「はぁ〜気持ちいい〜♪ 温泉なんていつ以来かしら〜?」
「リン、わたくしに感謝なさい? 本来、あなた方一般ピーポーには無縁の超高級施設……」
「っす〜」
「超高級……」
「っす〜」
「超……」
「っす〜」
「そこ! 話の腰を折るのは止めてくださいます!?」
「静かにするっす〜。せっかくの湯加減が〜台無しになるっす〜」
「んな!?」
ロザリーはザバッと湯船から上半身を露わにし、
「だ、だ、誰のおかげで、こうして高級温泉に入れると……」
「遠慮なく『あやかる』っす〜。タダ風呂満喫するっす〜」
「こ、この狸娘……!」
「ロ〜ザ〜リ〜?」
「ぐっ……わ、わかってますわ! 喧嘩は御法度、ですわね?」
「えぇ♪ せっかくの『温泉旅行』なんだから、仲良くやりましょうよ?」
「っす〜♪」
「イチカさんも! ロザリーのおかげなのは確かなんですから、あんまり失礼なこと言っちゃダメですよ?」
「っすぅ……」
リンの活躍により、事態は見事収拾へと向かう。
「はぁ……ところで、お兄ちゃんはまだかしら?」
「言われてみれば、そうですわね?」
「裸になるだけで〜一体どれだけ時間喰ってるんすかね〜」
「わざわざ旅館を貸し切ってまで『混浴』を実現させましたのに……さすがに遅すぎますわ!」
女性陣のギラついた眼光が脱衣所入り口へと集中する。
「………」
――は、入りずらい。
客室、『栗とリスの間』にて。
「ファルシロン! 何故そこまで温泉を嫌いますの!? わたくし、あなたのことをずっっっと待っていましたのよ!? おかげでのぼせてしまいましたわ!?」
「いや、あの……」
「リンとあの小賢しい狸は早々に温泉をあがりホルタウ産のキンキンに冷えた特濃ミルクを美味しそうに喉を鳴らしながら飲んでいる光景を遠目で眺めていたわたくしの気持ちがあなたには理解できまして!?」
「わ、わかっているつもりです……」
「いいえ、わかっていませんわ! わたくしに地獄のように切ない想いをさせるなんて…先っぽを挿入している状態で『おあずけ』をくらうことと同義ですわ!?」
「は、はぁ」
「コホン。本来ならば絞首刑を免れぬところですが、あなたはわたくしのフィアンセ……寛大な心で許るしてあげないこともありませんわ」
そう言うとロザリーさんは浴衣用の帯をスルリと解き、
「今はあの2人もいませんし……『子作り』するにはちょうど良いと思いますの」
「ぇえ!? そんな、いつ戻ってくるかもわからないんですよ!?」
「フフッ♪ 拒絶しないということは、OKサインと判断してもよろしくって?」
「あ、あぁいや、そういうことでもなくってですね……うわっ!?」
アタフタと戸惑う僕を、ロザリーさんは敷いてあった布団の上へと強引に押し倒す。
彼女の匂いが、吐息が、重みが、直に僕の体へと伝わってくる。
「んくっ」
ゴクリと生唾を飲み込む。
「緊張する必要はありませんわ。わたくしに全てを委ねるのです」
「ロ、ロザリーさん? この前、もう少し様子を見る…ようなこと言ってませんでしたっけ?」
「確かに言いましたわね」
「それじゃ……」
「状況が変わりましたの」
彼女は僕の腹上でマウントポジションをとり、その大きな双瓜を両腕で持ち上げる。
トップは浴衣に隠れておりギリギリで見えない。
「ホテルでの一件は何とか誤魔化しましたわ。でも……」
「でも?」
「お母様にバレてしまいましたの」
「な、なんと……」
ロザリーさんは困ったような表情で、
「お母様に嘘はつけませんわ……」
「それで、大丈夫だったんですか?」
「お父様に知られていないことが不幸中の幸いでしたわね。お母様も、わたくしの意思を尊重してくださると」
「良かったじゃないですか……あれ? じゃぁ、どうして僕を押し倒しているんですか?」
彼女はニヤリと笑い、
「1度でもわたくしに抱かれれば、あなたは嫌でもわたくしを意識せざるを得ませんわ♪」
「結局強行手段じゃないですか!?」
「お黙りなさい! さあ、早くあなたの逞しい『馬並』をわたくしに……!」
「や、止めてください! や、やめ…止めるっすーーー」
「……は?」
「あ」
ドロンッ!
「………」
「………」
ロザリーがマウントしていたのは、ファルシロンに変化したイチカだった。
「ねぇお兄ちゃん」
「ん、なに?」
「ロザリーとイチカさん、どこに行ったか知ってる?」
「あぁ、たぶん部屋じゃないかな? でも店長がしばらく戻ってくるなって」
「ふ〜ん? 2人で何か話してるのかしら」
「喧嘩してないことを祈るよ……」
以上、土産屋での兄妹の会話より一部抜粋。
「タ、タヌタヌ!?」
「っすー」
一目散にイチカから離れるロザリ
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