業務終了後。
ホノカの私室にて。
「それでーどんな感じっすかー?」
パチッ
「ん、なにが?」
「フランさんのことっすよー。お仕事の様子はどうっすかー?」
パチッ
「どうもなにも、1回教えたら完璧にこなしちまうんだ。非の打ちどころがない」
「さすがは『不思議の国』のキャリアウーマンっすねー♪ 苦労して引き抜いた甲斐があったっすー♪」
パチッ
「引き抜いた? 派遣されてきたんじゃないのか?」
「表向きはそうなってるっすねー」
パチッ
「全従業員の前でー『金を積まれて入りましたぁ♪』なんて言わせたらー、なんか感じ悪いじゃないっすかー」
「そりゃぁ、まぁな」
パチッ……パチッ……
「クロさんに対してはどうっすかー?」
「うん? フランの態度ってことか?」
「っす」
パチッ
「真面目で誠実、でもって向上心が高い」
「完璧じゃないっすかーノ」
パチッ
「見た目は、な」
「っす?」
「腹の奥じゃなに考えてんのかわからん。強いて欠点を挙げるとしたらそれぐらいだな」
「野心家で結構じゃないっすかー。可愛いもんっすよー」
「お前もな」
パチッ
「そんなー、『可愛い』だなんてー♪ うち照れちゃうっすよー
#9825;」
「そこじゃねぇよっ」
「ははー♪ まぁそれはそうとー」
パチン!
「『王手』っすノ」
「あ」
クロード戦績、通算98戦中 1勝97敗
某日。
「せ〜んぱい♪ 今日はぁどんな事を教えてくれるんですかぁ?」
「その前にフラン、1つ聞きたいことがある」
「はいぃ、なんでしょうかぁ」
いつもニコニコ顔のフラン。
こいつの正体は気になるが、いざ問いただそうとすると何故だか罪悪感が湧いてくる。
そう思わせるこの笑顔も策略の内なのだろうか。
「? 先輩?」
今後のためにも、余計な詮索は避けるべきか?
いや、だが気になる!
そもそも『不思議の国』から来たという話も胡散臭い。
どこだよそれ? どこの大陸だ? それは実在すんのか?
くっそ…どうすりゃいい?
「………」
「せんぱ〜い?」
「………」
しかしいくら胡散臭いとはいえ、同じ旅館で働く仲間をこうも疑って良いものだろうか?
こいつ以外にも経歴不明・過去の話はタブーという従業員はけっこういるわけで……。
う〜む…やはり自重するべきか……。
「………」
チロチロ♪ ペロペロ♪
「………」
チュプチュプ♪ チュゥ〜〜〜♪
「……? うお!?」
腕組みしながら葛藤する俺の指を、フランは脇の死角から器用に『チューチュー』していた。
ダ○ソンも驚きの吸引力だ。
チュポンッ♪
「もぉ先輩ったらぁ、急に黙りこんじゃうなんてぇ、一体どうしたんですかぁ?」
「あ、あぁ、悪い。つかお前…今何してた?」
唾液の付着した自分の指を眺めながら、わかりきった質問をしてみた。
「なにってぇ、見ての通り『指フェラ』ですけどぉ」
「……ちなみにそれ、どんな意味があんの?」
「意味なんてありませんよぉ。先輩が反応してくれなかったのでぇ、どうにかして意識をわたしの方へ向けようとしただけですぅ」
「そ、そうなのか」
「はいぃ。先輩の指ぃ、とっても逞しかったですぅ♪」
「お、おう……?」
なんだ、このやりとりは…調子が狂う。
「それでぇ先輩、わたしに聞きたいことってぇなんですかぁ?」
「あ、あー……」
………。
「いや、やっぱり何でもない」
「え〜? そんな風に焦らされちゃうとぉ、逆に気になっちゃいますよぉ」
「別に焦らしてるわけじゃない。ただ…お前自身のことを、少し知っておきたいと思っただけだ」
「わたしのことぉ、ですかぁ?」
聞き返されたので、つい勢いで喋ってしまった。
が、
「いいですよぉ♪ 身長体重スリーサイズ、趣味性癖Gスポット…先輩にだったらぁなんだって教えちゃいますよぉ♪」
「い、いや、そういうことじゃなくてだな」
妙な食いつき方をしてきた。
まぁ、これはこれで好都合なのだが。
「じゃぁ、聞くぞ?」
「はいぃ♪」
さぁ……話してもらおうかっ。
「どっから来た?」
「『不思議の国』ですぅ」
「その『不思議の国』ってのは、どこにあるんだ?」
「ここからずっと南の方ですぅ」
「南の、どの辺りだ? 近くには何がある?」
「海や草原、砂漠なんかも見えますぅ」
「………」
どこだよ……。
「お前教える気あんの?」
「せ、先輩ヒドイですぅ! わたしぃ、必死に伝えようと頑張ってるんですよぉ!?」
「そ、そうか。悪い」
んー…別のことを聞くか。
「その首にかけてるニンジンは?」
「これはぁわたしの『常備薬』みたいなものですぅ」
「常備薬? どっか悪いのか?」
「そういうわけじゃないですぅ。そうですねぇ…『精神安定剤』と言え
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