『我が家のロリ』

……………………………。
ふぅ…。
今日の分は…こんなもんでいいか。
ぐっ!? いてて……チッ…さすがに腕…限界だな。
ったくよぉ……儲かんのはありがてえけど、こうも毎日忙しいと……体がいくつあっても足りやしねえ…。

オレに来る依頼は鉱石採掘が一番多くて、そんで一番儲かる仕事。
まあ『なんでも屋』自負してっから、来る依頼は様々。
鉱石採掘はもちろん、紛失物捜索、破損物修理、たまに魔物討伐。
さらには店番、老人養護、ベビーシッター………etc
定職に就かないのは、ちまちま稼ぐのが性に合わねえから。

………ん?
オレ誰に説明してんだ…?
まあいい………帰るか。
お袋と妹が待ってる。





「………ただいま」
「あら…おかえり、セシル」
「お兄ちゃん遅〜〜〜〜〜い!! 私お腹減りすぎて死んじゃいそうだよぉ、も〜〜!」
「………だったら先に食ってりゃいいだろ?」
「だって、お母さんが………」
「………お袋…遅くなる時は先に食ってろって言ったろーが…」
「ダメよ……私達がこうして食べていられるのは、あなたが居てこそなんだから。 働いてくれてるあなた抜きで、先に食べられるわけないわ………」
「んなこと気にしてんじゃねーよ…たく……。 親父がいねーんだから、オレが働くのは当たり前だろうが………」
「それでも……」
「あーあーわかったわかった! この話しは聞き飽きた! わかったから、さっさと食おうぜ!」
「………そうね。」
「早く食べようよ〜〜〜〜〜!!」
「ったく…お前がもうちょいシッカリしてくれりゃあなぁ………」
「? どうかしたの?」
「なんでもねえよ……。 早く食おう……ティカがうるせえ」


お袋は現在38歳。 オレを17の時に産んでる。
親父がいなくなったのは、お袋がティカを産んですぐ。(ティカは今14歳)
だから……14年前、オレが7の時か。
当時はすぐに帰ってくるだろうと、お袋は思っていようだが…。
1年…2年…3年………そして10年以上経っても、親父は帰ってこなかった。
生きてるかどうかもわからない親父の帰還を願いながら、お袋は女手一つでオレ達を育ててくれた。
だがその心労のせいか、お袋は急激に体を弱くした。
数年前には、一ヶ月以上もベットから起きあがれない日々が続いたこともある。
さすがにマズイと思ってな………17の時から、オレはお袋に代わって仕事を請け負った。
お袋には、できる範囲で家事をさせてる。
ティカがもう少しでかくなりゃあな……。
………そんで、たいした金も稼げねえから、オレは『なんでも屋』を立ち上げた。
体を必要以上に酷使する分、稼げる金の量は普通の5倍。
今やある程度富豪の域に来てる。
けど………欲しいのは金じゃねえ。
母さんが…お袋がまた元気になってほしい………それだけだ。





自室で疲れた体を休める。
明日は………そうだ、魔物討伐の仕事だったか。
現場はオレがいつも鉱石採掘をしてる、あの洞窟。
………。
そういえばさっき、採掘が一番儲かるって言ったよな?
それはな、あの洞窟が………『魔界』と繋がってるからなんだぜ…。
嘘か本当かは知らんが、恐らく本当だとオレは思う。
だってそうだろうが………鉱石採掘を一回こなせば、2週間は食っていける程の金が手に入る。
作業と釣り合わない金額が入ってくるってことだ。
おかしいだろ? どう考えても。
ま、でもオレとしちゃあ儲かるに越したことはない。
魔界に繋がってようがなんだろうが、こっちはかなりの場数踏んでんだ。
ちょっとの事じゃくたばんねえよ。

話しが逸れた。
オレが思うに、あの洞窟で魔物討伐と来れば、やっぱあそこには魔界への入り口があるってことになる。
物騒だから塞ぎてえとこだが………方法がない内は余計なことができねえ。
まっ、どうでもいいがな………。


すると………
「………セシル…ちょっといいかしら?」
「………ん? んだよお袋………いいから入れよ」
………お袋がオレの部屋に来るなんて………珍しいな。
感情をあんま表に出さねえから、なに考えてんのか読めない。
昔は良く笑ってくれてたんだがな………。

「セシル………」
「あ? なんだよ?」
「…………」

………なんか喋れよ。

「………」
「………」

寝たいんだが………。
そして………
「母さん達の事は…もう…気にしなくていいのよ………」
「………は?」
「あなたは…自分の好きな様に生きなさい………」 
「………なに言ってんだ?」
「母さんね…あなたを縛る枷には…なりたくないのよ………」
「………」
「だからね、セシル……早くお嫁さんをもらって……どこかで腰を据えないさい…それで……」
「嫁なんてまだ早いし、それに………お袋はどうすんだ?」
「私の事は…心配しなくていいから………」
「………」
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