某日。
「店長、裏の倉庫見てきました」
「おつかれさまっすー。どんな感じっすかー?」
「いくつか在庫不足の物がありました。特に栄養剤と、あとは日用品の類ですね」
「あー、やっぱりそっすかー。予想通りっすねー」
「さ、さすがですね」
僕にはどの品物が多く売れているかなんて皆目見当もつかない。
品物を発注するときに必須のスキルであると店長は語るが……。
「あの、店長?」
「っすー?」
「不確かな感覚に頼るより、毎回ちゃんと在庫確認すれば良いじゃないですか?」
「………」
うぅ…ジットリ。
「まーそうなんすけどねー」
「そうですよ。これからはこまめに確認―――」
「するのはめんど臭いっすー。人生楽に生きたいっすー」
「……さいですか」
……さいですか。
「それじゃぁ、どうして今回は僕に確認させたんですか?」
「勘が鈍っていないかーシロさん使って検証したっすー」
「ひどい!?」
なーんてやり取りをしている冬の午後。
このほのぼの空間を跳ね除ける出来事は、突如として訪れた。
バンッ!!
「「!?」」
お店の扉が勢い良く開かれる。
そして僕達が視線を向けた先に立っていたのは……
「ファルシロン! わたくし自ら、あなたを迎えに来てさしあげましてよ!」
「……チッ」
現領主様の娘、ロザリーさんが立っていた。
というか、この人には登場する度に驚かされる。
あとどこからか舌打ちが聞こえたきたけど、気のせいだろうか。
「迎えにって…すみません。僕、ロザリーさんと何か約束してましたっけ?」
「いいえ? わたくし、先程あなたと『食事』に行きたいと思いましたの」
「はぁ、そうなんですか」
「えぇ、そうですの」
「………」
「………」
「……え? それだけですか?」
「? えぇ、それだけですわよ?」
なんて行動力……!
「えっと…随分と急ですね」
「お母様も仰っていましたわ。『思い立ったが吉日』!」
「ナルホド」
「お父様を寝取るときも、まったく迷いはなかったと聞きましたわ。まさに即決!」
微妙にニュアンスの違いを感じるけど…う〜ん、どうしたものか……。
「シロさん」
「?」
店長が僕に耳打ちしてくる。
「(うちは大丈夫っすからー、2人で行ってくるっすー)」
「(え、でも……)」
「(あのお嬢様はー『腐っても』領主の娘っすー。機嫌を損ねるのはー得策じゃないっすー)」
「(う〜ん……)」
正直、ここで機嫌を損ねてもどうなるものでもないと思う。
14年も傍にいれば、喧嘩の1つや2つ日常茶飯事だったし。
「(イイから行くっすー。口答えは許さないっすー)」
「(そ、そこまで言うなら…わかりました、行ってきます)」
僕は作戦会議?を終えロザリーさんへと向き直る。
「お誘い、謹んでお受けします」
「さすが、ファルシロンですわね♪」
そう言うとロザリーさんは、僕の二の腕に絡みつくようにして密着してくる。
む、胸が……///
「イチャつくならー他所でやるっすー」
「ふん! タヌタヌに言われるまでもありませんわ!」
店長とロザリーさんとの間に一瞬火花が散った…ような気がした。
僕は店長にアイコンタクトで、
「(店長、この埋め合わせは必ず……)」
「(ニヤリ)」
「( ゚ ▽ ゚ ;)」
ロザリーさんは僕を店の外へと連れ出す。
なんだろう、今の怪しげな笑みは……。
僕、どうなるんだろう……。
扉がゆっくりと閉まる向こうで、店長の表情が徐々に狭まり…そして見えなくなった。
「さあ、早く行きますわよ! 例のレストラン、あなたのために貸し切りましたの♪」
「か、貸し切ったんですか!?」
「ふふん♪ 当然のことですわ! もちろんその後、最高級のホテルも手配していますのよ?」
「ホテル!?」
「お父様とお母様の計らいですの。『昔のように、たまには2人1つのベッドで眠るのも悪くないのではないか?』と。もちろん、わたくしも大いに賛成ですわ! あぁでも、昔はリンも一緒でしたわね? ふふっ♪ でも、今夜はあなたと2人きりですわ♪」
………。
色々と、覚悟をした方が良さそうだ―――
〜店長のオススメ!〜
『メス豚汁』
男性が飲むと女体化
女性が飲むと淫乱になる
※効果は一時的なものです
価格→1980エル
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