「―――それでは改めまして。
私はレスカティエ生まれのフリーライター、『シュガーリィ=アーケイオス』と申します」
3姉妹を前に、丁寧に紹介をする俺。
「へえ、レスカティエから早速お客さんか」
「フリーライターにしては…、きっちりし過ぎるくらいの格好ですわね」
「ええ、これが私の正装です。
ネクタイを締めないと……いつも落ち着かないものでして、ハイ」
絶賛潜入活動中。
これらに至るまでを、大まかに説明しよう―――
「ふむ、やはり大したもんだ」
『変装キット』を使っての着替えが終わり、俺は新聞記者の様な格好をしている。
淡いグレーのスーツに青いネクタイ、カラーコンタクトで目の色彩を変え、スヴァルという存在をくまなく隠す。
そもそも、先程の『性欲鎮静化チョコレート』や、この『変装キット』はある友人が俺の為に開発してくれているのだ。
実際、教団の支給品よりこっちの方が優れている事は間違いない。
本部にそんな事を言ったら怒られるだろうが…。
そしてその友人は、ユニコーンの妻を持った俺の大切な旧友なのだ。
……おっと、この話は次の機会にしよう。
今は潜入に集中だ。
あらすじ。
潜入取材活動と称して給与アップ作戦を決行するスヴァル。
生命と給与アップを天秤に、スヴァル一人の戦いが始まる。
あらすじ終わり。
(戦いって言っても、不必要な戦闘はしっかり避けるけどね)
危なくなったら逃げる。
これ調査員の鉄則。
…………危なくなったら、逃げる。
大事な事なので、二度言っておく。
潜入の準備は済んだので、会場に滑り込むタイミングを伺う。
『―――皆様、仕上げです!』
『皆さんの祈りを!』
『アタシ逹の詠唱と共に!』
『「ウィッチ・ジェネレーション!!!」』
魔方陣の光がより一層強まった。
まばゆい光が会場全体を照らし、しばらくは何も見えなくなった。
視界が回復した頃、ステージ上の女性逹は変化したお互いの姿を見て、きゃあきゃあと飛び跳ねて喜んでいた。
ブルーノは彼女逹を横目にマイクを構えた。
『皆様、お疲れさまでした。
会場の皆様も、協力ありがとうございました』
それに続いて、クランが再び司会進行を始めた。
『さて、新たに仲間が8人増えました!』
『それでは……』
『「ようこそ!私達の黒ミサへ!!」』
大きな拍手と歓声が会場を包む。
ボルテージは最高潮の様だ。
「よし、頃合いだな……」
会場を見渡しながら、警備が手薄そうな会場の入り口を探す。
会場周りはかなり堅固な警備配置をしている。
一筋縄ではいかないかもしれないが、あっさり退く訳にもいかない。
(ここは静かに行くべきだな)
茂みから茂みへと静かに渡り、入り口の警備をしている男二人にひっそり近づく。
なかなかデカイ奴等だ。
……が、力量的には出し抜けられそうだ。
「はー、今回も警備というのは辛いものがあるな、ジョン」
「また君と二人で警備することになるとはな、スミス」
右の男がスミス、左の男がジョンという名前の様だが、今は構っている暇はない。
腰に取り付けていた『鎖ノ手錠[チェーン・ワッパー]』を引きだし、右の男を狙って、放つ!
「……うぐっ!? 何だこれは!」
鎖が絡み、動きに制限をかける。
「誰だ!? くそ、早く連絡を…!」
二本目を左の男に絡ませる。
「……悪いね、少しお邪魔するよ」
「き、貴様―――」
「『チェーンズ・ロック!』」
一本目と二本目を絡み合わせ、厳重にロックする。
「このっ………くそっ!おいスミス!」
「うるさいぞジョン!黙っていろ!」
チームワークは一気に崩壊したようだ。
去らばだジョンスミス。
どっかの対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースにでも助けを求めておけ。
「外せない……このッ……!」
必死にもがく二人を残し、会場へと忍び込んだ…。
『――っていう、ブルーノの意外な一面をこないだ見たんだよねー!』
『そ、それは誤解ですよクラン!
アレは、その、気まぐれだったというか……』
『はいはい、ブルーノのツンデレは今に始まった事じゃないしなー♪』
『だから違うのよー!もう……二人のせいで余計に恥ずかしいわ』
会場が3姉妹のトークに魅了されている中、俺は目立たないよう自然な動きでステージ付近へ徐々に近づく。
歩いている時に、聞こえてきた使い魔の男達からは、
「クランちゃん……やっぱアイドルや」
「ラズリア様はまた一段とお美しくなっておられる…!ああ、美しい……//」
「ブルーノ様マジ天使//」
「ブルーノ様
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