6章 『贅沢な奴ら(前編)』

「今晩はエルザと2人きりかぁ」
「そうみたいだな」

ティータが地下にいるけど上がってこないのでノーカウント。

「珍しいなホント」
「登場してもビッチと喧嘩ばかりしている私を何とか引き立てようとしている作者の愚かな策略にしか見えないのだが…」
「あ、気にしてたんだ」
「こう見えて繊細だからな…」

2人の食事はいつもと違う。
エルザの好きなレアステーキにワインとかなり奮発気味。
あ、別にエルザが特別というわけじゃない。
誰かと2人きりの食事のときは、相手の好物に合わせるようにしている。
滅多にないことだから、みんなは『甘い夜』と名づけている。
色々と連想させるネーミングだけどスルーしておく。

「私のことはいい。 お前はどうなのだ? 最近随分と作者に無理を強いられてきたように見えるが?」
「まぁ、確かに。 疲労で倒れたり半殺しにされたり…」
「しかし、刺激のない話を引き立てるという意味では大活躍じゃないか」
「そう言ってもらえると凄く嬉しいよ…」

エルザと話すのは楽しい。
なんと言っても、あの5人の中で1番『大人』だから。
俺に不足しているのはこういった大人の会話だと思う。

「なぁフレン、お前は私を…どう思っている?」
「ん? なんだよ急に」
「いいから答えてくれ」
「どうって言われてもなぁ…」

急な問いで言葉に詰まる。

「大人の女性…かな。 アイリと喧嘩さえしなければ」
「大人…か」

ん、微妙な反応だ。

「私はお前のことを、1人の男として見ているぞ。 『イカ事件』が起きるまではな」
「えっ!? いや、だからアレは…」
「ふふっ…冗談だ」
「……はぁ」

犯人(5章参照)が判明したのにまだ根に持っているのかと思った。

「とにかくそういうことだ」
「ん〜?」

エルザが何を言っているのかイマイチ良くわからない。
なにか大事な話をしているのは伝わってくるんだけど…。

「さぁ、早く食べるぞ。 冷めてしまう」
「あ、あぁ」

こうして2人の夜は過ぎていく―――――












「フレ〜ン! どこか行こうよ〜!」
「んーでも外暑いしなぁ…」
「貧弱な男よのう…これじゃから現代っ子は困る…」
「自分で自分を年寄りって言ってるようなもんだぞ、その発言は」
「い、今のはなしじゃ!!」

大学の長期休暇。
俺は今までの疲れを癒す絶好の機会と喜ぶ。

「ティータも外に出たくありません。 紫外線の集団レイプにあってしまいます」
「いや、お前が1番外に出るべきだろ。 ずっと地下にこもってるんだから」
「おっと、なかなか痛いところを突いてきますねフレンさん。 女の子を突いて嫌がらせをするのは感心しませんよ? 初めての娘には優しくしてください」
「ティータ、強引に下ネタに持っていくんじゃない」
「ティータから下ネタを取ったらいったい何が残るというのですか」
「いやいろいろ残るだろ!? 天才科学者とか冷静キャラとか…もっと自信もてよ」
「フレンさん、優しいですね」
「下ネタを注意しただけなんだけどなぁ…」

まぁティータも含めてメイも外に出すべきだろうな。
家の中がいくら快適とはいえ、長期間外に出ないのは体に毒だ。

「どうせ外出するのなら、そのまま外泊してしまうのはどうだ?」
「え?」
「え〜!? お泊り〜!?」
「ふむ、雌トカゲにしてはなかなかの良い考えじゃ」
「それならティータも賛成です。 1日中レイプされるよりはマシですから」
「だからちょくちょく下ネタを出してくるな…せめて紫外線を入れろ」

外泊かぁ…まったく考えてなかった。
そもそもこいつらと過ごしているだけで、俺にとっては毎日が冒険だからなぁ。

「外泊はイイとして、どこへ行く?」
「……海」
「うお!?」

いつの間にか隣に立っていたメイ。

「海〜!? 海行きたい! ねぇフレン海行きたいよ〜!!」
「海かぁ…それでもイイけど、今シーズンで混んでるぞ?」

あと魔物5人を泊めてくれる宿泊施設があるとは思えない。

「それなら心配無用じゃ」
「ん? どうして?」
「ワシの知り合いに、貸し切りビーチ付きの別荘を所有している者がおる」
「え、マジ?」
「マジじゃ」
「アイちゃん凄〜〜〜い!?」
「正確にはビッチではなく、ビッチの知り合いが凄いのだ」
「魔界の海とかそういうオチじゃないよな?」
「疑り深い奴じゃのう…。 正真正銘!こちらの世界のビーチじゃ!」
「そ、それは…」

思いがけない朗報と喜ぶべきだろか…?

「ん〜…じゃぁお世話になろう…かな?」
「ふむ! ではワシから連絡しておこうかの」
「あぁ、助かる」

トントン拍子に話が進んでいく。
ほんとにイイのかなぁ?

「貸し切りビーチですか。 ティータ、興奮で濡れちゃいそうです」
「もうティーちゃん! それ下
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