら』

「次の講義、なんだっけ?」
「ルーク先生の魔物生態学じゃない?」
「あぁ、そうだった」
「フレンこの授業好きだよね〜」
「なんとなく、ね」

フレンとシオの何気ない会話より抜粋。

「あ、そういえばザックは?」
「知らないけど、どうせまたサボりじゃない?」
「まったく……大丈夫なのか? あいつ」
「さぁね〜」

どうやら彼は悪友の事を気にしているご様子。

「ほら、急がないと始まっちゃう!」
「あ、あぁ」

早足で講義室に向かう2人でした。












「魔物について調べる課題じゃと?」
「あぁ。ルーク教授の講義でそういうことになった」
「随分漠然としているな」
「まぁ好きなように調べろって言ってたから」
「フレンさんはさて置き、他の学生には厳しい課題だと思いますよ?」
「確かに。皆がみんな魔物と交流してるわけじゃないしなぁ」

ルーク教授も意外とエグい事するなぁ。
きっと俺が魔物と同棲してることを知ってて出したんだと思う。
特をするのは俺だけだけど。

「具体的には何を書くつもりですか?」
「ん〜…見せるのは教授だけだから、普通にお前達の日常生活でイイんじゃないか?」
「それではつまらんのじゃ!」
「そうだな。もっと色を付けるべきだ」
「いやそんな事言われても……」

まぁ確かに、こいつらの日常生活を解説したところで何の面白みもない。
基本的にはグータラだし。

「ティータ達種族をそれぞれ分けて書くというのはどうでしょう?」
「ドワーフとかセイレーンを個別に調べるってことか?」
「はい。そうすれば課題の質も量も申し分ないと思います」
「一理あるな…うん、そうしよう。でも結局、お前達を1人ずつリサーチすることになるぞ?」
「ふん、それくらいの苦労はして当然だ」
「うむ! バフォメットという種族を大いに褒め称えるが良いぞ!」
「言っとくけど偽装はしないからな! 包み隠さずお前達を調べ尽くしてやる!」
「望むところじゃ!」
「私が隙を見せるなどありえんな」
「うぅ…規則正しい生活しないと〜……」
「ティータはありのままの自分を見せ付けるつもりです」
「………zzz」

1日1人のペースでイイか。
提出期限もしばらく先だし。












『研究対象:セイレーン』

私の知るセイレーンは非常に大人しい。
常に周りに気を配り、自分より他人を優先する心優しい少女。
私と彼女は相性が良く、最近では一緒に買い物へ出かけたりする。

セイレーンの彼女は、やはり歌がとても上手い。
しかしその歌を聞いてしまうと、私も例によって大変な興奮状態に陥ってしまう。
そんな私を気にかけ、彼女は歌の練習を上空で行うようになった。
こうすれば誰にも迷惑をかけないと考えたのだろう。
いや、本当に気の利く種族である。

私は願う。
セイレーンという種族全員が、彼女のような優しい心の持ち主であると。












『研究対象:ドワーフ』

彼女を考察する前に、1つ言っておきたいことがある。
それは、彼女が『特別』であるということ。
この『特別』には複数の意味がある。

まず1つ目、彼女はドワーフらしからぬ頭脳の持ち主であること。
普通ドワーフは鍛冶や大工などといった力仕事を好むようだが、彼女の本職は『研究』。
しかもその『研究』というのも実に厄介で、S○Xをより快適なものにするための、意味があるようでないようなどうでもイイものだということ。
私も何度実験台にされたことか…思い出したくもない。

2つ目は、異常な性欲の持ち主であるということ。
ドワーフは好色とされているが、彼女の場合はその比ではない。
夜這いを受けた回数も計り知れない。

そして3つ目。
『世紀のド変態』であるということ。
2つ目とやや酷似しているが、これだけはどうしても強調しておきたかった。

ドワーフが皆、あんな変態でないことを祈るばかりだ。










『研究対象:サハギン』

彼女もまた『特別』なのかもしれない。
サハギンという種族を良く知らないため断言はできないが、きっとそうに違いない。

私がそう考える1番の理由、それは『陸上性能の高さ』である。
普通サハギンと言えば水中で本領を発揮する種族であるとされている。
しかし、彼女の場合はその常識を覆す。
まるで元々陸上で生活していたかのような俊敏な動きに加え、華奢な体からは想像もつかない程の豪力を発揮する。
以前ドラゴンを投げ飛ばす現場を目撃したため、絶対に間違いはない。

これは余談だが、睡眠時間が異常な程長いのはサハギン特有のものなのだろうか?












『研究対象:ドラゴン』

この種族はこれと言って例外はない。
ただやはり気になるのは、高いプライドの持ち主であるということ。
一度彼女
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