「うおっと! へへっ…お前の呪いなんか喰らわねえよお! じゃ…あばよっ!!」
「き、貴様あああ!! 待てえ! 待たぬかああ!!」
遺跡から帰還後の、町中のとある酒場にて。
「はぁ……ソフィア、もう一杯…」
「ネス、飲み過ぎよ? 何かあったの?」
「いや、そういうわけじゃない…」
「もう、ネスらしくないわねぇ…。 本当にどうしたのよ?」
「刺激……そう、刺激がない……俺の人生には…」
「トレジャーハントが充実していないってこと?」
「いや、お宝はちゃんと手に入れてる。 現に、こうやって酒飲んでんだろ…?」
「じゃぁ…どういう事?」
「……わからん」
俺は何でトレジャーハンターになった?
死んだ爺ちゃんに憧れて? まぁそれもある。
一番の理由は、刺激が欲しかったからだと思う。
平凡な人生に飽き飽きしていた俺は、爺ちゃんの跡を継ぐ決意をした。
当初はドキドキワクワクのオンパレードだった。
遺跡を見つけ、罠を避け、秘宝を守るBOSSと対峙して………
何もかもが楽しい毎日を過ごしていた。
だが…それも長くは続かなかった。
俺が成長するにつれて、もちろん俺のハント技術や戦闘能力も向上していく。
無論、これは非常に喜ばしいことだ。
しかしだからと言って、ダンジョンレベルも一緒に上がるわけではない。
何が言いたいかわかるか?
要するに、『遺跡攻略が簡単になってくる』ってことだ。
別にいいじゃないか?と言う奴もいる。(ソフィアにも言われた)
まぁ金には困らないから経済的には恵まれている。
だがなぁ……刺激を求める俺にとっては致命傷なんだよ、この事態は。
やっとのことで辿り着いた遺跡をわずか数時間でクリア、秘宝獲得に成功。
(遺跡までの移動時間の方が長い)
………ダメだろ!? これじゃぁ何のありがたみも無い!!
秘宝っていうのはなぁ…苦労に苦労を重ねて、ようやく手にすることができる物なんだよ!
………。
遺跡に生息するスフィンクスやアヌビスと言った魔物。
駆け出しの頃は本当に驚異だったこいつらも……俺にとっては今や道中の雑魚に等しい。
宝を守ってるのは十中八九アヌビス。
呪いにさえ気を付けていれば無傷で攻略可能。
実際に、さっきも近場の遺跡でアヌビスをからかってきた。
暇なんだよ……ほんと………
「………zzz」
「あれ…ネス? ……寝ちゃった」
今の俺には……何が足りねぇのかなぁ……………
翌日。
目が覚めると、そこは自宅のベット。
「あ、あれ……俺…いつの間に…?」
昨晩は酒場で寝てしまった記憶があるんだが……。
自力で帰ってきたのか?
いや、ソフィアが連れてきてくれたんだな。
今日にでもちゃんと礼言っとかねぇと………ん?
モゾモゾ……
?
俺のベットの中で何かが動く。
なんだ?
「ん〜…むにゃむにゃ……」
??
むにゃむにゃ?
「んん…ネス〜………zzz」
???
え? 俺の名前?
おいおい…酔った勢いで女と過ごしたなんて、シャレにならんぞ?
てゆうか……誰だ?
ソッとベットの中を覗き込むと………
「……うおっ! ソフィア!?」
良く知った顔があった。 しかも下着に俺の私服ときた。
いやいや! 何でソフィアがここに!? つーか何で俺のベットの中に俺の服で!?
確かに仲は悪くないが、ここまでする関係じゃぁ……。
………
ちょっと待て…この状況は色々とマズイぞ……。
言ってなかったけど、ソフィアは町一番の美人で、しかも魔物。
まぁエルフが魔物に入るのかは謎だけど…。(エルフにしては珍しく愛想が良い)
そんなソフィア目当てに酒場を訪れる者も少なくない。
何度かデートやら交際の誘いもあったらしいが、謹んでお断りしたそうだ。
そして、誘ってくる男のほとんどは超イケメンか大富豪。
俺からしたら勿体ないの一言に尽きるが、本人曰く『好みじゃない』らしい。
まぁ顔とか名声で相手を決める様な奴じゃないからな、ソフィアは。
で……そんなソフィアと、俺は一夜を共にした。
いやマズイだろ?
この事実が世間にばれたら、俺は町中の人間(主に男)を敵に回すことになる。
しかも普段から『盗掘家』やら『遺跡荒らし』だのと罵声を浴びてる俺が、町のアイドルとヤらかしたんだぞ?
この状況をマズイと言わずなんと言う?
………。
……いや、まだ俺とソフィアが『ヤった』とは限らない。
実際に俺はまったく覚えてないんだからな。
早く起こして、ソフィアの口から真実を………ん?
良く見るとベットの内部には、至る所にシミのような跡がある。
何だよ…これ……。
まさかこれは…俺の……俺の!?
「うわあああああああああああああああ!!!」
色々な感情が入り交じった状態で、俺は自分の家から飛び出した。
ちょっと後。
「ん…んん〜…良く寝
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