「そんなお婆様にはーこちらの商品がオススメっすー」
「なんと! これ程のモノをこの価格で売り出すとは!」
「赤字覚悟の大特価っすー」
「むむむ…これは迷うのう……」
祖母と店長はすっかり打ち解けた様子。
2人は雑貨店の品々を中心とした話題で盛り上がっている。
「良かった♪ おばあちゃん、イチカさんのこと気に入ってくれたみたい」
「うん。店長も人懐っこいところあるしね。意外とおばあちゃんっ子だったりするのかな?」
「んーどうかしら? でも、なんとなくそんな気もするわね」
なにはともあれ、仲良くしてくれるのは大変喜ばしいことだ。
そして、僕達兄妹がそんなことを話す一方で……
「オホン…ところで、イチカ店主よ」
「っすー?」
「ファルシロンのことなのじゃが……」
「お孫さんとは『結婚を前提』にお付き合いさせてもらっているっすー」
「うむ! して、稚児(ややこ)の予定は……」
「『30人』は固いっすねー。シロさん次第ではー、『50人』も視野に入れているっすー」
「かっかっか! それは頼もしいのう♪」
「子供の名前はーお婆様に決めてもらうっすー」
「そうかそうか! 早い内に考えておかんとのう!」
ワイワイキャッキャッ♪
「なんだか、凄い盛り上がってるわね?」
「どんな話ししてるんだろうね?」
――僕の将来を話しているとは夢にも思うまい。
オルレンシア邸にて。
「う〜む…これはなんとも、良い香りの紅茶じゃのう」
「海外から取り寄せた高級茶葉を使用しておりますの」
「うむ、味もなかなか。おかわりをもらえるかのう?」
「もちろんですわ♪」
町全体を見渡せる豪勢なテラスでティータイム。
祖母とロザリーさんは白いテーブルを挟み、2人向かい合うような形で語り合っている。
「それにしても、本当にお久しぶりですわ。まさか、お婆様が魔物になっていたなんて」
「ま、一身上の都合というやつじゃ」
「お父様とお母様にもお会いしていただきたかったのですが、2人共仕事の都合で出払っておりまして、お婆様には大変申し訳ないことを……」
「なに、気にするでない。むしろ急に押し掛けた、わしの方に非があるのじゃよ」
「そんな、滅相もありませんわ!」
そんな彼女達を少し離れたところで見守る僕達兄妹。
「珍しいわね? ロザリーが目上の人を敬うなんて」
「そうかなぁ? おばあちゃんに対しては昔からあんな感じだったよ?」
「ふ〜ん? まぁ良く考えたら、目上を敬うなんて当たり前のことなのよね」
「リン、それは言わないであげよう…ただでさえプライドの高い人なんだから」
なんて話をしている一方……
「……ところで、ロザリーよ」
「はい、なんでしょうか?」
「まぁその、なんじゃ? ファルシロンとは……」
「『未来永劫魔界の海よりも深く愛し合うことを誓った仲』ですわ♪ 結婚も時間の問題かと」
「そうかそうか! して、稚児の予定は……」
「『ファルシロンの遺伝子を受け継いだ魔物が世界全土を占める』ことを目標にしていますの♪」
「それは素晴らしい考えじゃ!」
「命名は、お婆様にお任せしてもよろしいでしょうか?」
「うむ! わしに任せておくのじゃ!」
――結婚が祖母公認になったことを僕は知らない。
自宅にて。
僕は帰宅早々夕食の準備をしなければならないため席を外している。
本来なら今日はリンが食事当番なのだが……祖母のこともあるし、気にしない方向で。
「いや〜なかなか面白い娘達じゃったのう!」
「ロザリーは知ってると思うけど、イチカさんはどうだった?」
「うむ! あれくらい子作りに積極的ならモーマンタイじゃ!」
「はぁ、良かったぁ」
「リンよ、何か心配事でもあったのか?」
「もしかしたら、お婆ちゃん好みじゃないかな〜って……」
「かっかっか! 何を言うておる、ファルシロンが惹きつける女子じゃぞ? 悪い娘のはずがないのじゃ!」
「そっか、そうだよね♪」
「うむ! なのじゃ♪」
僕の知らぬところで、いよいよ話が大きくなってきた−−−
〜店長のオススメ!〜
『若返りの秘薬』
その名の通り若返ることができる
ただし効力を発揮するのは『100歳を超えた女性』のみ
※若返る際、魔女>アリス>バフォメットの確率で魔物化する
価格→99800エル
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