「あ〜…いててて……」
「………?」
「頭痛…なんかの前触れかなぁ?」
「………」
「メイ…悪いけど、薬取ってきてくれないか?」
「………(コクリ)」
ステテテテ〜
「寝不足、ではないか」
「………(水と薬)」
「ん、ありがと」
「………」
「……ふぅ」
「………(治った?)」
「いや、そんなすぐには効かないよ」
「………」
「ごめんな、心配かけて」
「………(フルフル)」
「何だかんだ言って、メイはいつも優しいよな」
「………」
「ん? メイ、どうかしたか?」
ナ〜デナデ
「あっ」
「………(良くな〜れ)」
「ははっ! お前に頭撫でられる日が来るなんてな」
「………」
「でも…ありがとな、メイ」
「………」
「お礼に俺もやってやる。 ナ〜デナデっと」
「ん……///」
「エルザと2人きりで出かけるなんて、初めてじゃないか?」
「そうかもしれんな」
「いやそもそも、あいつらと昼間っから外出することなんてなかったなぁ」
「そういえばそうだな。 何か理由でもあるのか?」
「理由って程でもないけど、魔物と公衆の面前で出歩くのもどうかと思って」
人として独立しているのならまだしも、俺はまだ一端の学生。
卒業するまであまり大胆な事はできない。
「そういう事なら最初から言えば良いだろう?」
「え、どうしてさ?」
「私とティータとビッチなら、人の姿に化けるなど造作もないこと。 メイとフィロはわからんが」
「あ、確かに」
「現に私も、今は人の姿だ」
そういえばそうだった。
これだけの大物が揃ってるんだ、こんなこと朝飯前か。
「なら、今後はちょくちょく誰か誘って外出してみるかなぁ」
「ふん、好きにしろ」
「ん? エルザ、なんか怒ってる?」
「別に、怒ってなどいない」
「あ、そう?」
「ふん!(私だけでも仲を深めようと思ったのに…裏目に出てしまったか……)」
いや、絶対怒ってるよな。
なんか気に障るようなこと言ったかなぁ?
「そんなことよりフレン、これからどこへ行くつもりだ?」
「この前良さ気な喫茶店を見つけたんだ。 だからそこなんてどうかなって思ってるんだけど」
その喫茶店というのは、以前シオと一緒に入った若干胡散臭い店のこと。
(詳しくは2章『脇役な奴ら』を参照)
「喫茶店か…ふむ、悪くない」
「ちょっと変わった店だけど、メニューは星3つだと思う」
「ほう? お前がそこまで言うのだ、少しは期待してやらんでもない」
「あぁ! きっと気に入る!」
エルザの好きな肉系のものはないかもだけど、たぶん大丈夫だろう。
「エルザ、ここだよ」
「『露璃喫茶』? 胡散臭さが滲み出ているな」
「まぁまぁ、そう言わずに入ろう」
この前来た時はコーヒーと、あとはシオのパフェを分けてもらった。
それだけで俺の舌を射止めた店だ、今日は色々注文してみよう。
チリンチリン♪
店の扉を開けると備え付けのベルが鳴り響く。
そしてそれを聞いた従業員達が一斉にこちらに駆け寄ってくる(相変わらず皆小さい)。
「「「「いらっしゃいませ〜〜〜♪」」」」
可愛らしい声と丁寧なお辞儀で俺とエルザを迎え入れる(幼女達)。
この辺の接客は徹底しているな〜と感心してしまう。
「2名様でよろしいですか〜?」
「あぁ、はい」
「カウンター席とテーブル席、どちらになさいますか?」
「エルザ、どうする?」
「どちらでも構わん」
「じゃぁテーブル席で」
「かしこまりました〜♪ こちらにどうぞ〜♪」
店員(幼女)に連れられ、奥の窓際の席に案内された。
「こちら、メニューとお冷になりま〜す♪」
「あ、どうも」
「お決まりになりましたら、こちらのボタンを押してくださいね♪」
「わかりました」
「何かありましたら、いつでもお申し付けくだい♪ お兄ちゃ…お客様♪」
テコテコと店の奥に消えていく店員(幼女)。
ていうか、今絶対『お兄ちゃん』って言おうとしたよな?
「なかなか良い店ではないか」
「だろ?」
「後は料理の腕前だな」
「心配しなくても、きっと期待に応えてくれるよ」
「だと良いがな」
とりあえず注文する品を決める。
ん? 『イクイッチャウステーキ』?
なんだコレ……。
肉系のメニューがあるのも驚きだけど、ここまでネーミングセンスに乏しいのも驚嘆に値する。
いったい誰が考えてるんだか。
「ふむ、種類はなかなか豊富のようだな」
「ちゃんと肉類も扱ってるみたいだしな」
どれにしようか迷うエルザの顔は、なんだか幼い少女のようでとても新鮮だった。
こんな顔もできるんだなぁ。
「決まった。 私は『ピンクのおまんティー』と『アクメ産塩フキステーキ』にしよう」
「ぶっ!?」
飲んでいた水を吹いてしまった。
「フレン! どう
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