雑貨店にて。
「店長、発注内容確認書に新商品の案内書きがあるんですけど、どうします?」
「あー、どんなのがあるっすかー?」
「えっと……」
〜新商品の御案内〜
・スケスケランジェリー(エロには見えない下着)
・キツキツナニバンド(早漏の愚か者に巻きつけるアレ)
・惚れ薬KK(超高確率で相手を惚れさせる薬)※限定商品につき1店舗1つまでとなります
「……という感じです」
「最初と最後の商品にー次回発注のチェックを入れておくっすー」
「わかりました」
「2つ目はー需要なさそっすねー」
「え、どうしてわかるんですか?」
「早漏嫌いの魔物なんてーこの世に存在しないっすよー。まーそれを生業とする人間の男性にはー、おあつらえ向きのアイテムかもしれないっすけどねー」
「はぁ、なるほど」
少し間を空けた後、
「じゃぁ、店長もですか?」
「そっすねー、濃ゆい種させ出してくれればーどっちでもイイっすよー?」
「………」
なぜだろう。
その言葉は、僕に向けられていたような気がした。
某日。
「ぇえ!? な、なんですか、この金額……」
「『惚れ薬KK』のことっすかー?」
以前発注した新商品が本日届き、それを陳列するためのスペースを確保していたときのこと。
「1本『6800万エル』って…え、あれ?」
「魔界で5本限定販売っすからねー。高くて当然っすよー」
「いや、異常なほど希少な代物だということはわかりましたけど……」
「うちはー卸問屋のお得意先っすー。入手も楽っすー」
「まぁ、それもそうなんですけど……」
値段や入手の過程よりも気になることがもう1つ。
「『定価が6800万エル』ということは、『原価』は……いくらなんですか?」
「………」
店長がこの惚れ薬を原価で買い取ったということは……そう。
この『6800万エルに近しい金額』を『店長が保有していた』ということになる。
これを買い取るなら利益を5%と考えても、6000万以上の大金が必要になるはず。
いくら卸問屋との親交が深いからといって、どうこうなる話しではないと思う。
「………」
「あの、店長?」
「………」
あれ?
店長が微動だにしない。
「もしもし? 店……」
ボンッ!!
「うわっ!?」
店長が破裂!?
い、いやいやいや!
きっと何かの妖術だろう。
「び、びっくりしたぁ……」
というよりこれは、『都合が悪くなったから逃げた』と解釈して良いのだろうか。
「……ん? これは?」
モクモクと煙が立ち込める中、店長の破裂?した場所で何かを発見した。
「……人形?」
そこには、店長そっくりの『2頭身イチカ人形』が落ちていた。
……代わり身、のつもりなのだろうか?
………。
リンにあげたら喜びそうだし、一応拾っておこう。
「さて、と。店長破裂(?)しちゃったし、久しぶりにお店の掃除でもしようかな」
店長が逃げ出したということは、このことはあまり話題にしない方が良さそうだ。
いやしかし、それにしても……
「店長、お金持ちだったんだなぁ……」
僕はまた1つ、店長の意外な一面を知ることができた。
……あれ?
店長がお金持ちなら、どうして雑貨店なんて経営してるんだろう?
〜店長のオススメ!〜
『惚れ薬KK』
『惚れ薬TK』の品種改良版
飲ませた相手を900%確実に惚れさせることができる
効果は半永久的に持続するため、
『こいつと一緒の墓に入りたい!』ぐらいの強い想いがあった場合にのみお使いください
後で後悔してもシリマセン
KKの意味は『K(高)K(確率)』
価格→6800万エル
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