村から旅立ち早3ヶ月。
俺…あぁいや、俺達は各地を転々としてきた。
別段目的あっての旅というわけではない。
『自分探し』
これがこの旅の名目。
達成できたかどうかは正直良くわからない。
少なくとも村で平凡な毎日を送っているよりは、幾分マシな旅だと思う。
………
でも…潮時かなぁなんて近頃考えたりする。
俺の無計画放浪記に、いつまでも彼女達を巻き込むわけにはいかない。
区切りの良いところで、連れの皆と別れなくてはいけない。
………
できれば別れたくない。
これが本音。
3ヶ月も一緒に旅した仲間達。
そう易々と縁を切れる程、俺の神経は図太くない。
しかしだからと言って、このままずっと一緒…というわけにもいかない。
………
いっそのこと家族として、皆と何処かで腰を据えようか?
俺には帰りを待つ人もいないわけだし…。
いやでも…無理か。
ダークスライム
セイレーン
スケルトン
ケンタウロス
上記4名との共同生活。
どうしても想像できない。
家族として落ち着くということは、今の旅仲間としての状態は維持できないと思う。
俺が彼女達を異性として意識してしまうかもしれない。
(意識していないのは今の所ゼロンだけw)
もしそうなったら、俺は誰かを選ばなくてはいけない状況に陥る。
もちろん選ぶなんて…そんな酷いことはできない。
………
はぁ…どうしたもんか……………………
「歩き疲れたんなら私の背中に乗っても構わないだよ、お前さん?」
「ありがとう、サリィ。 でも大丈夫だよ」
「そうかい? ならいいんだけど……お前さんが疲れた顔してたもんだから」
「え? あぁ、ちょっと考え事をね」
「マネージャー! ウチが相談に乗るっす!」
「アタシもアタシもぉ〜!」
「……話して」
「いや、大した事じゃないから…みんな気にしないでくれ」
ラグナ大陸北部。
わざわざ船を使い海を渡ってきた。
『魔物村』という胡散臭い村があると聞き、俺達は現地へと向かっている。
その名の通り魔物だけが住む村らしい。
聞こえの良い響きでは無かったので、俺自身あまり行きたくはなかったんだけど…。
好奇心旺盛の連れ達が『行かないと犯す』みたいなことを遠回しに言ってくるので仕方なく…。
犯されるのは別に構わない。
問題は4人から一斉にヤられる…ということ。
前回は激薬のおかげで立場が逆転したけど、普段の俺はあそこまで絶倫じゃない。
まぁ良く覚えてないだけどね。
「確か村までの道中に、だだっ広い森があると言ってなかったかい?」
「ふえ? そだっけ?」
「はぁ…リムに聞かない方がいいっすよぉ?」
「おや、これは失礼」
「ぅぅ…バカにされてるぅ……」
実際にバカ(変態)なんだから仕方ないと思う。
「……あなた…あれ」
「ん、あれって?」
前方にぼんやりと見える何か。
森…にしては広い。
んん? ジャングル???
「広いとは聞いてたけど…これは想像以上だなぁ」
「……村…存在確率…高い」
「ルゥの言う通りっす。 広い森が実在したと言うことは、この先に村がある可能性は高いっす!」
「言われてみれば…そうだな」
「でもここを抜けるとあっちゃ、いくら私等でも骨が折れるってもんじゃないかい?」
「一度入ってみないとわからないよ。 無理そうなら引き返せばいい」
「それもそうだね」
「できれば村に行ってみたいよぉ〜!」
「それはウチも同感っす!」
「まぁ噂の真意はどうであれ、俺も村が本当に存在するのか確かめたいからさ。 多少無理してでも行ってみたい…とは思うけど……」
「……遭難?」
「そう。 もしこの森で誰かがはぐれでもしたら、見つけるのは海に落とした米粒を探し出すようなもんだ」
「アタシとルゥちゃんの魔力探知はぁ?」
「俺が遭難したら見つけられないだろ…人間に魔力は流れてないんだから」
「あ、そっか」
不安になってきた…。
やっぱり行かない方がいいか?
「要はお前さんが遭難しなければいいんだね?」
「え? あ、まぁそういうことになるかな」
「だったら私の背中に乗っていけば問題ないじゃないか。 それなら、お前さんが1人で消えることはないだろ?」
「あぁ、なるほど」
確かにそうだ。
仮に俺とサリィがいなくなっても、ルゥかリムの魔力探知で魔物であるサリィの居場所を特定できる。
さすがサリィ、冴えてる。
「そうと決まれば…さあ、乗った乗った!」
「それじゃぁ、お言葉に甘えて…」
「ゼロだけいいなぁ〜…」
「ウチも乗てみたいっす…」
「……興味…ある」
「今回は仕方ないんだから、みんなは我慢してくれ」
「そうだよ。 そのうち乗せてあげるからさ、今は勘弁しておくれよ」
「「「……はぁ〜い」」」
そんなわけで森へ突入。
サリィの背中の上でユラユラと揺れながら、俺一行は深
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