「ねぇ、アタシのどこが好きなのさ?」
「小さいとこ」
「小さいどんなところが?」
「全体的に」
「じゃぁ…小さなおっぱいは?」
「微妙」
「死ね!」
「ふぐっ!?」
彼女はドワーフのルゥナ。
一応新婚カップルだけど、そう思われたことは1度もない。
「全体的に好きって言ったじゃないか!?」
ガッ! ゴッ!!
「胸は…ぶっ…例外…ごふっ……」
「じゃ何で結婚したのさ!?」
「小さいところが…好きだから」
「……おっぱいは?」
「微妙」
「死ね!!」
「ぐふっ!?」
胸元にちょこんと馬乗りになった彼女が俺の顔を凄まじい力で殴打するこの光景を見て、『一方的な暴力を受けている』と解釈する人間が多すぎる。
断じてそのようなことはない。
「うぅ…ロリ好きな男は溺愛者が多いはずなのに!」
「え、けっこう溺愛してるつもりだけど?」
「どこが!?」
「毎日種付けしてあげてる」
「仕方なく仕込んでるみたいな言い方は止めろコラァ!?」
「そんなつもりはないんだけどなぁ;」
ルゥナは時折こんな風に怒り出すことがある。
だけど理由は良くわからない。
「うぅ…元包茎童貞野郎に言い負かされるなんて……」
最初は誰でもそうじゃないのかな?
「なぁ、ルゥナ」
「ん…なにさ?」
「ルゥナは、俺のどこが好き?」
「え……?」
「……よし、後は柄の接合だけで完成だな」
お得意様から武器の発注があった。
数が多くて大変だったけど、期限日までに何とか終わらせることができそうだ。
ま、ドワーフとして当然のことさ!
「ルゥナ姐さーん、鉱石の採掘が一段落しましたー!」
「こっちも柄の作成完了しやしたー!」
「よしよし、順調順調♪」
鍛冶屋は大都市『ゾルアクア』の東商業地区の一角に存在する。
ここでは多くのドワーフが日夜働いている。
「姐さん! 休憩しましょうよ!」
「あっしはもうクタクタですたい……」
「そうだな、そうしよう。 みんな良く頑張ったな!」
「いえ、それを言うなら姉御の方こそ」
「そうそう! 姐さんが1番頑張ってましたよー!」
「ん、そうか?」
1週間徹夜しただけだけどなぁ。
ま、そう言われて悪い気はしないな。
「よし! 晩飯はアタシの手料理を振舞ってやる!」
「「「「ご馳走になりまーす!!」」」」
こうして働いている間に、何故かアタシはルゥナ姐さんと呼ばれるようになった。
別になにか特別なことをしたわけじゃない。
周りからは『面倒見が良い』『姉御肌』『ドワーフの鑑』なんて言われてるけど、自分じゃイマイチピンとこない。
「姐さん最高やわ〜♪」
「私が男だったら、姐さんにあんなことやこんなことを……」
「いや、姉御を百合に目覚めさせる手も……」
「なにアホなこと言ってるのさ;」
「うぅ〜…げふ」
「あぅ〜〜」
「ん〜姐さ〜ん……♪」
しまった、酒を飲ませ過ぎた。
まぁ明日は休日ということにしよう。
残りの作業はアタシが今夜中にやればいい。
「姉御ぉ〜…」
「ん、どうした?」
「ん〜〜…zz」
「……やれやれ」
仕事場の仮眠室に全員を運んでいく。
「よい…しょっと! よし、お前で最後だ」
「すいやせん…姐さん……zz」
仕事に関しては優秀なんだけどなぁコイツら。
アタシが見てないと、どうにも心配になってしまう。
「じゃ、早速始め……」
「姐さん!」
「うひゃ!?」
いきなり背中に抱きつかれる。
「ちょ、コラ!?」
「うぅ〜〜!」
ん、こいつは1番若いやつだな?
「おい、どうしたのさ?」
「………」
普段はこんなことする奴じゃないんだけどなぁ。
「姐さん…自分達は、もう大丈夫ですから……」
「……え?」
「姐さんは、早く身を固めるべきです……」
「な、なに言ってるのさ!?」
身を固めるって…け、結婚!?
「ア、アタシはまだ結婚なんて……」
「想い人が…いるんでしょう?」
「うっ」
想い人…まぁ、片想いだろうけどさ。
「たまにフラっと現れる…あの人、ですよね?」
「むぅ……」
不思議と鋭い奴だ。
ドワーフは普通こういうことには疎いはずだけど……。
「んん…だから…姐…さん…ん……zzz」
「……寝たか」
まったく、ビックリさせてくれる;
「……はぁ」
なんか、仕事する気分じゃないな。
アタシも、休むとするか……。
あの夜から数日後。
「「「「お疲れさまでしたー!!」」」」
「気を付けて帰りなよー」
1日の終わり。
仲間を家に帰して、アタシは後片付けをする。
「そろそろ長期休暇でも設けようかな……」
そんなことを考えていると……
コンコン
扉を叩く音が聞こえた。
「ん、誰か忘れ物でもしたか? ノックなんていいから入りな
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