『優勝賞品は、ある程度なんでも願いを叶える権利と〜』
『副賞として、金一封を贈呈しま〜す!』
『皆さ〜ん! 豪華賞品を目指して、精一杯頑張ってくださいね〜!』
『『『それでは〜! 第1回武闘大会の開催を〜、今ここに宣言いたしま〜す!!』』』
大会当日。
ロリ魔女っ娘達の高らかな掛け声と共に、闘いの火蓋が切って落とされた。
「なんやかんやで、遂に始まってしまいましたね」
「そっすねー。でもうちとしてはー商売繁盛の方が嬉しいっすー」
「これだけ人がいれば、雑貨店に足を運ぶ人も少なくないですからね」
「でもイチカさん、店番はどうするんですか?」
「抜かりないっすよー。ちゃんと分身置いてきたっすからー」
「(お兄ちゃん、分身ってなに?)」
「(妖術とか、忍術の類じゃないかな?)」
「(ふ〜ん?)」
会場には数えきれない程の人で溢れかえっている。
大晦日のときの比じゃないな、これ。
少なくとも千人は軽く超えているだろう。
「フンッ! この世界には蛮行好きな輩が多くて困りますわ!」
「とか言いつつー、お嬢様もちゃっかりエントリーしてるっすよねー?」
「お、お黙り! プレゼンツバイお婆様の祭事ですもの、領主の娘であるこのわたくしが参加しないわけにはまいりませんわ!」
「本当はー賞品が目当てなんじゃないっすかー?」
「な、なにを馬鹿なことを……! そういうあなたこそ、どうせ副賞の金一封に目が眩んだのではなくって?」
「はわー、なんでわかったんすかー?」
「開き直りましたわね!?」
そう。
この大会の首謀者…いや主催者は、つい先日までこの町に滞在していた。
その人物の正体は…何を隠そう、僕とリンの祖母である。
「はぁ…どうせだったら、おばあちゃんにもあたしの活躍を見てほしかったなぁ……」
「あ、やっぱりリンも参加するんだ」
「は? 当然でしょ? というかお兄ちゃん、完全に他人事ね」
「? 僕は皆の試合を観戦するつもりだけど?」
「「「………」」」
リン、店長、ロザリーさんの3人は互いに顔を見合わせる。
そして、
「消極的なシロさんのためにー、既にうちがー参加申請を済ませておいたっすー」
「え、誰のですか?」
3人は一斉に僕を指差す。
「……え?」
「ファルシロン? あなたは光栄にも、あのお婆様の孫ですのよ?」
「その通りっすー。お孫さんならー参加するのが筋ってもんっすよー」
「いや、でも、それとこれとは話が……」
「お兄ちゃん」
「リン、君からも何か言って……」
最愛の妹であるリンが僕の肩をポムっと叩き、
「アキラメナサイ」
「……ハイ」
こうして僕は、武闘大会への参加をキョウハk…決意したのであった。
「参加人数はー60名らしいっすねー」
「思ったより少ないんですのね?」
「いや、こんなものじゃないですか? そもそも腕に覚えのある人達の集まりですから、あんまり多いのもどうかと思いますし」
「ま、それもそうですわね。人数が少なくて結構、優勝する手間が省けたというものですわ!」
「ははー、その威勢がいつまで続くかー見物っすねー」
「あら、初戦敗退予定の狸が何か仰いまして?」
「ま、まぁまぁ」
ギャラリーが多いため少なく聞こえるが、実際60名も集まれば万々歳だろう。
「たくさんの人の前で戦えるなんて…お兄ちゃん! あたし、なんだか凄く燃えてきたわ!」
「君は本当に逞しいよ……」
僕ら4人は観客とは別に、参加者専用ブースで大会に関する説明を受けていた。
簡潔に言うと、予選を勝ち抜いた者だけが本選への出場権を獲得できる、いわばトーナメント形式だ。
ちなみに予選はA・B・C・Dブロックに分かれており、参加者はそれぞれのブロックへとランダムに配置される。
となると必然、本選へと駒を進めることができるのは、予選を最後まで勝ち抜いた僅か4名のみということになる。
「あたしはAよ」
「Bですわ」
「Cブロックっすねー」
「えっと、僕は……」
皆が違うブロックに、なんて…世の中そんなに甘くはなかった。
Aブロック リン ロイ 他13名
Bブロック ロザリンティア、ファルシロン ユズハ 他12名
Cブロック イチカ コヨミ 他13名
Dブロック ミセスX レイラ 他13名
予選はブロックごとに会場が異なるため、僕達はそれぞれ割り振られた場所へと散開していった。
ちなみに僕は、ロザリーさんと同じBブロックだ。
「ファルシロン。わたくしと当たるまで、敗北することは許しませんわよ?」
「ぜ、全力を尽くします」
初戦から対決するという事態は免れたが、勝ち抜いていけばいずれはロザリーさんとぶつかることになる。
「ロザリーさんも、怪我だけは気をつけてくださ
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