9泊目 『たまには息抜きでも』

業務終了後、ホノカの私室にて。
部屋には俺・ホノカ・板長・マリア・フランの5人が雀卓を囲んでいる。
(フランは俺のすぐ後ろで観戦)

スッ……コト

「いやー、毎日が繁盛の連続でー懐が幸せいっぱいっすー♪」
「従業員は休みなしだけどな」

スッ……コト

「あんたはイイ加減慣れなさい。疲れなんて一晩寝ればキレイサッパリじゃない」
「リン様に同意致します」
「板長はともかく、永久機関(マリア)に俺の気持ちがわかるはずない」

スッ……コト

「わたしは先輩の気持ちぃ、凄くわかりますよぉ♪」
「だろ? おい、ホノカも少しはフランを見習え。文句言われないからって従業員酷使してっと、そのうちストライキ起こされちまうぞ」

スッ……コト

「それは困るっすねー。叔母さーん、うちどうすればイイっすかー?」
「ホノカは自分のやりたいようにしなさい。もしそれで反抗する奴が現れたら……」

メキョッ(←親指と人差し指で牌破壊)

「あたしが骨も残さず潰してあげる♪」
「叔母さん大好きっすー
#9825;」
「甘やかし過ぎだろ!?」

やはり板長の存在が皆の抑止力になっているのか……。

「うっさいわねぇ…あたしが姪をいくら可愛がろうが、あんたには関係ないでしょ?」
「いや可愛がるとかそういう次元じゃ……」
「リン様、予備の牌です」
「ん、ありがと」

スッ……コト

「とにかく! ホノカの経営方針に文句は言わせない! ホノカに不満を抱く存在全てがあたしの敵よ! あんたも言いたい事があるなら言ってみなさい!」
「……言ったら?」

スッ……コト

「出来る限り楽に逝かせてあげる
#9825;」
「トクニアリマセーン」

おいおい、これじゃまるで北の独裁国家じゃねえか。

「くっそ…なら麻雀だけでも俺が優位に立ってやる!」
「わぁ♪ 先輩かっこいいですぅ
#9825;」

スッ……コト

「へぇ、言うじゃない。やれるものならやってみなさいよ?」
「言われなくても! リーチ!!」

牌を横向きに捨て1000点棒を放る。

「さぁ、降りんなら今のうちだぞ」
「ふん」「はわー」「困りました」

俺の手牌は萬子の二・三・四・四・五・六・七・七・七・八・八・九・九。
一・四・七・八・九の5面待ちだ。
一・四がくればリーチ、平和、一盆口、清一色、ドラ3の12飜で3倍満。
これに一発、ツモのどちらかが乗れば数え役満が成立する。
また七・八・九いずれの場合でも、少なくとも11飜以上が確定している。
ちなみに現在の順位は、

1位 板長
2位 ホノカ
3位 マリア
4位 俺

となっている。
1位の板長とは2万強の点差があるものの、直撃・ツモのどちらでも逆転が可能だ。
よしよし、ようやく俺の時代が……!

「ツモ! 断
#20040;九っすーノ」
「うおおい!?」

ホノカの最弱手により俺の最下位が確定した。
はぁ……世知辛い。












某日。

「は? 幹事?」
「そっす。1週間後に全従業員をー慰安旅行に連れて行くっすー。先日クロさんにー従業員を労われと言われてしまったのでー」
「お、おぉ。で、なんで俺が幹事?」
「正論だったのでーうち悔しかったっすー。だからその『あてつけ』っすー」
「ただの嫌がらせじゃねえか!」

というわけで、1週間後の慰安旅行計画責任者として抜擢された(押し付けられた)。
………。
無茶ぶりだろ……。





〜旅館・施設紹介〜

『展望台』

地球の裏側まで見渡せる望遠鏡が設置してある
もちろん他の宿泊部屋を覗きムフフすることもできる

14/06/14 21:10更新 / HERO
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